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09 一途二・恋、やはり最後に彼女が来る

 今度こそ本当の後日談

 

 笹の意識は戻らないままだ。

 脳死はしていない。

 正直、医者にもわからない、とのこと。

 お見舞いに行ったが、彼女の目に光が無かったことを覚えている。

「魂が崩壊してるんだねん。よく、魂を抜かれた人た喰われた人と同〜じ状態だ。崩壊した人は今まで見たことな〜いけど、多分、間違いないねん」

「助かる可能性は?」

「皆無、と言ってもいいかもねん。何にせよ、僕達にできることはな〜いよ」

「く・・・・・」

 丸々さんのアパート。

 僕はバルザイの偃月刀を返しに来たのだ。

「と〜ころで、どうだった。使い心地は?結構力に振り回されたんじゃない?」

「えぇ・・・、偃月刀が持つ力はとてもすごいものだとは思うのですが、手に余るものです」

「そう簡単に使いこなされちゃ、ある意味困るよん。伊達に10年くらい力を込め続けた意味がないじゃないか〜」

 僕のお気に入りだよ、と言う。

「あぁ、あと・・・、あのお札ありがとうございました」

「いやい〜や、別にいいよ。・・・・もう無いけどさ〜。あれ、知り合いの魔女から一枚200万で買ったものなんだ」

「ぶっ!!!?」

 200万・・・2枚で400万。

「あ〜、別に請求はしないよ。僕の意思で渡したんだし。いつかは使う時が来る。それがもう来ただけな〜んだ」

「あの〜魔女って?もしかして・・・」

「あ〜別にタイタスじゃないよん。あの性悪女はそれなりに、いや・・・・かなりできたけど、どちらかといえば、クトゥルフ寄りの魔女・・・魔術師に近いからねん。概念とか魂を吸い取れる物は西洋魔術のシャーマニズム。生粋の魔女さ」

「となると・・・、ジェラルさん?」

「そ〜う、ウィッカの魔術師。彼女だよ。どっちにしろもう居ないけど」

 そう、この2人は今年の夏に死んだのだ。

 いや、殺された。

「ま、もう居ない奴のことはしょうがない事ってわりきればい〜んだ。そう言えば、指揮君は僕の弱点を知ってるよね?」

「え?あぁ、まぁ、知ってるけど。なにいきなり?」

「別に意味はな〜いさ。でもちゃんと気を付けてよ。でなきゃ意外なところで足をとられちゃうからねん」

「それって今後、僕と丸々さんのトラブルが出た時、その弱点が仇となる・・・・と?」

「ま、そ〜いうことかなん?無いことを祈るけど」

 あ、そうだ、と丸々さんはぽむり、と手を打った。

「何さ?」

「指揮君は気づいてるのかな?」

「だから何を?」

「いや、ほ〜ら最初のお札を渡したとき、僕は『いい機会』っていったじゃ〜ん。その意味さ」

「あぁ・・・、『えんがちょ』のこと?確かに中に隠れた吸血鬼を拒絶するには絶好の機会だったね」

「ちっが〜〜〜〜う!!指揮君、疎いね。疎いね。疎いね」

「3回繰り返して同じ事いうなよ」

「本当に気づいてないのん?」

 丸々さんはえ〜、と軽蔑のまなざしで僕を見る。

「なに、その目線嫌なんですけど?」

「うん、まぁ、教えちゃっていいかな〜。指揮君は知っていいと思うし。でさ、あの札が魂を吸い出すみたいなものだってのはわかるよねん?」

「そりゃ知ってるよ。でも本当はいろいろややこしい内容なんだろうけどさ」

「あったりまえだ〜よ。魔術の世界を嘗めまくったらこまるよ。ジェラルが亡霊になって足をくすぐりにきちゃ〜うよ〜」

「なに?その全然怖くない怪奇現象」

「いや〜、実際やられたことあるんだよん。あいつの食後に残してたセロリを食べた〜ら、その夜中に幽体離脱して僕の足を・・・。本当、普通セロリは食べないから残してあると思うよねん?だから親切に食べちゃうよねん?」

「ジェラルさんセロリ好きでしたからね・・・。てかあんたも食べるなよ」

「親切心丸出しだったんだけどな〜」

 って、話が脱線してる!!

