終わりの始まり
ー第1話ー
俺の名は神威。
大量の血を、浴びる。
2頭の、龍の死の雄叫びが山をも振動させる。
身体が熱湯を浴びているようだ。物凄く熱い。
そして、俺は…!!!
心が押し潰されそうだ!!!
私の名前は陽光。
またの名をイヴ。
私は今朝から知らない記憶を見ます。
顔のわからない男の子の周りには入れない壁のような物越しから、私は泣きながら、必死に何かを訴えかけているのです。
そして男の子は最後に穏やかな顔で何かを言って姿を消すのです。
私はどうしてもその知らない記憶が気になって仕方ありません。
私達の世界をかけた旅と、顔もわからない大切な彼の失われた過去を取り戻す為、どうか記憶を追わせて下さい・・・。
「ここが地上かぁ。何もない所だな。」
アダムが初めて荒野の地上に降りてキョロキョロと辺りを見渡す。風で土埃が凄い。
周りには木々の1本すらない。土がサラサラとしていて、水分という物が全く見られない。
「!?何かある。あそこに行ってみよう。」
アダムは村らしき所に足を向ける。
『ここが地上の人が住む所?』
村の名前が書いてあったのだろう。板に字が掠れて、板は虚しく傾いている。
村は土壁のボロ屋が10数件並び立っている。
「あ、すみませんそこの人。少しお話いいですか?」
アダムは村娘に声をかける。
その村娘の服は土で汚れていて、少し破けた所もあった。
「旅人さんですか?なんでしょう?」
村娘が答える。
『旅人ってことでいいか。』
「えっと、最近この辺りで変わった事ってないですか?」
とアダムは訪ねる。
「そうですね。最近は地震が多い事と、突然この村だけ水源が枯れてしまった事ですね。」
困り果てたように答える村娘。
『確かに楽園でも地震は多い。地上でも同じなのか。』
と郷関するアダム。
「水源が枯れた原因はわかってるんですか?」
と聞くアダム。
「わかりません。今大人達が水源の元を掘って、また水が出るかを期待しているところです・・・。」
と状況を語る。
「でも隣村は水が湧く場所が幾つもあって、それをいい事に水と引き換えにお金や高価な物を要求してきます。」
苦虫を噛み潰したような顔をする
。
「もうこの村のほとんどの人々はお金もなく水を求めてピリピリしています。」
隣村を指差して不満げに語る村娘。
「そんな事情があったのか。
話し合いでなんとか出来ないのかい?」
と提案する。
「何度もしてみました。
今のこの村の状況も伝えてあります。
・・・でも何も変わりません。」
泣き出しそうな顔で話す。
「あのもうよろしいでしょうか?
日が沈まないうちに水に変わる物を探さなければなりませんので。」
と話を切り上げる村娘。
「ごめん、ありがとう。」
と礼を言う。
「ではこれで。」
深々とお辞儀をして去ろうとさる。
「気をつけて。」
村娘に手を振る。
『地震と水源が枯れた事は何か関係があるんだろうか?』
と考えながら村を歩く。
すると古びた家等から村人達の水を求める声が幾つも聞こえる。
「隣村にも行ってみるか。[世界を蝕む闇]について聞けるかもしれないし。
後水の事も聞いて見たい。」
そう言ってアダムは少し遠くに見える隣村の看板らしき物を見て歩き始めた。
数時間前 楽園
木々や花が多い繁り、小さな光が漂う神秘的な場所。
そんな中心に生命の樹、世界樹がある。
その側で一人の少女、星の精神体が。
「アダム・・・。アダム居ますか?」
「!どうした***!大丈夫か?」
ノイズが入ったかの様に名前の部分だけボヤけるが気にしてられない。
「アダム、助けてほいしい事があります。」
無理をして起き上がる。
「どんなことだ?」
「私はアダムやイヴ。
地上の人々を生む為に光の力を使いました。」
とペラペラと話し出した。
様はこうらしい。
光の対存在の闇というモノが生まれて***は蝕まれている。
このままでは全ての生きとし生けるものが消滅する。
「何!?どうすればイヴとお前を助けられる。」
「アダム、貴方には光の力を与えます。
それで闇が姿を現したら倒して欲しいのです。
その間に私を無数に分けて闇の侵食を遅らせようと思います。」。
「いや、待て。闇には闇の力で対抗出来ないのか?」
閃いたアダムは聞く。
「出来ない事はないでしょう。
しかし先程も言った通り貴方は光から生まれました。
その身に闇を力を宿せば何が起こるか・・・。」
危険な意見で驚く。
「そんな事わかってるさ。
今の顔が真っ青な***を見ていれば。
それでもお前の中の闇が減る。そして俺は力を貰え、闇と戦える。
一石二鳥じゃないか。」
