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無邪気なお話(仮題)

僕は子犬である

作者: 浮き雲

縁あって、ちょっと可愛げのない子犬と暮らしています。せっかくなので、よくある形式で、彼のことを書いてみました。もちろん、その他の設定はフィクションです。



僕は子犬である

縁あって、この群れ(家族)で暮らすことになった

名前はあるらしいが、興味はない

聞こえれば「あ」でも「う」でもいいのに、長ったらしい名前で呼ばれても覚える気にならない

僕が覚えたことはふたつ

遊ぶことと、群れの仲間とうまくやることだ


遊ぶことは、いろいろあるけど、案外、奥が深い

だから、まずは、仲間とうまくやることからだ

コツは群れの仲間を覚えることと、群れに序列をつけることだ


もちろん、群れの仲間は覚えている

だが、困ったことに、時々、群れの仲間は増えたりする

めったに来ない仲間でも、仲間は仲間だ

いつ、仲間の助けがいるかわからない

だから、目いっぱい愛想をよくしてみせる

いつもの仲間にはそれなりだから、「また、媚を売って」と笑われるが、知ったことか

備えあれば、憂いなしなのだ


群れの序列も、いまじゃあ、ナンバー2だ

すくなくとも、僕は、そう信じている

ナンバー1は、もちろん、ボスだ

ボスにはかなわない

軽くお尻を叩かれるだけで、思わずしゃがみこんで震えてしまう


ボスの次が僕だけど、ライバルがいる

ボスの奥さんと長女だ

こいつらは、力は僕より強いし、前足も器用だ

だけど、賢さでは僕に負けている

僕がおなかを見せて甘えたりなんかすると、もう、メロメロ

演技だってことは考えないみたいだ

いつも、コロッと騙される

いつか、力だって、こいつらを超えて、ナンバー2の地位を確立するんだ


僕より格下は、末っ子の長男だけだ

まだ、小さいから歯をむき出して唸ってみせると、びっくりするのがわかる

僕より臆病だから、こいつだけは格下なんだ

格下ってことは、僕に気を使うべきなのに、こいつは一番自由だ

僕が部屋に入れられているときだって、好きなように家の中を走り回っている

だから、こいつを見かけると、悔しくて、思わず吠えてしまうんだ

ボスや、他の仲間たちが怒るけど、群れの序列は大事なんだぜ


そうだ、群れの序列とは別に、僕の食事係も大切だから追加しておこう

朝は、早起きのボスだ

精いっぱいしっぽを振って、媚びてみせる

もちろん、食べて良いって言われるまでは、じっと我慢だ

時々、よだれが垂れるけど、可愛いものさ


夜は、ボスの奥さん

育ち盛りでおなかが減るから、奥さんがキッチンに立つと、その足元でじゃれついてみせる

うるさそうに、でも嬉しそうに声をかけてくれるから、目いっぱい、しっぽを振るんだ

もちろん、それで、食事が早くなるわけじゃない

時々落っこちてきた食べ物を素早く咥えて逃げるけどね

追いかけっこは得意だから、拾ってしまえばこっちのものなんだ


僕は子犬である

だから、おしっこを外でしたことはない

散歩のとき、電柱の匂いをかぐけど、怖くて、しっぽが丸まってしまう

あんな怖そうな犬たちのおしっこの上に、おしっこをかけるなんて自殺行為だ

それに、外でトイレをするなんて下品なこと、ボスだってしないしね

そう言いながら、なぜなんだろう

時々、片足をあげたくなるんだ



僕は子犬である

だから、好き勝手なことを言っても、当分は、大目に見て欲しい





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