5.原因調査と解決方法。
「やっぱりそうだ。これって、いったい……?」
僕は先ほどの女の子の母親に案内を頼み、貧困街に流れる川をさかのぼった。そして限界まで上流まで来たところで、水をすくって銀細工の施された調合道具をあてがう。
すると大方の予想通り、道具の銀の部分だけが紫色に変色した。
これはつまり、この水の中に何かしらの毒素が含まれている証拠。聞くところによると、ラミレア症例を発症した子供たちは、多くがこの場所で水浴びをしていたという。
これで『穢れ』だとかいう馬鹿げた考えは、否定されることになった。
僕は居住区に戻りながら、今後の対策を考える。
「まずは、汚染されていない清水が必要だな。そうなると――」
大量のラミレアの茎と同じく、水を調達しなければならない。
アーニャを信じるなら、茎の確保は大丈夫だけど。しかし事は一刻を争う状況で、まったく汚染されていない水となると、難しいように思われた。
「すみません。この近くに、他の水源はありませんか」
「他の水源、ですか……?」
こちらの問いかけに、女性は首を傾げる。
そして、少し考えてからこう言った。
「あるには、ありますが……」
少しばかり煮え切らない言葉。
その理由は、その場所に向かってすぐ理解した。
◆
「これは、濁りが酷い」
「はい。近くに採掘場があって、水には常に泥が混ざっているんです」
「…………うーん」
それでも、色々確認したが毒素は含まれていない。
分量としては申し分ない。だが、そうなってくると――。
「ろ過する必要が、ありますね」
「ろ過……?」
こちらの言葉に、女性はまた首を傾げた。
ろ過というのは砂利や砂を使い、泥水から真水を抽出する方法だ。やり方はそこまで難しくなく、真水の調達はこれで良いように思われた。
それでも問題は……。
「相当な人手と時間が必要、か」
そこであった。
とりわけ、ミルのような状況の子供は常に看病が必要だ。
そうなってくると、とにかく人手が不足してくる。貧困街の人々は頼めば協力してくれるだろうけど、それでも足りるかどうかは怪しい。
それなら、一か八か彼女に協力を申し出るしかなかった。
「師匠! 街にあるお花屋さんから、集められるだけラミレアの花を集めてきました!!」
「あぁ、ありがとうアーニャ! それで、悪いんだけど――」
居住区に戻ると、そこにはアーニャの姿。
そしてありがたいことに、大量のラミレアの花が用意されていた。だが、先ほども言ったように問題は山積み。だから僕はもう一度、少女に頼むのだった。
「アリシアや、公爵家のみんなに協力をお願いしたいんだ!」――と。
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。
創作の励みとなります!
応援よろしくお願いします!!