戦い
誘拐される前日までの事。
「よろしくお願いします。」
「ああ、よろしく。」
はっ、やっ!等という声が神家の庭から聞こえる。
これは稽古だ。稽古と言っても種類は様々。
神家に住む事になって二週間経って始めた。
剣術、体術等などイロイロ。
勝は探偵の為イロイロと習得している。
それもなかなかの実力者だ。
それを見込んだ神威は四歳の身体で闇と闘うのは流石に体力がいる。
それに闇の力と兼用出来るからだ。
稽古は早朝と夜の二回。
勝が仕事の間は水音に、とある技術を教えてもらい残った時間は書斎で知識をつける。
それが神威のだいたいの一日のスケジュールだ。
知識と力、それを兼ね備えて、
今度こそイヴと***を助ける!!
そう心に刻み付けながら神威は稽古にはげむのだった。
ー第5話ー
勝達神家族は勝の親しいテロリスト専門課の警察に連絡し、
海沿いのもう使われていない大型貨物倉庫。
今はテロリストのアジトに自家用車で向かっていた。
「神威ちゃん大丈夫でしょうか?」
とても心配そうに水音が言う。
「人質としてさらわれたんだ。身の安全は保障されてると思う。」
と言いつつ勝も険しい顔で言う。
水稀は無口だがその顔はすでに泣きそうだ。
「とりあえずもうすぐ着く!!気を引き締めるよ、二人共!」
「うん」「はい」
水稀と水音が声を揃える。
勝達はアジトに着いた。
古びれた大型貨物倉庫。
今はもう人気はない。が今はテロリストが何人もうろついている。
「外だけでもそこそこの人数だな。」
勝達は物陰から隠れて人数を見る。
「でもどうやって神威ちゃんを助けるんです?勝さん。
こちらには武器もないんですよ?」
水音は確信をつく。
「そうだね。・・・二人ともここで待ってて。」
そういうと勝は身を低くして一人のテロリストに走って向かった。
走ってる途中突然勝の姿が消えた、と思ったらテロリストが倒れた。
そのテロリストが倒れた後ろから勝の姿が現れる。
そのテロリストを担いで素早く二人の所へ戻って来る。
テロリストの装備を身ぐるみ剥がす。
着ている服と無線用のインカム、銃を勝が身に纏い、
テロリストに化ける。
ポーチに入っていた拳銃を水音に渡す。
「御信用に持っていてくれ。」
コクリ。
水音は何も言わず受け取った。
勝は水音に渡すとそのままアジトに向かった。
「さてこれからどうしましょう?」
そう水音は言うと水稀が思い出したとばかりにリュックを開ける。
「お母さんはいこれ!」
水稀が取り出したのは一台のノートパソコン。
「あら水稀ちゃん用意周到ね♪あ りがとう。」
ノートパソコンを受け取り水稀の頭を撫でる。
「これで私達も戦えるわね。」
そう言いながらパソコンを立ち上げる。
実は水音は凄腕のハッカーだった。
その実力でたまに勝の仕事の手伝いもしている。
パソコンを凄い勢いでタイピングしテロリストの無線にハッキングし、この倉庫一体の簡
単な通信機器に入り込む。
「勝さん聞こえますか?水音です。」
「!?。ビックリしたよまさかテロリストのインカムから水音の声が聞けるなんてね。」
「水稀ちゃんがノートパソコンを持ってきてくれてましてね。
テロリストの通信機器一体にハッキングしました。」
なるほどと勝は納得する。
「もし合図をして頂ければ通信妨害とハッキング出来る全ての機器を停止させます。」
「了解。その時は神威君を助けだす時だね。」
「わかりました。」
そう会話を続け、
「そろそろ倉庫に突入する。インカムを使うのは合図の時だ。
では通信を一旦中止する。」
「はい。」
そして勝は倉庫に入って行った。
しかし、水稀が気にするものが一つあった。
倉庫の横のひらけた場所にある大きな何か。
シートで分からないが嫌な予感がしていた。
これも誘拐される前日までの事だ。
勝との稽古を終えて神威は水音にハッカーとしての技術を教えられていた。
他の世界には教えてもらえる人がいなかったので良い機会だ。
「ここはこう、こっちはこれで・・・そうそう飲み込み早いわね神威ちゃん。」
ちなみに今ハッキングしてるのは水音のセキリティーを仕掛けた神家のネット回線だ。
これなら人に迷惑はかからない。
この神家に来てイロイロな事を学んでいる。
勝の稽古、水音のハッカー技術。
そして水稀からの無邪気な温かさ。
『僕はこの家族の一員になってとても良かった・・・。』
そう神威は心の中で思う。
楽園以来の家族の温かさ、笑顔が飛び交う一つの家。
『僕は三人から教えてもらったモノを大切に、今回で必ずイヴと***を必ず救う!!』