と自信満々に語る。
「しかしその身が闇には飲まれれば危険なのは確かなのですよ!」
注意とばかりに声をあらげる。
「百も承知で言っている。」
落ち着いて言う。
「その様子だと決意は固いようですね。」
「ああ、俺は闇の力を貰う。
そしてイヴとお前を必ず救う。」
握り拳を密かに作り言いきるアダム。
「ではこれを受け取ってください。」
両手の平を出し、黒い玉を差し出す。
「これが闇・・・。」
アダムはそれを受け取る。
「胸に押し当ててみてください。」
「あ、ああ。わかった。
こう・・・か?」
アダムが闇を胸に押し当てると渦を巻くように体に巻き付き消える。
「どうやら対存在での拒絶反応はないみたいですね、よかった。
これで闇はアダムの力に成りました。」
とホッと緊張が切れた、ためた息を漏らす。
「なんかあっけないな。
なんかこう、凄い展開を予想してたんだが。」
と少しガッカリする。
「後もう1つアダムに授けなければならない力があります。
それは輪廻転生の力です。」
とアダムを無視して話を進める。
?しか浮かばないアダム
「簡単に言えば生まれ変わる力です。
この戦いは物凄く長期戦になるはずです。
ちなみに死ぬまでの記憶も引き継ぎます。」
と本当に簡単に説明する。
「なるほど、この命だけじゃ終わりそうにない戦いなのか。
わかった。その力俺にくれ。」
と両手を見ながら納得する。
「アダムの意志確認しました。
ありがとう。」
「気にするな。イブとお前の為だ。」
アダムの体に薄黒いオーラのようなものが現れアダムに吸い込まれる。
「これでアダムに与えるとのは全てです。
戦闘になれば闇が戦いに慣れるまでサポートするでしょう。」
与える力の終わりを告げる。
「わかった。色々ありがとう。
・・・俺からもお願い聞いてもらっていいか?」
アダムが話をきり出す。
「なんでしょう?」
「イヴがこの事を聞いたら『自分も戦う!』と言い出しかねないだろ?だからお前に止めて欲しい。」
一心不乱にお願いする。
「あのイヴが聞いてくれるでしょうか?」
「しないかもな。でもなんとか説得してくれ。
・・・イヴには戦って欲しくない。」
と深刻な顔で言う。
「わかりました。
やってみましょう。
では地上へのゲートを開きます。」
片手を前につき出す。
「ありがとう。
じゃあ、行ってきます。」
そう言ってゲートへ消えるアダム。
「・・・行ってらっしゃい。」
***の言葉だけがその場に残る。
地上。
隣村へと走りだしたアダム。
『日が暮れる前に行って見よう。』
そう思い岩と土の荒い道を駆ける。
「こうして見ると本当に荒れ果てているな。」
キョロキョロしながら荒野を見渡す。
「だが村と村の中央辺りで草木が生え出してるな。
何故だ?」
頭に?マークを浮かべながらそこへ近付く。
「よし、半分まできたかな。」
少し息を切らせながら言うアダム。
「ん?あれは・・・。
さっきの娘と、誰だ?」
知らない顔の男三人が居た。
「お前隣村の者だろ!
勝手にこっち側に入って来てるんじゃねぇ!」
男Aが花を摘んだ娘男突き飛ばした。
「キャッ!」
悲鳴を上げる娘。
「汚れが移るだろうが。」
男Bが汚いとばかりに嫌な顔をする。
「荒野の者は土で遊んでるのがお似合いだぜ。」
とゲラゲラ笑う男C。
「大丈夫か!?」
娘の上半身を起こす。
「はい。」
娘はか細く声を出す。
よく見ると腕をケガしている。
「大人3人が女の子に何してんだ!」
アダムは怒る。
「何ってその娘がこっちの村の花を摘んでたからお仕置きしてたのさ。」
さも当たり前のように言う男A。
「たったそれだけの事でか!!」
物凄い形相の顔をしたアダムから闇のオーラが漏れだす。
「ひっ!?」
それを見た娘は驚き、
「なんだあの黒いの。」
男Aはあっけにとられ、
「おいおいヤバいんじゃねーか?」
男Bは危機感を感じ、
「逃げるぞ。」
男Cの一言で、
「キャー。」
「殺される。」
「ヒィー。」
「化け物だ。」
アダム以外の四人はそれぞれの村の方へと逃げ出した。
「あっ。おい、待っ・・・。」
四人に逃げられぼーぜんとするアダム。
「怒りで闇がもれたのか?・・・これからどうするか。
隣村はもう入れてもらえそうもないだろうな。」
『化け物って言ってたし。』
さっきの言葉を思い出したアダム。
「とりあえず元の荒野の村に戻るか。
あの娘の事もきになるし。」
元来た道を戻る事にした。
「フゥ、やっと着いた。」
走って戻った為、息を切らす。
すると目の前に農具や木の棒を持った大人の男集団が居た。
