表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェンス・オーバー ―刑務所からの場外ホームラン―  作者: kunikida-evans
第7章 二つの勝利

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/75

7-10. 円陣

闇が闇を払うことはできない。

光だけがそれを成せる。

公民権活動家 キング牧師

 マシューは何も手を打たなかった。暦が五月に入り、所にとって初めてのリーグ戦が終盤戦に突入しながらも、噂は流れ続けていた。時が経つにつれ、ますます具体的な言葉で語られるようになっていったのである。


「噂はどんどん広まってる。この調子なら行けるぞ」

 いつもの教室で、ケイシーと仲間たちは集まっていた。

「八百長が行われているのは事実ですからね。信憑性もあります」

「リーグ戦の方も快調だ。このままいけば優勝できる!」

 そう言いながらジョーが見つめていたのは、新聞に載っている順位表だ。

「優勝決定戦は、早くていつになる?」

「えー、ゲーム差が一、二……、残り試合が……。うん、ちょうど一週間後、五月七日のゴッサムズ戦になるな」

「そうか、じゃあ皆、やるべきことは分かるな。まずは、八百長が仕組まれてメトロポリタンズの優勝は決まっている、と噂を流すこと」

「ああ、分かってる」

「そして、その優勝決定戦、俺たちが本当に勝つこと、だ」

 そうすれば、実際その試合には仕組まれていないのに、八百長の存在を観客たちの目の前で証明することになる。

「八百長の親玉と言われたくないマシューは、何とかしてそれを防ぎにくる」

 クーニーが頷いた。それを受けて、フリンも同調する。

「つまり、俺たちを負かしにくるわけだ。そんなマシューの鼻っ柱を叩いてやるんだな」

「そうだ。だが、八百長を防ぐうんぬんは、奴が腰を上げやすくするための口実だ。それ以上に、観客たちが『ケイシーとマシュー、因縁の対決』ってな空気を勝手に作ってくれる。そうなったら、負けず嫌いのあいつは出てこざるを得ない」

「ほー、なるほどなー」

 分かったんだか分からないんだか、ジョーが相槌を打った。

「何にせよ、俺たちは本気で戦っていいんだよな」

「ああ、もちろんだ。今度の試合は、ただの遊びで野球をやるんじゃない。囚人共和国や俺たちの未来に向けた、大事な一勝を掴まなきゃいけねえんだ。それも、俺たち自身の力で」

 ケイシーの決意は並々ならぬものがあった。だからこそ、皆を動かす力があるのだ。

「よし、五月七日、絶対勝つぞ!」


 その日までの一週間は、ほんの一瞬に感じられるくらい、早く過ぎた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