第9話【一ノ瀬歩美 視点】
「桜井佑弥は行ったよ。ここでバイトしている子一緒にね」
トイレから戻ってきた男子が中原先輩に言った。
「へえ~~あいつ、彼女がいるの?!」
「俺も驚いたよ。まさか、あの桜井佑弥が……」
「そうですね。人は見かけによらないね」
「っにしても、そんな美人と一緒に帰るなんて、羨ましいなぁ~」
「………」
「それに、千紗もあいつのことを……あ、ごめん~中原先輩」
「……………」
中原さんは暗い顔になった。
でも次の瞬間、いつもの顔に戻った。
告白が断れ、面子を潰されたのせいか。
それにしても、あれは桜井さんの彼女か。
学校で見たことがあるような……
「あ、そう言えば、あの子、何処かで見たことがあるような気がしますね」
「気のせいだろう。こんな可愛い子は我が校の生徒なら、僕は特にナンパしたよ~」
「えぇ、はしたない~~♪」
桜井さんと彼女のことにつき、調べてみようか…
そう思いながら、あたしは立ち上がる。
「歩美、どうしたのか?」
「ごめん~あたし、明日も一限があるので、今日は失礼しますね~ 奢りもありがとう~♪」
個室の扉を開けようとき——
「え? 明日、一限があるの? わたしたちも帰る方がいいかな」
どうしてついてくるよ。
「え……あ……そ、そんな」
でも、彼女たちの相手が残念そうな表情を見せた。
「明日の講義、あたしが見ててあげるから 今日は寮に戻らなくても大丈夫ですよ」
一緒に来る友達は相手の顔を見って、席に座る。
「ありがとうね、歩美」
「いいえ、みんなは楽しんでね~♪」
早く追いかけないと……
桜井さんは絶対あたしのものにする。
私はもうあの時の私じゃない。
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