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第10話 【早坂咲音 視点】

 ゆっくり、ゆっくり、私たちは歩いていく。

 そのあと、沈黙が流れる。


 桜井くんはいつもの様子に戻ったけど、

 何を悩んでいるのか……


「………………桜井くんのバカ」


 隣に私の歩くペースに合わせる桜井くんの横顔を見って、私は思わず、自分だけ聞こえるような声で、囁いた。


「どうした?」

「い、いえ」

「あの、合コンで会った女の子ですが……彼女が俺に」

「ん?」

「い、いや、何でもない」


 どうやら、合コンで何かあったらしい。

 歩いているうちに、マンションが近づいてくる。


「それじゃあ、また明日」

「うん、今日、ありがとう。 また明日ね、桜井くん」


 廊下で別れると、私たちは自分の部屋に入った。


※※※※※※※


 今日一日の疲れを流して、さっぱりしてお風呂から出ると、もう日付けが変わりました。

 隣の電気は既に消した。桜井くんはもう寝たのか。

 私は自分の机に向かい、ノートを開いた。


「…………」


 頭をよぎるのは、やっぱり桜井くんの事だ。


 彼が言いたいこと、大体()()ができる。

 ()()ができるからこそ、それを言わせない。


「ふぅ……」


 そう、図書館の専用席を取り戻すなんてのはただの言い訳。

 本当は…………


 しかし、

 ()()()はダメだ。


 桜井くんに一目惚れには見えないし、積極的にアプローチして行く態度もあざとい。

 それに——


『さ、桜井さんは()()手に入れる』

『えぇ、大胆ですね~』

『あたしが本気を出して、落とせない男なんかいないよ』

『でも、なぜ桜井のか?』

『それは——』


 桜井くんが個室から出ったあと、そんな会話を聞いた。

 店長に呼ばれたので、会話の続きが聞いていませんが、彼女はなにか企んでるのは間違いない。

 どうすればいいのやら。

 とりあえず、桜井くんと顔を合わせないようにする方がいいと思う。


この世界(現実世界)でも、面倒な事も多いですね」


 まぁ、昔の世界では毎日戦いで忙しくて、恋愛する余裕もない。

 今日の日記を書き終わったあと、私は電気を消して、そのままベッドに倒れ込み、天井を見つめた。

 

「ごめんね、桜井くん……そんなやり方で」


 手を上げて、握ったメモ紙を見ながら、私は大きなため息をついた。


「桜井くんのバカ……ん?」


 突然、私は一つことを気づいた。


「え、この番号は……」


『誰からのですか?』

『分からない、知らない番号だ』


 間違いない。

 これは、桜井くんが私に見せた番号だ。


「…………!」

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