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第7話

 席に着いてから、10分ほど経った。

 女子達も来ました。


「お待たせ~」

「あ、こっちこっち!!」


 店の入口に向かって手をふる中原先輩にゆっくり近づいてくる女子達。


「遅くなってごめんね~」

「大丈夫だよ、私たちも今来たところだから」


 彼女達は向かい合って座った。


「あたしは中原さんの正面の席にします~!」

「ええ~いいなぁ、わたしもそこに座りたいの~」

「えへへへ、譲れない~」

「いいなぁ」


 やはり中原先輩は俺と違って、人気者ですね。


「あ、もう一人遅れて来るよ」


 そういわれてみれば、俺の正面の席が一つ空いている。


「あ~ご、ごめんなさい、遅れちゃった」

「お!噂をすれば…!」


 一人琥珀色の髪の少女が来ました。

 肌はミルクのように白く、胸部にはふたつの膨らみが存在感をアピールしている。


「へぇ……」


 俺は彼女に見覚えがある。

 昔は何度彼女が千紗と話している場面が見かけました。

 千紗の知り合い?


 もし俺は合コンに参加した事、千紗に知られたら……


『あははは、佑弥は合コンに行くなんで、うけるけど』

『ねね、何かのエロ展開に遭遇したの?!詳しく教えて——』

『次はわたしにも連れていくよ~』


 笑いながら、ベラベラ喋っている千紗の姿が頭に浮かぶ。

 ふむ、この展開は絶対避けたい。


「すみません、注文をお愿いします!」

「はい!」


 店員は言われた通りに注文を取ると、奥へと戻って行った。


「これで皆さんお揃ったといことでそろそろ始めたいと思います!」


 中原先輩が立ち上がって、みんなを見渡して言うと共に拍手が起こった。

 とりあえず、俺も場を盛り下げないために拍手をしておく。


「えーそれでは先ずは自我紹介から始めたいと思います! ではまず俺から、俺は経済学部2年の中原……」


 中原先輩がまず自分は生徒会メンバーである事、趣味などを紹介している。


「生四つとコーラ二つお待ち~」

 

 店員が俺たち注文したものをテーブルに持って来た。


「中原、干杯の挨拶をよろしく!」

「えーと……じゃあ、みんなの出会いに干杯しましょうか」


 中原先輩がカップを持ち上げる。


「干杯っ!」

「「かんぱーい!」」


 かけ声と一緒にグラスを重ねると、俺たちはそれぞれの飲み物をぐーっと飲み込んだ。


「佑弥、あなたの番だよ~!」


 中原先輩の催促で、俺は女の子達に目を向け、軽く自己紹介をすませた。


「桜井くんも生徒会役員ですか?」

「いえ」

「じゃあ、何かの部活をやっているのか?」

「それもないけど」

「なんだ~」

「でも、経済学部……」


 急に視線を感じました。

 その視線の先を追うと、()()()()()()()がずっと俺を見っている。


 目が合った時、彼女はすぐに目を伏せる。


「ん?」


 気のせいか。

 平均点すれすれの顔面レベルで、運動神経は並で、同年代の女の子に惚れられる要素は皆無と言える。

 彼女とは、初めてあったし、そんな可愛い人は俺みたいな人は興味があるわけないだろう。


 それなら——


 千紗のことか!!どうしようかなぁ!

 俺が悩んでいる間に、彼女の番になったみたい。


「歩美、あなたの番ですよ」

「あたしは一ノ瀬(いちのせ)歩美(あゆみ)と申します、文学部2年生、趣味は……」


 何故か彼女が自己紹介した時もチラチラと俺を見る。

 あまりにも露骨な行動に、彼女の友達も気づいた。


「あ、もしかして、歩美ちゃんは佑弥の事気に入った?」

「はあ?!!」

「あはははは、佑弥、お前、顏、赤くなってるよん~」

「中原先輩、うるせぇぇぇぇぇぇ!」


 俺は溜息を吐いた。

 本当にそいう展開が苦手です。


 しかし、『一ノ瀬 歩美』と名乗る子は恥ずかしいそうに下を向いた。

 

