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一心同体!幽霊使いの異世界生活  作者: 春風一
1章 霊体融合編
3/7

泣いてるお姫様を助けよう

1日1回投稿、長続きしますかね?

3日目突入。三日坊主にならなように頑張ります。

 青々した森林地帯を歩き始めて早1時間、何も見当たらない。あとコックリさんが出てこないんだけど何かあったのかな?


 どこに進もうが景色は変わらず気がつけば日が沈みだした。そして腹の虫の方も鳴き始めた。


 幸いにも木に果物らしきものが実っている、だが相当高いとこに実っているため木に登らなければいけない。だが、足元が見えないほどに暗い。


「私に任せて!」


 腹部から出てきたのは広子さん。広子さんが『あつあつ!』と叫んだ。狂気の沙汰にしか見えないが、俺を囲むように辺りが明るくなるのがわかった。


「うわ、眩しい!」


「玲くん!拳を上に上げて『あつあつぱんち』って叫んで!」


 え、何そのダサい技。面白そうだからやってみるけどさ。


「あつあつぱんち!…なんてね」


 上げられた拳から拳の形の火の球が果実のなる枝を撃ち落とした。威力は微小だが人に当たったら火傷程度じゃ済まない。これは魔法かな?すごいねー、感想はその程度。


 果実はりんごのような形をしている。


「毒あると思います?」


 俺は影山さんに聞いた。


「さぁ?一回食ってみたら?もう死なんて怖くないしょ?」


…俺は影山さんを呼んだんだけど、どうして恋さんが出てきたのかな?


「いや、俺たちは融合体なんですよ!今回は俺が苦痛を感じたら恋さんも苦痛与えられるんですよ!?」


 思い出したかのように恋さんは恐怖に震えだし引っ込んでしまった。


「イタイノヤダ…」


 過去のトラウマが蘇ったのだろう。自殺したとは聞いたがどういう風に自殺したかは教えてもらっていない、相当苦痛を伴う死に方をしたのだろう。


 残念なことに俺たちの中に自然に詳しい者はいないため一か八かで果実にかぶりついた。


 見た目はりんごのように赤い果実だが食感は梨に近くしゃりしゃりしてとてもみずみずしい。


「普通に美味しい」


 腹が膨れ、水分も取れる一石二鳥。まるで森林で道に迷った人のための食べ物みたいだ。随分と人間に優しい果物だ。


 りんごみたいな果実のおかげで一晩は過ごすことはできた。だが、2日連続はきつい。今日中には街を目指そう。できれば美少女にも会えたら嬉しいな。


 気になるのはエルフや獣人の女性。この辺ならどちらの種族とも出会えそうだが、まともに会話出来るのだろうか?


 エルフは耳が長くて細身なイメージ、獣人は毛深いイメージだが本当はどんな見た目なのか。実際いるかもわからないため期待せずに探してみよう。


 ところで、みんなの異性の好み知りたいな。


「私は山口多聞様みたいな勇猛果敢な男性が好きかな〜」


 と広子さんが言う。初めて聞く名前だ。


「かー!これだから若者は!狂犬、人殺しの多聞丸よ!」


 コロコロと名前が変わるが山口多聞と多聞丸は同一人物だ。それにしても物騒な通り名だな。次は影山さんの好みの女性を聞いた。


「私は…思いつきませんね…」


 長年ブラック企業で働いていたせいで恋の仕方というか好きなタイプを忘れてしまったのか、可哀想だな。意外にも恋さんも同じ答えが返ってきた。


「私は思いつかないと言うか、恋愛は懲り懲りなのよ」


 確かに、彼氏に二股かけられて自殺するほどならもう恋愛なんてしたくないよな。悪いこと聞いたな。


「私はイケメンなら誰でもウェルカム!SでもMでも、どんな体位でも…罵られてもイケメンなら本望よ!」


 気持ち悪い。融合して愛さんのイケメン好きの効果が出ないことを願おう。同性愛には否定的じゃないが俺は女の子がいい。


「人に聞いておいて自分は言わないの?」


「…広子さん、意地悪しないでください。みなさん俺の考えてることはわかるんですよね?」


 ベースになった玲は幽霊たちの頭の中を覗くことはできないが、融合した霊たちは玲の頭の中を覗くことができる。


 さて、また変な雑談で時間を潰してしまった。空がオレンジ色に染まり、夜も近くなっていた。


…今日は野宿決定だ。



 さて、今日は昨日と違う出来事があった。目の前にいるのは膝を抱えて泣いている少女。


 日本では見なかった桜色の綺麗な髪に葉っぱが付いている。木から落ちたのかな?


 顔は見えないが絶対可愛い。服装が気品溢れている、高そうだ。お姫様かな?


 助けたら惚れてくれるかな?…そんな夢みたいなことは起きないだろう。変なことに巻き込まれるのは嫌だ、放っておこう。


「痛い!?」


「ちょっと!困ってる女の子を助けるのは男の役目よ!」


広子さんが俺の足を引き留め少女へと向かわせる。仕方ない話だけでも聞いてやろう。


「君、大丈夫?」


  少女が顔を上げる。俺はあまりの衝撃に尻餅をついたのだった。

山口多聞とは

幼少期に多聞丸と呼ばれていた。

海軍中将、「飛龍」の艦長で、最後は飛龍と共に海に沈んだ。

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