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10 お家に帰ろう
空にぽっかりとまるい月が浮かんだ夜。
警察が大勢いる家に近づいていこうとした少女を、僕はよびとめる。
習い事の帰りなのかな。
そっちに行かない方がいいよ。
皆いそがしそうだから、邪魔しちゃだめ。
あれはね。
家の中に、ごうとうが入ったらしいよ。
犯人が包丁を振りかざして、母親を刺して逃亡したままなんだ。
怖いね。
だから、お家に帰った方がいいよ。
危ない人がいても家の中なら大丈夫。
きっとお母さんとお父さんが守ってくれるから。
お兄ちゃんやお姉ちゃんがいるなら、心強いね。みんなできっと守ってくれるよ。
弟や妹がいたら、逆に守ってあげなくちゃいけないけど。
僕の事が心配?
僕も大丈夫だよ。
だから、ね。
お家に帰ろう。
ばいばい。
またね。