 僕は一つ咳払いをし、方向修正。

「で?『いい機会』ってなにさ?」

「うん、いい質問だねん。指揮君、いい事言った!」

「もともとこれが議題だ」

「まぁまぁ、品図ちゃんに札を貼った時のこと思い出してみてよん。あの娘、どうなった?」

「え?・・・あぁ、そうだな」

 半年前の事を思い出す。

 そう、たしか・・・

「白い肌が普通の日本人と同じ肌色になったんだ。・・・つまり人間に戻った」

「そ〜のとおり!―――指揮君指揮君、これってどういうことだかわかる?改めて考えてみると見えてくるんじゃないかねん?」

 つまりなんだ。

 陸奥が人間に戻った、と云う事は札が吸血鬼の魂を吸い出したからなんだよな。

 人間になれた陸奥。

 陸奥と吸血鬼は別々になった。

 そこから導かれる『いい機会』

「この場合、品図ちゃんの利益で考えようねん。君の利益じゃないから」

 ふむ、陸奥の利益ね。―――確かにあの時自分の事で考えてたもんな。

 いつも自分の概念に振り回されてるから保守的になってたんだ。

 陸奥の利益。

 それは陸奥の幸せ。陸奥の願い。

 つまり吸血鬼と云う束縛から開放されることだ。

 でも、それは可笑しいだろ。

 う〜ん?

 可笑しい。

 もやもやする。

「どう?」

「ん〜、わかったんだけど。そうなると陸奥の考えに戸惑う」

「ふむふむ、ちゃ〜んと理解はしてるんだねん」

「あぁ。つまりあれだろ?笹の時でちゃんと立証はできてるけど。あの札に魂を乗り移させたのなら、その札を燃やすかなんらかで消せば、その魂もきえるんだろ?」

「そうだよん」

「なら、あの時だって、吸血鬼の魂が宿った札を消せば、陸奥は普通の人間に戻れた。・・・つまりそれが『いい機会』ってことだろ?」

 でも、そうなると疑問がある。

 何故、陸奥はその機会を手放したか・・・だ。

「だって、あいつは戻れたんだぞ!?それが何故!?」

「んんんん〜?それ〜は僕にもわからない。ただ、指揮君に生かされた事への義理か、恋ちゃんに殺されたことによる束縛か、母が愛してくれていた事による同情か、それは誰にもわからな〜い。ただ、彼女は『死なずの苦の道』を選んだんだ」

 でも真実を知ってる人は既に居ないんだよねん、と罰さんは言う。

「・・・・・・」

 僕は黙った。

 悔しい。

 もし僕がその事に気づいていれば・・・。

 ちくしょう。

 ちくしょう。

 後悔は先に立たない。

 と、アパートのドアが叩かれた。

「お〜や?糸鶴が帰ってきたかな?はいは〜い、今開けますよ〜、僕が開けますよ〜。僕の愛しの君〜」

 30cm浮きながらドアへと走る―――もとい浮遊する罰さん。あれ?マジで浮いてる!?

「嘘だろ・・・」

 あんな事もできるのかよ。

 ガチャリ

「―――あれ?」

 扉の向こうには恋が居た。その後ろには糸鶴が立っている。

「なに私に甘えようとしてるのよ?捻って、油を全部出さすわよ」

「罰様・・・浮気ですか?浮気なんですね。ぐす・・・うぐっ」

 女性2人。

 1人はキれて、1人は泣いてる。

「ふぇぇぇぇぇ!?いや、糸鶴違うんだ〜〜よ!僕は君が居ると思って、僕が思ってるのは君だけなんだよ!?ほ〜んとだよ!!お願い、泣き止んで・・・そ、そして恋ぢゃん・・?僕のく、首・・・し”め”な”い”て”・・・・」

 がくり

「・・・・・・・あ〜、なんか暗い雰囲気だったんだけどな。あまりこういうのって長続きしないもんだ」

「なによ。指揮、どうしたの?」

 恋が僕を見る。

「いや、もう少し僕の心情をニュータイプしてくれよ。以心伝心だろ?とりあえず後悔させてくれ・・・」

「なによ、以心伝心してたら思ってること筒抜けじゃない。私そこまで開放感あふれる軽快お気楽マリアさま美少女じゃないわよ。なんかそれじゃあ、公衆の面前で素っ裸になる感じじゃない。・・・あれ?なんか想像するとゾクゾクしてきた!」

「すまん、どこから突っ込めばいい?とりあえず変態趣向ににマリアさまを引っ付けるな!」

 かの聖母も涙目だろうよ

「女は結局Mなのよ。SだってMになるのよ!」

「・・・・・・そんな事語るなよ」

 とりあえず落ちた丸々さんを引きずり、壁にもたれさせる。

「そうそう、後悔って言ってたけど、後悔は少しすればいいのよ。後ろ歩きで人生の道は歩けないわよ。後悔をバネにして・・・なんて人間そうできるもんじゃないし、今をなんとか切り抜ける事を考えればいいの、過去を参考にしてね。それが過去の贖罪になるの。とりあえずそう考えて前を見なさい」