「娘から聞いたぞ!貴様怪しい力を使って暴れようとしたそうだな。」
娘の父親らしい男が話しかけてきた。
「暴れられて娘を殺される前に俺達が娘を守る!やれ!!」
男の掛け声と共に石が飛んでくる。
「ちょ!?やめっ。」
アダムの声も届かず、
「どんどん投げろ!容赦するな。」
石は増していく。
「待て、さっきのは事情が!」
左腕で頭をガードしながら話しかけるアダム。
「うるさい!黙れ、この化け物が!」
娘の父親が投げた石が、
「ぐあっ!」
ガードしきれなかったアダムの右の額に当たる。
「くそっ!ダメだ。
水不足とさっきの事を聞かされて完全に頭に血が上ってる。」
『これじゃ話にならない。
一旦村の外へ出よう。』
血が流れる額を手で止血しながら、
隣村への道へと逃げるアダム。
その頃楽園では。
「ねえ***、アダムを知らない?」
「・・・イヴ実は。」
これまでの経緯を話す。
「そんな!?じゃあアダムが危ないじゃない!」
「それを承知の上で行きました。
私と、なにより貴女の為に。」
星の精神体はアダムの覚悟を伝える。
「私も旅に出たい!アダムの側に居たいの。
お願い***、私にも力を頂戴!」
とソワソワしながらお願いする。
「ですがアダムに止められています。」
アダムのお願いを実行する。
「どうして!?」
「アダムはイヴには戦って欲しくないと。
心配しているのでしょう。」
アダムの気持ちを代弁する。
「そっか、アダム心配してくれたんだ。
嬉しい・・・。
でもね***。」
目をつぶり、心の底から嬉しそうにするイヴ。
「何ですか?イヴ。」
「それでもアダムに会いたい!
どんなに止められようとも!
この想いに変わりないから!
お願い***私にも力を!」
「・・・貴女の気持ちは本物のようですね。
わかりました。
イヴに力を与えましょう。」
イヴの想いの説得に折れた。
「ではこの光の力を胸に押し当ててください。」
星の精神体の差し出した両手の平に光の玉が現れた。
「ありがとう。」
喜ぶイヴ。そして胸に光の玉を押し当てる。
「これが光の力・・・。
暖かい。」
光の玉は光ながら、イヴに渦を巻くように体に巻き付き消える。
「それとアダムと同じ輪廻転生の力も与えます。
死してもなを会えるように。」
イヴにも生まれ変わる力を与える。
「ありがとう。
わがまま聞いてくれて。」
イヴの周りに薄い光のオーラが包み、吸い込まれる。
「いいえ、イヴの想いに感動しましたから。
それとこの子を連れて行きなさい。」
「可愛い!この子は?」
光の塊は小さな女の子の天使になった。
「この子はアダムの闇の力を感知し、イヴをアダムに会わせます。
名前はフィー。」
天使を紹介する。
「よろしくね、フィー。」
挨拶するイヴ。
「よろしくでち!」
フィーも挨拶する。
どうやら少し言葉に癖があるようだ。
「では地上へのゲートを開きます。アダムとフィーをよろしくお願いいたしますね。」
「わかったわ。行ってきます。」
「行ってくるでち。」
頷いてゲートへと向かうイヴとフィー。
「行ってらっしゃい。」
二人を見送る。
地上、草原の広がる隣村付近。
「わぁー。ここが地上なんだね。
この草原の楽園に似てるかも。」
草木や花が沢山ある大地を見て感動に浸るイヴ。
「イヴそれよりもアダムを探すでち。」
イヴを現実に戻す。
「そういえばそうだったね。」
ハッとする。
「こっちでちよー。」
フィーはふよふよ飛びながら案内する。
「待ってー。きゃっ!」
イヴはフィーを追おうとして何もない所で転ぶ。
「イヴ大丈夫どちか!?」
フィーは一瞬ビクッとして心配する。
「うん、大丈夫。」
ムクリと上半身だけ起き上がり顔を押さえる。鼻が少し赤い。
「先が思いやられるでちね・・・。」
少しテンションが落ちながらふよふよとアダムの方へ向かうフィー。
「・・・自分の事ながら私もそう思う。」
と服の汚れを叩きながらフィーの後を追うイヴ。
「おや?アダムの方向に何かあるでちね。」
フィーが水が豊かな例の男3人の村を発見する。
「行ってみよう。
アダムの事聞けるかも。」
二人は村に向かう事にした。
入口を少し過ぎても誰も居ない。
「誰も居ませんでち。」
フィーが言う。
荒野の村とは違い、家の件数も多く家も少し大きい。庭にはガーデニング等している家も見受けられる。家畜も多数見える。
「これだけ家があるのに変だね。」
村に疑問を感じる二人。
「あっ。人がいたよ。」
イヴが発見し、
「でも雰囲気がおかしいでち。」
フィーが異変に気付く。
「きっと奴は隣村の刺客だ!
