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ドッペル大転移  作者: 鳥木野 望


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11/15

11話

翌日、僕たちは特に目覚ましを付けることもなく6時を過ぎたころにそろそろと起きはじめて前日に雪が買ってきていた総菜パンを食してから、全員でバスに乗って図書館に向かった。だいたい三十分くらいバスで揺られ図書館前のバス停に着いた。


「あー!!ごめん、みんな。私、完全に忘れてた」


バス停に着くと直ぐに初絵は図書館の門の前で慌てた声を出して謝ってきた。急に謝りだした初絵に何事かと最初はみんな戸惑っていたが、僕は初絵の立っている先の図書館の門を見て得心がいった。


「あ、まだ開館時間じゃないのかー」


図書館の前の門はまだ閉まったままで、その門の柱には利用案内と営業時間が記されていた。


「そう!ごめん!9時かららしいの。だからあと1時間以上ある……」


・・・・・・その後、僕たちは近くにある公園に移動し、自動販売機でジュースを買い東屋に集まり時間をつぶしていた。そのうち初絵は暇を持て余し、少し散歩してくるといってふらふら歩いて行ってしまった。


「いやー、しっかし、暇だなあー。暇すぎて風邪ひきそう」


二山はずっと定期的に暇すぎて似たような事を繰り返し愚痴っていた。しかし徐々に意味不明な言葉が混じってきた。そろそろ壊れそうな気がする。隣を見ると雪は姿勢は正しいまま目を閉じて微動だにしなかった。二山ほどではないが僕も現代っ子として携帯電話がないと暇を潰すことが出来ずに困っていた。しかし携帯の使用は先日の電話の混線の件から、ドッペルゲンガーと共有になってる可能性を加味して極力使用を控えることになっているため、使えない。バッチンっと膝を叩きながら勢いよく二山が立ち上がった。


「なあ、ルカちょっと俺たちもいかないか?」


「ああ、さすがに暇すぎる。ちょっとそこら辺ぶらつこう。っていってもここら辺まじでなんもない住宅街だけどね。田中さん散歩してくるねー」


声かけるとこちらを見ずに雪は小さく手を振ってきた。


「うん。時間になったら戻ってきてね」


僕達は公園の周りをふらふらと歩いた。平日だということもあってか、道には人の姿はすくなかった。


「いやー、しっかし見たまんま俺たちのいた街にしか見えねーな。なあ、ルカなんか改めて思うとよおー、この世界ってホントに俺たちの世界じゃないのかねー」


「なあに、藪から棒にいってんの。ドッペルゲンガーとか初絵ちゃんの実体験から考えてそういう結論になったでしょ」


そんなやり取りの中、隣を歩く二山を見ると、いつもと違いふざけている雰囲気は微塵も感じられず、久しぶりに真剣な表情の二山を見た。僕は立ち止まり二山の方を向くと、二山もその真剣な面持ちでこちらを向いてきた。


「こうしてるとよー、どうしても思っちゃうんだよ。俺たちはこの世界に居ていいんだって、なんつーか凄い抽象的だけどよ、本来俺たちが居るべき場所じゃないはずなのに、この世界に異質として存在してる気がしない、当たり前だけど、どこみてもおれたちを気にする人はいない」


「まあそうだね、僕も同じ気分だよ」


「なあ、ほんとは俺たちこそが本物で、あそこで、俺たちの居るべき場所で、俺たちとして存在しているヤツラこそ異物なんじゃないか?……もしさほんとはこの世界は俺たちの居た世界で、そんななかで急にヤツラが現れて、俺たちに成り代わって平気な顔してあそこで笑っているとしたら、そうだとしたら」


「二山、まだ何も分かってないんだ、考えるのは大事だし、そこからなにか閃きを得られる可能性もあるけど、考えすぎは毒だよ。特にこういう答えが直ぐ近くにない状態では危ない」


「ああ、悪かった。変なこと言ったな。まあ、俺はあんまり考えないようにするわ、オカルトは大好きだったけど、いざ自分がこういうヘンテコな事態に放り込まれると困っちまうな。まあ、初絵さんに、田中さんに、ルカ、信頼してるぜ」


僕達はそれからは時間まであまり話さずにふらふらとしてから、元の場所に戻った。すでに初絵は戻ってきていて、雪と何かしら話していた。僕たちが近づくと初絵ちゃんはこちらに気づき元気よく手を振ってきた。


「あ!ルカ君、糺君!戻ってきたんだー、よおし、時間ぴったりじゃん。もう、門は空いてるし入れるよ。いこー」


図書館に向かう途中、僕の頭にはさっきの二山の様子が残っていた。もしも、あらゆる事象を無視し、二山の言ったような状況にあったとして。それでもやはり僕はあり得ないと断じるしかない。だってこの世界の初絵ちゃんはやっぱり消えてしまっているのだから。いや、正確には今、僕たちの目の前にいる初絵ちゃんの中にいるのだから。しかし、二山の追い詰められた表情を見ると僕もなんだか心が騒がしくなる、本当にいま僕たちの身に何が起きているのだろうか。僕は不安を出さないように、少しでも何か手掛かりが見つかるように、そんなことを祈りながら図書館に向かった。

明日の天気は晴れのち曇りの予報です。ところにより嵐です。急激な天気の変化に気を付けてください。


次回更新は今日か明日になると思います。

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