「・・・恋。いい事言ってるのはとてもわかるし。それが僕への励ましだってのも気づいてる。とても嬉しいよ。でも、とりあえず会話のテンポをつかんでくれないかな?さっきの会話でその言葉を繋げられてもありがたみが薄れるんだ・・・」

「ありがたみなんてありすぎたらだらけるだけでしょ?少なめがいいのよ」

「さいですか・・・」

「さぁ、アパートに入りましょう」

 恋はアパートに入って来た。

 因みに糸鶴は罰さんの快方にあたっている。

「ところで恋はなんで此処に?」

「帰るとこで糸鶴を発見したのよ。聞けば、私の指揮が居るってきいたから顔を出したの」

 因みに糸鶴は丸々さんを介抱している。

「ま、あれね。私としても事件が段落を終えたんだから。指揮にご褒美をやらなきゃいけないと思ってたのよ」

「パターン化かよ」

「やはり締めくくりを必要でしょ?」

 ・・・また下着でも堪能させてくれるんだろうか?

「そうね、それも考えたんだけど、それじゃ私がただの見せたがりの変態じゃない」

 僕は変態は否定しないぞ。

「じゃ、なにさ。僕的にはかなり期待してるんだけど」

「う〜ん、胸を直に揉ませてあげるとか?」

「とても魅力的です」

 じゃ、と恋は服を脱ぎ始めた。

「ちょ、お前、脱ぐなよ!!」

 糸鶴も手で目を隠しながら、その隙間からばっちり見ている。

 うきゃ〜、て顔真っ赤にしてるぞ!!

 確かに恋の肢体は綺麗だ。

 僕も鼻血出してるし。

「じゃ、いくわよ」

「ど〜んとこい!!」

 ・・・・あれ?僕がやるんじゃないの?

 恋が近づく。

 顔が近づく。

 そして・・・、

「ぬぐっ!?」

「んっ」

 キスされました。

 しかもなんか・・・、し、舌入れられてませんかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?

「んぐっ、ほら指揮もやりなさいよ」

 またキスされる。

 ・・・あぁ・・・、僕、流されてるな?

 恋の流れに乗るのは悪くない。

 目を閉じ、味わうことにした。

 何分続いたわからない。

 ただ、口を離したとき、二人の下には唾液がいっぱい垂れていた。

 そして口を拭う恋はかなり扇情的だ。

「きゅぅ〜〜〜〜〜〜」

 糸鶴はなんか気絶してる。

「あら?意外とウブね」

「と、言いながらなに糸鶴の服を脱がしている」

「あら?綺麗じゃない?」

「それだけの理由で脱がすのか!?」

「悪い」

「悪いわ!!」

 恋はすぶしぶと手を離し、糸鶴をじろじろ見る。

「この娘・・・初物ね。丸々さん・・・まだ手つけてないんだ。ラブイチャしてるだけで今は満足してるんだわ」

「それ、お前と僕にも当てはまるって理解してる?」

「あら?指揮は満足してるの?今の関係で?」

「ぐっ・・・・・、満足してません!!」

「なら違うじゃない」

 そう云う意味じゃねぇんだけどな・・・。

 恋は僕の唇に人差し指を当てる。

「ごめんね。私が準備できるまで・・・待ってね?そしたらいっぱいしてあげる」

「・・・・・・・待つよ」

「そう、ありがと・・・」

 また僕達はキスをした。

 いや〜、僕としてはこれはこれで幸せだ。

 しばらくラブラブイチャイチャで行くのもいいかもしれん。

 でも・・・、

「ぜって〜いろんな事をやってやる」

2話目終わり。

ストックここまで、そして終わり。

2年前となるとキャラを忘れてます。そして初心なところもまたいろいろと・・・。


でも、この話は1日で書き上げた覚えがあります。それだけのっていた、と云う事でしょう。


続編はとりあえず読者様の反応待ち、でしょうか?

プロットを見る限り、本編9話、外伝っぽいの7話が完成してます。

また、違う作品が1つ発掘されてます。こっちはネットの世界のお話。ゲームシナリオ製作の一環として書いたものですね。

読みたいと思う人は、コメント下さい。



では、連載中の小説を書く作業に戻ります。

誤字脱字、ルビが変な所が多々ありそうな作品でしたが、ご愛読ありがとうございました。


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