第10話
「さ、桜井くん、いきなり…どうした…の?!」
俺の勢いに圧倒されて、早坂さんが少し後ろに下がる。
早坂さんの顔は、いつもの表情がして、でも不安してるような感じもした。
「は、早坂さん……俺は…あなたのことが……」
今まで、何度も告白しようと思ってたけど、結局それは出来なかった。
今日は…絶対に。
でも、こんなことをするなんて……やっぱりドキドキする。
「は、早——」
急に激しい頭痛が襲ってきた。
「ぐっ……!!」
「さ、桜井くん?!」
早坂さんは心配そうに俺を見つめる。
「だ、だいじょーぶ……では、話しを——」
突然、携帯が鳴った。
ずっと緊張していたせいか、体がビクッと反応してしまう。
「知らない番号だ……何だろう?」
そう言いながら、俺は通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『…………』
電話の向こうは呼吸音しかいません。
「ん?もしもし?」
『…………』
「あ、切れた」
「誰からのですか?」
「分からない、知らない番号だ」
「そうです、か」
俺は携帯を晒し、着信履歴を見せる。
でも、おかげで、理性が戻った。
「————!!」
目の前に、早坂さんがいる。
距離が近い!!
先、俺がしたいことを思い出すと、恥ずかしくて、大きく後退し、目をそらした。
その恥ずかしさに意識がはっきりした。体や顔も熱くなる。
今なら、冷たい夜風が涼しく感じます。
「それで、先、なにが言いたいの?」
「な、何でもないよ」
「さ、桜井くん」
そう言うと、早坂さんは俺に一歩近づき。
距離が近くなって、俺の体温一気にが上がる。
「ど、どう、どうした?!」
次の瞬間、彼女が俺の頬っぺをつねっている。
「っいてっ!」
「桜井くん……もしかして、お酒を飲んだ?」
「いててっ……」
「そんな変な態度といい……やはりお酒を飲んだせいでしょう~? 酔った勢いで、女の子に変なことをするのはよくないよ。特にそいうこと」
頬っぺをつねる力が少し強くなった。
どうやら、俺の考えは、なんでもお見通しらしい。
「早坂さん、ごめん、俺が悪かった!!本当にいて」
「反省してる?」
「いててて!」
「どうやらまだ反省の色が見えないみたい」
「反省してる!!マジ反省してる!……許して」
「今後はそんなことをしないでね」
「は、はい、早坂さま!」
俺の返事を聞いて、早坂さんはぱっと手を離し、にっこりと微笑む。
月下のもとで、彼女の笑みを浮かべるその姿は本当に美しくて。
落ち着いた鼓動は、また早くなる。
「ごめん」
「遅くなりますし、早く帰りましょう」
「かしこまりました、早坂さま!」
「フフフ、その呼び方も止めてね~」
「かしこまりました」
「その変な敬語も……」
いつもの雰囲気に戻した。
俺たちはゆっくりと歩き出した。