「うーん、興味……()()よ」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?」


「「ひゅ~ひゅ~ひゅ~ひゅ!」」


 驚いた俺と違って、周りの雰囲気が一瞬に賑やかになった。


※※※※※※※


 なんとか自己紹介が終わって乾杯すると会話タイムになった。


 他の人が俺たちをくっつけようとしているせいで、一ノ瀬さん今は俺の隣に座っています。


 頼んだ物をすべて并べると、テーブルの上がいっぱいになった。

 飲み物のほかに、ピザにステーキ、焼き鳥と、バランスを取るための山盛りサラダ。

 目にも楽しいこの状况は、みんなのテンションをかなり上った。

 男子達が積極的に相手の女子達に話しかけている。

 みんなは楽しくやっているのに、俺だけ、周りの空気が重い。


「ふぅ…………」

「……あ、あの、ゴメンね」


 隣の一ノ瀬さんが話しかけて来た。


「どうして謝る?」

「……なんか桜井さんに迷惑を掛けたなぁっと思って」

「いえいえ、気にしないで」

 

 軽く手を振って、俺は自分の食べたい物に手をつけていった。


「そもそもあれは一ノ瀬さんのせいじゃない、中原先輩が勝手に……」

「ふふふ、桜井さん、優しいね」

「べ、別に」

「ところで桜井さんって、合コンのこと、()()()()知ってんの?」

「ぷっ…!」


 一ノ瀬さんがとてつもないことを言い出したので、思わず吹き出してしまう。


「あ、あれー?」

「桜井さんさ~彼女いるっしょ~~」

「えーと、彼女は誰のことですか?」「ええぇ?!!」


 一ノ瀬さんの声が俺と重なり合っていく。

 よほど驚いたらしく、言葉にならない声を発した。


 なんで俺よりビックリした顔をしだ?!


「…………!?」


 一ノ瀬さんは俺に近づき、真すぐに俺の目を見つめている。


 近い!近すぎる!

 息も俺の顔にーー

 急に距離が近くなって、一気に体温が上がる。


「どうした?」


 俺は一ノ瀬さんから少し距離を取る。

 彼女また俺に近づく。


 一体なんだ?


「桜井さんって、よく長瀬さんと一緒に歩くよね。あたしそれを何度見ました」


 いわれみれば、放課後千紗と一緒に買い物行ったりやご飯を食べに行くたりことが多く。

 学部が違うとしても、同じ大学にいるなら、それを見たのは普通だろ。

 特に彼女は千紗の()()()()です。


「千紗のことか……」

「あ、呼ぶ捨て!やはり、彼女さんだよね」

「いやいや、千紗はただの幼馴染です。 これ以上の関係ではない」

「本当に?!」


 そうですか。

 先ほどチラチラと俺を見るや俺のことが気になるを言うの理由はこれですか。

 これで納得しました。


「うん」

「でも長瀬さんがいつもあなたのことを話すよ」

「あははははは……きっと俺の悪口だろう」

「じーー」

「本当ですよ」

「だから、合コンに参加……」


 コーラを何口かを飲んだ。

 直前の会話だけを聞いた中原先輩が、話を混ぜっ返す。


「ああ、合コンの話をしているね! 佑弥も合コン好きだもんね~」

「違います!!!そんな話してない!!先輩と一緒にしないて!」

「あははは、やはり佑弥、真面目だなあぁ……それなら、千紗ちゃんのことでしょう~」


 中原先輩嬉しそうに俺の肩を組む。


「はぁ……」

「最初俺も彼らが付き合ってるかなあと思うけど、でも違った……」

「へえ~そうですか~~」

「なので、こいつは相手がないよ」

「一ノ瀬ちゃん、頑張ってなぁ~!」


 中原先輩の話を聞いて、一ノ瀬さんが恥ずかしそうにもじもじし始めた。


「は、はい」

「それと、佑弥もなぁ」


 え、ええぇ?!!何を?!

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