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5.原因調査と解決方法。








「やっぱりそうだ。これって、いったい……?」




 僕は先ほどの女の子の母親に案内を頼み、貧困街に流れる川をさかのぼった。そして限界まで上流まで来たところで、水をすくって銀細工の施された調合道具をあてがう。

 すると大方の予想通り、道具の銀の部分だけが紫色に変色した。

 これはつまり、この水の中に何かしらの毒素が含まれている証拠。聞くところによると、ラミレア症例を発症した子供たちは、多くがこの場所で水浴びをしていたという。


 これで『穢れ』だとかいう馬鹿げた考えは、否定されることになった。

 僕は居住区に戻りながら、今後の対策を考える。



「まずは、汚染されていない清水が必要だな。そうなると――」



 大量のラミレアの茎と同じく、水を調達しなければならない。

 アーニャを信じるなら、茎の確保は大丈夫だけど。しかし事は一刻を争う状況で、まったく汚染されていない水となると、難しいように思われた。



「すみません。この近くに、他の水源はありませんか」

「他の水源、ですか……?」



 こちらの問いかけに、女性は首を傾げる。

 そして、少し考えてからこう言った。



「あるには、ありますが……」



 少しばかり煮え切らない言葉。

 その理由は、その場所に向かってすぐ理解した。







「これは、濁りが酷い」

「はい。近くに採掘場があって、水には常に泥が混ざっているんです」

「…………うーん」



 それでも、色々確認したが毒素は含まれていない。

 分量としては申し分ない。だが、そうなってくると――。



「ろ過する必要が、ありますね」

「ろ過……?」



 こちらの言葉に、女性はまた首を傾げた。

 ろ過というのは砂利や砂を使い、泥水から真水を抽出する方法だ。やり方はそこまで難しくなく、真水の調達はこれで良いように思われた。

 それでも問題は……。



「相当な人手と時間が必要、か」



 そこであった。

 とりわけ、ミルのような状況の子供は常に看病が必要だ。

 そうなってくると、とにかく人手が不足してくる。貧困街の人々は頼めば協力してくれるだろうけど、それでも足りるかどうかは怪しい。

 それなら、一か八か彼女に協力を申し出るしかなかった。



「師匠! 街にあるお花屋さんから、集められるだけラミレアの花を集めてきました!!」

「あぁ、ありがとうアーニャ! それで、悪いんだけど――」



 居住区に戻ると、そこにはアーニャの姿。

 そしてありがたいことに、大量のラミレアの花が用意されていた。だが、先ほども言ったように問題は山積み。だから僕はもう一度、少女に頼むのだった。




「アリシアや、公爵家のみんなに協力をお願いしたいんだ!」――と。




 


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