星が願うものは?
七星:フルネームは羽守七星。人気作家で星眼持ち。静かな死を望んでいる(性別はどちらでも)
莉玖:フルネームは丘島莉玖。七星の親友。七星の気持ちを思っている(性別は男性)
優希:フルネームは早瀬優希。莉玖の後輩。星眼持ちを羨ましく思っている(性別はどちらでも)
アナウンサー:七星の親と兼役。性別はどちらでも
莉玖:ふぅ、定時までには終わった
優希:先輩、お疲れ様です
莉玖:お疲れー。早瀬も終わりか?
優希:はい。そういえば先輩って電車通勤でしたっけ?
莉玖:そうだ
優希:なら、一緒に帰りませんか?なかなか機会がないので
莉玖:確かに、俺が残業づくしでタイミング無かったからな。いいぞ
少しの間
莉玖:やっぱラッシュ時間に当たったか
優希:みたいですね。人混み酔いがある人にとってはきつそうですね
アナウンサー:ここで、スペシャルゲストをお呼びしましょう。ジャンルの幅が広く、素晴らしいシナリオを書き続け、多くの人々を魅了し続ける今話題の作者、羽守七星さんです。よろしくお願いします
七星:よろしくお願いします
莉玖:ん?あそこの大型ビジョンに写ってるあいつって······
優希:あー、羽守七星ですね。最近有名な作家さんじゃないですか
アナウンサー:そういえば、羽守さんの眼は星のように輝いていますね。もしかして、星眼持ちですか?
七星:はい、そうです。両親は神の恵みだと嬉しがってましたから
優希:そうでしょうね。星眼は、芸術系や研究系などあらゆる才能を持つ者の象徴ですからね。あーあ、自分も星眼持ちで生まれたかったな
莉玖:······本当に星眼持ちで産まれたら、いいことだけが起こるのか?(小声)
優希:先輩?なにか言いましたか?
莉玖:いや、なんでもない。それより、急いで帰らなきゃまた遅刻するぞ?
優希:あ、そうでした!先輩、急ぎましょう!
莉玖:そうだな
少しの間
莉玖:······あいつ、元気そうだな。よかった
少しの間
アナウンサー:星眼持ちは、素晴らしい才能を与えられると聞きますが、本当ですか?
七星:本当ですよ。ただ······
アナウンサー:どうしましたか?
七星:いえ、ただ簡単に自らの才能が分からないので、自分で見つける必要があるんですよ
アナウンサー:そうなんですね
七星:だから、私が文の才能があるとわかったのは偶然ですが、良かったことでもあるのですよ
少しの間
莉玖:ふぅ、やっぱ仕事後の風呂は最高だな。飯までまだ時間があるし、どうするか。······ん?羽守から電話?もしもし
七星:もしもし、丘島くん。久しぶりだね
莉玖:ああ、久しぶりだな。というか、こうやって話すのも高校を卒業した時以来じゃないか?
七星:そうだね。それ以降は、お互いに忙しすぎてなかなか出来なかったからね
莉玖:だな。ってか今日、星我原駅近くの大型ビジョンにお前が映ってたのを見たぞ
七星:あー、あれね。どうしてもって言われたから出たけど、ほとんど星眼持ちだからって決めつけられた言い方ばっかりだったから、ちょっと嫌だった
莉玖:そりゃあそっか。星眼持ちだからだけで決めつけられるの嫌いだもんな
七星:丘島くんは本当に僕のこと、よく分かってるじゃん
莉玖:まぁ、羽守と俺の仲だしな。分かるさ。ってか俺、飯食わなきゃだからそろそろ切るな
七星:うん、わかった。おやすみ
莉玖:おやすみ。うし、今日の飯は簡単飯にするか!
少しの間
莉玖:おはよう。早瀬
優希:おはようございます、先輩。いつも思いますけど、早いですね
莉玖:まぁ、俺の癖だからな。そういえば早瀬は、羽守のこと知ってるんだな
優希:当たり前じゃないですか!今とぎ知らない人なんていないと思いますよ!
莉玖:まじか、俺昨日初めて知ったんだが······
優希:そうなんですか!?まぁ、先輩ってあまり本を読むイメージがないんで知らなそうだなとは思いました
莉玖:なんだよそれ!あ、そろそろ朝礼が始まるな
優希:そうですね。それじゃあ、お互いに頑張りましょう!
莉玖:それ俺のセリフな!
少しの間
莉玖:ふぅ、終わった。······ん?電話だ。はい?
七星の親:もしもし、丘島莉玖って君かい?
莉玖:はい。その名前は俺ですけど
七星の親:私、七星の親なのですが七星からあなたの事を聞いていたので連絡しないとと思いまして······
莉玖:羽守になにかあったんですか?
七星の親:実は······七星が亡くなったんです
莉玖:······え?羽守が?
七星の親:はい、病態が悪化してしまったせいで医者でも難しいと
莉玖:······そうですか。わざわざ連絡ありがとうございます
七星の親:いえいえ、それでは。
莉玖:はい。それでは。······う、うわぁぁぁぁぁぁ!!
少しの間
アナウンサー:緊急速報です!あの今話題となっている作者、羽守七星さんが亡くなったことが明らかとなりました。
莉玖:······羽守、なんで俺に言わなかったんだよ······
優希:先輩、大丈夫ですか?あれなら今日早退してもいいんじゃないですか?
莉玖:いや、大丈夫······多分
優希:それ大丈夫じゃないですって!
莉玖:······なぁ早瀬、星眼持ちが羨ましいって言ってたよな?
優希:はい、何なら羨ましく思わない人って中々いないと思いますよ?
莉玖:そっか······、けどその星眼に秘密があるって言ったら、どうする?
優希:どうする?ってどういうことですか?
莉玖:星眼持ちにしか分からないことがあって、それを知りたいか?ってことだ
優希:興味あります。聞きたいです
莉玖:わかった。だがこれは、俺と早瀬だけの秘密だからな
優希:わかりました
莉玖:実は、星眼持ちの才能は「自らの命」を代償としてできるものらしい
優希:······え?自らの命ってことは、才能を使えば使うほど、寿命が無くなるってことですか?
莉玖:そういうことだ。俺は羽守とは高校からの親友で、羽守から聞いた事でもあるんだ。だがそれは、科学的に認められてないがために誰も知らないらしい
優希:自分、壮大な秘密を知った気がします。じゃあ羽守七星の死って
莉玖:確実に才能の使いすぎによる寿命だ。羽守は、静かな死を望んでいたんだ。たった1人で、誰かの悲しむ顔を見ずに死ぬ事が
優希:そうだったんですね······。先輩、一緒に墓参り行ってもいいですか?
莉玖:ああ、いいぞ。······最後の別れの言葉くらい言わせろよ。バカ
少しの間
七星:丘島くん、ありがとう。さよなら