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第6話

「え?先輩はなにを言ってるんだ!」


 俺の反応を無視し、中原先輩は話しを続けた。


「って、今日、文学部の女子と合コンにいく予定だったん。だけど、男一人欠席することになってさ、困ってんだ……なので、佑弥も一緒に来いよ!」

「いや、俺はそんなもんに興味ないだ」


 正直、そいうところに行くより、家でゲームをする方が何十倍いい。

 しかし、中原先輩は俺の肩を掴んで、真面目な顔で俺を見つめる。


「頼むよ!!今回だけ助けると思って!そこに居てくれるだけで大丈夫です」


 全く興味のない人間にとってはそれだけでなかなか辛いものがある。


「いやいや、俺は合コンに苦手です。他の人を探す方が……」

「でも、今この教室にいるのは佑弥だけ!」

「なら、延期するとか?」

「無理、今回来るのは飛び切り可愛い女子ようです。 絶対開催したいです!!」


 中原先輩の必死な表情を見ると、どうやら、合コンの誘いが難しい。


「…………でも——」

「ゆ、佑弥の飲食代は俺が持つ!」

「いや、金の問題じゃないけど……」


 言い訳を探しているとき——


「やべぇ、こんな時間になった!」

「え?!」

「ぐずぐずしていると遅刻するので、一緒に行こう」

「いや、俺はまだ……」


 返事する前、俺は中原先輩に背中を押されて、教室を後にした。


 ※※※※※※※


 約三十分後。

 俺たちは商店街に到着した。

 

 途中で何度も早坂さんにメールしたいですが、なかなか勇気が出せない。

 結局何もしなかった。


 目の前のは大学生がよく来るの飲み屋です。


「帰りたい…」

「つれないことを言うなぁ~」


 あくまで食事をするためここに来るので、ささっと終わらせよう。


「あ、佑弥は初めて参加するけど、緊張する必要がないよ」

「…………」

「俺はきちんとフォローしてあげるぞ!」

「そりゃ、ありがとう」


 中原先輩は飲み屋の扉を開ける。


「いらっしゃいませ——えぇ?!」


 懐かしい声が響いた。

 その瞬間、俺は目の前の店員と目が合った。


「あ……は、早坂さん」


 そこに立っているのは店員服を着ている早坂咲音です。


「ゆ……お客様は何名様でしょうか?」


 ビックリした早坂さんはすぐに店員モードに戻ってきた。

 俺のことを知らないふりをする。


「は、はや……」

「六人です。それと——」


 中原先輩は一歩先を歩き出す。


 話し終わった後、早坂さんは一度カウンターに行った。


 しばらく待っていると、早坂さんはメニューを持って戻って来た。


「では奥の個室にどうぞーー」


 中原先輩と一緒に席に向かおうとしていたところを、早坂さんに呼び止められる。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 声を潜め、早坂さんは怒りそうに話す。

 彼女の顔を見ると、微笑んでいるが目は笑っていなかった。


「…………」

()()()ですよね。説明してくれる?」

「…………」


 やはりそういうことになったなぁ。

 変な誤解をされないように、先に説明した方がいいと思い、俺は足を止めた。


「ん?佑弥、どうした?」

「……中原先輩、すみません、緊張のせいでおなかは少し痛い、ちょっとトイレ」

「そうですか……でも帰るなんと甘い考えを諦めなぁ~」

「わかってます——」

「ならいい」


 それを言いながら、中原先輩は一人個室に向かって歩き出す。


 俺は休憩を入れてもらった早坂さんと一緒に店を出た。


※※※※※※※


 店員服を着ている早坂さんの姿を見ると、改めて彼女を美少女だと思わせた。

 それに、通行人の目は、先ほどから彼女に釘づける。


 それにしても、このような気まずい雰囲気を醸し出すのは今日午後も一度発生しだっけ。

 どうすればいいのか……


()()()()()()


 フルネームで呼ばれた。


「はい!?」


 俺は思わず、声を上げる。


「学校のイベントや部活を参加する方がいいっと言ったとしても、そいう女目当てのイベントを参加する男の子はダメだと思うよ?」


 うわ、笑顔で睨まれた。

 やはり誤解された。


「ち、違う!俺は被害者です……中原先輩が無理矢理ここへ連れて来たのだ」

「ふーん……?」

「本当です!」


 半信半疑の目を俺に向けて、別に疚しいことをしたわけではないけど、その視線は本当に痛い。


 それより——

 千紗の言葉が頭に浮かんだ。


『咲音ちゃん最近は居酒屋でのバイトを始めた。帰宅時間は昔より遅くなるので、エスコートしなさいよ』


「早坂さんはここで……新しいバイト?」

「はぁ……そうですね」


 ため息をついて、彼女がうなずいた。


「バイト、いつ終わる?」

「十時くらい、どうしたの?」

「あの……その……」


 これからの話をするのが恥ずかしくて、俺は地面を見つめる。

 しかし、心臓はもうバカみたいなリズムで鼓動を鳴らしている。


「桜井くん、どうしたの?」


 勇気を出して、誘ってみよう。


「えーと、もし、良かったら……一緒に帰る?」


 目を合わせると、うっかり自分の気持ちに気づかれてしまいそうで、俺は誤魔化すように視線を逸らした。


 やはり突然すぎるだろう?

 色々考えてを始めたとき、早坂さんはうなずいた。


「もし都合が悪ければ……」

「いいよ」

「お、おう!」


 歓喜の気持ちを押さえて、俺は冷静なふりをする。

 ただ、笑顔を隠しきれない。


「ニヤニヤしないて~」

「ごめん」


 早坂さんがまた微笑んだ。


「じゃあ、そろそろもどりましょう」

「うーん」

「あ、そうだ……桜井くん……」


 そして、店に入る前に、早坂さんはもう一度言った(警告した)


「女の子に()()()()をしないてよ~」

「しないてば……」

「でないと、千紗に教えますね~」

「え、どうして千紗が知らない…っと知っていますか?」

「それは()()です♪」

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