表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェンス・オーバー ―刑務所からの場外ホームラン―  作者: kunikida-evans
第8章 国民的娯楽

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/75

8-5. 議会

 もし野球をしていなければ、     

 私は刑務所か墓場にいたことだろう。 

 プロ野球選手 ベーブ・ルース

 一方、巨星が一つ欠けたノトリアス刑務所だが、その灯は明るいままだ。今後の運営のあり方を議題に、改めて共和国議会が開かれていた。

「えー、まず、僕たちが勝手にそろえていた物品だけれども、これはきれいさっぱり売却することにします」

 マシューが切り出した。

「それで、売却した分の金と、また僕たちが不当に蓄えた金とを合わせて、皆に分配しなおそうと思う」

 当然のケジメだ。新しく選びなおされた議会の面々も、一様に頷いている。


 そんな中、そろそろと片手を上げたのは、ジミーだった。

「一つ、提案なのですが」

「うん、何でも言ってくれ」

「ありがとうございます。その分配する金というのがいくらなのかは存じませんが、私たち千五百人で分け合えばそれぞれ大した金額にはなりません。それでしたら、もっと有意義な使い道、全員で共有するような財産を購入するのはいかがでしょう」

 ジミーは一人一人の目を見て話した。睨んだり、逸らしたりする者がいないことが、彼の胸を打った。

「そう、例えば、農具などを買って所内に畑を作り、財政の足しにするというのは」

「なるほど、そりゃあいい」

 膝を叩いたのはリトル・ジョンだ。

「おいどんは地元でイモ作りしてたから、その辺は任せてくれ」

「小麦なら俺もやってたぞ」

 千五百人もいれば、意外と何でもできるのだ。そう、ただ人数がいるだけではない。初めにケイシーが仕切った議会では、こんな意見は出てこなかった。全員が主体的に参加してこその共同体だ。

「そう、それでさ、もう一つ提案なんだけど」

 また誰かが声を上げた。

「読み書き講座、皆でやろうぜ。俺も教わりてえ」

「いいな、それ。外出たら役に立つよな」

「それならいっそ本も買って、図書室みたいなの作ろう」

「じゃあ、その管理はもちろん、この男に任せよう」

 そんな話に、ジミーは微笑みながら涙をこぼしそうになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