12話
図書館に入館してから、僕たちはそれぞれ前もって話し合っていた分野につて調べ始めた。大まかに分けられた役目は、僕が直近の時事やニュースを新聞のバックナンバーから調べ、雪は法律関係に素人ながらに詳しかった為、法律関係を、初絵は昨日に引き続き宇宙についての異変の正体を探る。二山は都市伝説関係しか分からなそうなのでそのあたりを調べることになった。お昼には一度集まって先ほどの公園の東屋で今朝コンビニで調達してきたおにぎりで昼食をとることになっていた。
「さあてっと、あのー、すいません。いま、大学の論文政策で調べものしていて、少し量が多いのですが過去の新聞を一年分バックナンバーを調べたいんです」
僕はさっそく図書館司書のおばさんに話しかけて新聞を借りた。別に怪しむのが仕事の人達ではないのだから変に嘘や警戒をする必要はないのだが、さすがに平日に何の理由もなく急に現れた青年が大量の新聞のバックナンバーを要求しては、目立ちすぎるため念のため大学生だと嘯いた。どうせ制服を着てなければ高校生も大学生も分からないだろう。
・・・・・・僕はそれから図書館内の一番奥の本棚付近にある机を使い調べ始めた。ちょうど市の郷土資料とか百科事典だとか利用者の少なそうな場所で集中が出来そうだった。
僕は次々と新聞のバックナンバーを辿る。もはやこの作業においては暗中模索もいいところで、たった一年だが圧倒的な情報量、しかし得られる情報はどれも過去にニュースや新聞で目にしたものばかりだった。・・・約一時間ほど新聞を三十日分漁り終わったころ、僕は新たな問題に直面していた。こうして目を皿にして白黒の誌面を追っていくうちに、集中しすぎて、いたるところに違和感を感じるようになってしまった。あれこの事件の被害者って21歳だっけ22歳じゃなかったっけ?あれ?この野球選手の歴史的快挙ってこの数字であってたっけ?とか。僕は人よりもかなり記憶力があると自負しているが、初絵ほど完璧な記憶力があるわけではないため、たまに頭をよぎる違和感が魚の小骨の如く突っかかり、とても気持ち悪くなる。
・・・・・・「おーい、そろそろ昼飯じゃね?」
僕が相変わらずたまに骨を詰まらせながら誌面とにらめっこしていたら、小さな声と共に二山が迎えに来た。携帯を見ると時刻は十一時半だった。どうやら二山はお腹が空きすぎていたようで我慢ならず様子を見に来たようだった。僕はその場で椅子からのけぞり背中を伸ばした。
「うー!よし、少し早いけど疲れたから昼ご飯にしよー」
僕たちは静かな館内を出来るだけ音が立たないように歩き、雪と初絵を迎えに行った。
「みんな、お疲れ様だねー!相変わらずパンとおにぎりだけど、朝散歩した時に買ってきたからたべよ」
朝に集まっていた公園の東屋に着くと初絵はバックからコンビニの袋をだしてガサッと勢いよく出して、僕はその中から焼きそばパンと焼きおにぎりをチョイスして食べ始めた。
「ところで皆は現状なんか見つかったの?僕はいまのところ何も見つけられてないんだけどさ。やっぱり地球上には手掛かりないんじゃないんかな」
僕はみんなの状況が気なった、また昨日みたいに僕だけ何も見つけられてないとしたら、いたたまれない。特にさっき二山と俺が迎えに行った時の初絵と雪の凄まじい量の資料が出された机と、どこから持ってきたのか、a4コピー用紙に数枚にびっしり書き込まれていた情報量を見てるとその進捗が気になってしまう。
「んー、私は特になんもないかなー。いや、っていうのもさ、結局宇宙の異変に関して言えば明らかに明らかにこの太陽系に連なる、惑星、恒星、衛星群はさ、そのどれもが似ているだけの別物だってとこは確定させられたんだけど、だからと言って昨日建てた仮説の裏付け程度でしかなくて、肝心のなぜ私たちが今こんな場所にいるのか、どうしたら帰れるかの糸口は一切見つかってないからね。引き続き午後も調査を続ける予定ー」
初絵ちゃんがハムサンドイッチをモグモグと食べていた手を止めて答えを返してきた、どうやらあそこまで専門書を端から端まで読み込んでいた初絵ちゃんですら進捗は芳しくないようだった。雪も何か話したそうに皆の顔を視線で行き来していたが、どうやら大きく頬張っているカレーパンが口の中にあり話せなさそうだった。そこで雪がタイミングを失って空いた間に二山が先に話し始めた、二山の方を向くとすでに食事は終わっているようだった。
「俺は、けっこう調べが進んでるけどな。北の山奥の出没する謎の原始人とか、国が秘匿している宇宙人の情報とか、火星人の実在する証拠三選とか、いい感じに情報が集まってきたところだ。」
「うん、なるほど。特に進捗なさそうだねー」
「なあに、言ってんだよルカ!これはオカルトマニアな俺が初めて見た都市伝説だぞ!つまりこの世界独自のオカルトだ!まってろよー、きっとここら辺から何か大事な情報が見つかるはずだ。しかし、もっと深くまで情報を掘り進めたいところだが、こういうオカルトや都市伝説は書物ではあまり網羅できないんだ、本来はネットやSNSなどで有志からの情報を頼りにしたいところだが……」
二山が熱弁している脇で雪の方が丁度食事が終わったようで、二山の暴走マシンガントークを止めた。
「二山は順調そうだね。もしかしたら宇宙に関する都市伝説は本当に何かの手掛かりになるかもしれないから、そこら辺を午後から詳しく調べられる?」
「おう!任せとけ!」
二山は元気よくサムズアップし満足そうな様子で席に座った。
「じゃあ、私からの中間報告するね。とはいっても私こそ何も調べられなかったよ。法律関係について調べてたけど、別に六法を全部暗記してるわけではないから、私の知ってる範囲で情報を集めて前の世界との違いを調べたけど。今のところ異変なしね。まあ、むしろ法律に関しては何も違いが無い方が、ありがたいからいいんだけど、とりあえず私もこのまま午後も調べるから」
雪の話が終わったタイミングで僕達は全員既に昼食を終えていたため、直ぐにまた図書館に戻ることにした。
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