森で出会った少女は、伝説の“エルフ”に似すぎている。
異世界に転生したら、なぜか二十代の頃の若い体に戻っていた。
そして俺は、異世界で“外交官”として生きることになったらしい。
森で出会ったのは、長い耳を持つ銀髪の少女。
昔、北欧神話を調べたときに読んだ“エルフ”に似ているが、彼女は人間を強く警戒していた。
だが、森を荒らさず、彼女の文化を尊重する俺の態度に、少女は少しずつ心を開いていく。
「……あなた、人間なのに、森を大切にしてくれるのね」
異世界の人間とエルフは対立しているらしい。
誤解、偏見、文化の違い――外交官としての経験が、まさか異世界で役に立つとは。
目を開けた瞬間、まず気づいたのは体の軽さだった。
肩こりも腰痛もない。
池の水面を覗けば、そこには二十代の頃の俺がいた。
「……若返ってる。しかも異世界か」
外交官として世界中を飛び回ってきたが、異世界は初めてだ。
状況を整理する前に、森の奥から悲鳴が聞こえた。
「だ、誰か……助けて!」
声の主は、銀髪の少女だった。
長い耳が目に入る。
だが俺は即断しない。
(……北欧神話の“エルフ”に似ているが、断定はできないな)
昔、文化比較の資料で読んだ記述が頭をよぎる。
“美しく、自然と共に生きる精霊的存在”。
だが、目の前の少女は恐怖に震えていた。
彼女を追っているのは、巨大なイノシシ型魔物。
俺は地面の棒を拾い、軽く構えた。
「まずは交渉……と言いたいところだが、あれは無理だな」
突進してきた魔物の鼻先を軽くはじくと、魔物は吹き飛び、木にめり込んだ。
少女は目を丸くした。
「す、すごい……あなた、人間……?」
「たぶんね。君は怪我はないか?」
俺は距離を詰めず、ゆっくりと手を見せる。
外交官として、相手を安心させる基本動作だ。
少女は驚いたように瞬きをした。
「……森の民に、そんな礼儀を向ける人間は初めて」
(森の民? やはりエルフに近い文化か)
俺は周囲の折れた枝を拾い、丁寧に並べ直した。
森を荒らさないように。
少女は小さく息を呑んだ。
「……森を大切にしてくれるの?」
「当たり前だ。君たちの文化では重要なんだろう?」
少女の表情が、ふっと緩んだ。
「……あなた、好き。
森を尊重してくれる人、久しぶり」
その言葉に、俺は微笑んだ。
「よかった。話を聞かせてくれないか。
君のこと、この森のこと……そして、この世界のことを」
こうして、俺と“森の民の少女”の出会いは始まった。
この世界で、彼女と共に“橋を架ける”物語が。
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それでは、またお会いしましょう。




