表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェンス・オーバー ―刑務所からの場外ホームラン―  作者: kunikida-evans
第7章 二つの勝利

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/75

7-9. 幕の裏では

闇が闇を払うことはできない。

光だけがそれを成せる。

公民権活動家 キング牧師

 その後すぐ、ノトリアス刑務所の囚人千五百人の間に、ある噂が出回った。

「共和国リーグの勝敗は、マシュー大統領殿下一派に操作されている。それは、我々が賭けの利益を得るためだ、という噂です」

「ふうん、噂というか、事実だね」

 取り巻きから報告を受けたマシューは、それほど驚かなかった。何しろ囚人たち千五百人しかいない閉じた環境では、いずれ露呈するというのは目に見えていたからである。

「それなら、そろそろ潮時かな。酒やその他で十分利益は出ているし」

「しかし、大統領殿下。問題は、この噂を流したのがあの憎きケイシーの一味だということです」

 マシューは自分のことを、わざわざ仰々しく大統領殿下と呼ばせていた。そういった類の称号を好まなかった本物の初代大統領、ジョージ・ワシントンとは大違いである。

「やっぱりそうか。察しはつくけどね。なぜ分かった?」

「その噂がこんな印刷物で出回っているからです」

 マシューの検閲化に置かれた新聞に、告発じみた記事を載せることはできなかったが、匿名の文を別の紙に印刷して配っていたのである。所内の印刷機を怪しまれずに使えたのは、普段からそれを使っている者が関与したからである。

「あー、あのデブか。面倒なことするもんだね」

 当たりがついたマシューは、ケイシーの思惑にも思いが至った。噂を流すだけなら、印刷物にする必要はない。むしろ、余計な証拠が残って後々詰められる可能性がある。そこであえてマシューに伝わりかねない方法を選んだ理由は。

「挑戦状ってわけね。小癪な連中だ」

 笑みを浮かべて平静を装ってはいたが、その紙を無意識に握りつぶしていた。

「難儀な性格だよ、俺って奴は」

 ちょうどボールの大きさに丸まった紙を見つめながら、マシューは呟くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