4.突き付けられた矛先。
今日は休むと言っていましたが、書いちゃいました(*‘ω‘ *)
「――それで、フィリス王女の容態はどうなのだ。リフレス」
「マクガヴァンさんの予測通り、何かしらの毒性によるものでしょう。ただ初期症状を見逃したことと、身体そのものには異変がないので……」
「なるほど。解毒の専門家でも判断に時間がかかる、ということか」
「そうなります……」
その日のうちに、僕は王城に招かれてフィリスの診察に当たった。
宮廷治癒術師たちの力では解決できなかったため、マクガヴァン師が僕へと白羽の矢を立てた、ということだ。そして彼の推測は見事に的中し、いまの診察に至る。
僕は一つ息をついた。
すると、傍らに控えていたアーニャがハンカチを差し出してくれる。
「師匠……フィリスさんは、大丈夫なのですか?」
「うん。少なくとも、現時点ですぐに何かが起こることはないと思う」
「それって、でも……」
「………………」
受け取り、答えると少女は悲しげにそう口にした。
最後まで言わなかったのは、こちらへの配慮に違いないだろう。
しかし、アーニャの言葉の通りだ。たしかに今すぐ容態が悪化することはない。しかし遅効性のものと思しきこの毒の正体が分からない以上、手の打ちようがないのもたしかだった。
つまり、フィリスの命に危険が迫っていることは間違いない。
そう思い、すぐに調査に入ろうとした。
「待ってもらおうか。――リフレス・フリングス!」
「え、貴方はたしか……?」
一人の治癒術師が、苛立った様子で会話に割って入ってきたのは。
青の髪に、深緑の瞳をした青年だった。眼鏡を着用して、いかにも研究者然とした出で立ち。そんな彼の名前を僕は知っていた。
「アレク・ウィトゲインさん、ですよね……?」
その青年の名前は、アレク・ウィトゲイン。
治癒術の名門であるウィトゲイン家の嫡男であり、誰もがその才覚を認める人物だった。そんな彼がいったい、こちらに何の用があるというのだろうか。
そう考えていると、アレクさんはあからさまに僕を見下してこう言った。
「私の名など今は関係ない。それよりも、犯人確保が最優先だろう?」
「え、犯人が分かるんですか!?」
あまりの展開に、思わず驚きの声を上げてしまう。
だが、その返答に対して相手はさらに苛立つ様子を見せた。そして、
「なにを白々しく振舞っているのだ」
「え……?」
僕を指さして、アレクはこう告げたのである。
「フィリス王女の御身に毒を仕込んだのは、貴様だろう! リフレス!!」――と。
有無を言わさぬ口振り。
あまりに力強くそう宣言され、僕はしばし何も言い返せなかった。
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