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彼を幸せにする十の方法  作者: 玉響なつめ


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26 私と彼の関係性?

 キャサリン様が来てくれて、誰にも言えなかったことを話すことができて私の心は随分と軽くなった。

 なんだかんだ自分の中で決着のついた問題だと思っていたけれど、それでもここに至るまでのあれこれで私の心は随分と疲弊していたらしい。


(……誰かに話すことで心が軽くなるって、本当なんだなあ)


 このことはしっかりと覚えておいて、いつか自分が担当する子供たち相手によき相談相手として選んでもらった時には最善を尽くせるよう心掛けることを決めた。

 キャサリン様のように頼りがいのある女性とはまだまだ言えないけれど、私だってやると決めたからには家庭教師(ガヴァネス)として頑張らねば!!


 元々さほど興味もなかったし、妻としてキリアンの支えになれるよう主婦業を頑張ろう……なんて夢見がちだった私だけれど、今となっては本当にお飾りの妻に最悪なったとしても食いつないでいけるよう手に職を持つ重要性をこれでもかってくらい思い知っている。


 今の段階ではキリアンは良き夫として、恋情はなくとも家族愛で接してくれるだろうと思ってはいるけれど、人生って何があるかわからないって言うし。

 もしも私との結婚生活の間に今巷で人気の〝真実の愛と恋〟って演劇のように突然の恋に落ちる瞬間があればまた関係性も変化すると思うのよね。


 ……私は、今もまだキリアンに恋をしているけれど。

 いい加減自分自身、見切りをつけてくれたらいいのにと思うのに心はどうにもならないから厄介だ。


 それでも以前ほどには傷つくこともないのだから、私は強くなったのか鈍くなったのか。


「大丈夫? フィリア」


「はい、大丈夫ですキャサリン様! ……いつもこうして私のつまらない話に付き合ってくれて、ありがとうございます」


「いやだそんなことないわよ。それにしてもそんなに思い詰めて……貴女が望むなら、ウィッドウック卿に決闘を申し込んでボコボコにしてあげましょうか。これでもワタシ、強いのよ?」


「ふふっ、キャサリン様ったら!」


 私の代わりに怒ってくれるキャサリン様に、どれほど心が救われただろう。

 それでも私はキリアンを嫌いになれないし、彼の妻になれることを喜んでいる。


 ただ、この恋が実らなかったことだけを、私だけが悲しんでいる。

 それだけだ。


(……でも失恋(・・)の痛みは時間が解決してくれると言うし)


 不思議だと思う。

 失恋した相手と夫婦になるって、なんて滑稽なのかしら。

 それでも幸せだと思えばきっと幸せなのだから大丈夫って何度思ってもどこかぽっかりと空洞があるみたいに、心がいつも沈んだままだ。


「キリアンと言えば……最近、贈り物が増えたんです」


「えっ?」


「お兄様から彼が破産するから私からの贈り物は止めるようにって言われて反省したことがあるんですけど、彼からしょっちゅう贈られるようになって……お断りはしたんですけど、受け取って欲しいってそればかりで。どうしたらいいでしょう」


「……ちょっと、アレンから何を言われたのかってところから詳しく話してくれる?」


「はい」


 騎士爵になって余裕が出てきたのかなとも思うのだけれど、これって私も返礼品を用意した方がいいのかなっていつも困惑するのだ。

 とはいえ、高価なものとか処分に困るようなものってわけじゃなくて、キリアンが選んでくれるのは可愛らしい包装のお菓子だったり、綺麗なキャンディだったり……そういえば他にも最近仕事帰りにとか言って私が学校から帰る時にもちょくちょく顔を合わせるのよね。


 以前から、学校帰りに顔を合わせたら家まで送ってくれるのは変わらないんだけど……帰り道にカフェに寄ろうとか一緒に出かけたいとか、どうしたのかしら。

 とはいえ私も面接が増えて忙しいから、お断りしちゃったし。


(……もしかして、彼なりに今後の夫婦生活を見越して対話をしようとしてくれていたのかしら?)


 だとしたら申し訳なかったわ!

 そうね、夫婦は対話が必要よね!!


 キャサリン様と話しながら私は心のメモにひっそりと書き留める。


 八つ目。

 関係をよりよいものにするために、できる(・・・)範囲で対話を心掛けること!

ちなみにキャサリンの怪我の理由は仲間を庇ったものによるもので、彼女の得意なのは一対一の対人戦です()

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