目的は水にちがいない。
敵は早めに討つ。
わかったなみんな。」
強面のリーダーらしき男が5人のガタイのいい男達に言う。
「おー!」
男達が一斉に言う。
「あのー、すみません。」
そんな中イヴが声を掛ける。
「ん?どうしたんだい?見かけない顔だが。」
一番後ろに居た男が応対する。
どうやらフィーは見えていないようだ。
「この騒ぎは一体なんですか?」
イヴが訪ねる。
「聞いてないのか?
何でも隣村の奴がうちの村の者に黒いナニカでケガさせようとしたらしい。」
と例の3人の話が話題になっていた。
「!その人って私と同じような服を着ていましたか?」
イヴが確認する。
「ああ、確かにそんな感じの生地の服と聞いたな。」
右手で顎に触れ、右腕のひじを左手で支えながら記憶を探る男。
「アダムみたいでちね。」
フィーが確信する。
どうやら男にはフィーの姿はおろか、声すら聞こえないようだ。
「そうですか。
ありがとうございます。」
男に礼を言うイヴ。
「イヴ。アダムは村人達の方向の道の先でち。」
とアダムの方角を指差すフィー。
「わかったわ。行きましょう。」
フィーの指差す方向へ走り出すイヴ。
「すみません、通してください。」
と男達をかき分けて通るイヴとフィー。
「なんだこの子は?」
「何事だ?」
と男達は言葉を発していた。
「!どうやらアダムも少しずつこっちに向かっているみたいでち。」
アダムとの距離が急に近づいた事に気付いたフィー。
「本当!?」
その言葉に喜びが混ざっていた。
「このまま進めば村々の境で会えるでち。」
と距離感を教えるフィー。
「やった!アダムに会える。」
満面の笑みのイヴ。
一方アダムは。
「さてこれからどうしたものか。
あの状態じゃあ村に入ったら殺されかねない・・・。」
とテクテク歩きながら考える。
「日も沈んできたし隣村にでも行くか?ダメ元で。
あの3人組が何言ったか心配だが。」
沈む太陽を見ながら独り言を言うアダム。
『とりあえず村のさかいまで行ってみるか。』
駆け出すアダム。
夕日が完全に沈んだ場所から異様なモノが近付いてるとも知らずに。
「ん?」
何かに見られているような気配をとらえるアダム。
だが、見える場所には何も鋳なかったので、
「気のせいか。
何かに見られていた気がしたが・・・。」
気を取り直して先に進むアダム。
「!?村の奥に見えるのはゲート!
イヴが来たのか!」
ゲートを発見したアダムは驚く、
と同時に駆け出していた。
「まったく、来させるなと注意させたのに。」
言葉とは裏腹に顔は喜んでいた。
「アダム・・・アダム。」
イヴは名前を連呼していた。
そして村々の境で、
「イヴ!」
「アダム会いたかった!」
お互い抱き締めあった。
充分抱き締めあった後、
「どうして来たんだ。
危険なんだぞ。」
アダムが言い聞かせるが、
「危険だからだよ。
一人より二人の方が安全だよ。」
イヴの言う方が筋が通っていた。
「おい、その女から離れな!」
突如アダムの後ろから荒野の村人達が現れる。
「初めて意見が合ったな。
お嬢ちゃんどきな。
俺達はその男に用がある。」
今度はイヴの後ろから水の村人達が現れた。
アダムとイヴは両村人達を見る。
そして、
「難の用だか知りませんがお断りします。」
とキッパリ断るイヴ。
「イヴ・・・。」
アダムはそれだけしか言えなかった。
「どうやら女の子は状況がわかってないようだな。」
荒野の村のリーダーが断られて悟ったように言う。
「説明は面倒だな。
お前たち、男だけやれ!」
水の村のリーダーが指示を出す。
『クソ、どうする?』
とアダムが考えていると、
「ぎゃああああ!」
「ぐあああああ!」
と悲鳴や苦痛の声が響き渡る。
「なんだコレ!助けてくれ!」
荒野の村1人が黒いゲル状なモノに教われていた。
他の仲間は「なんだ!?」と驚いている。
水の村人2人のも同じモノに襲われていた。
いつの間にか辺りは暗く、
夜になっていた。
「あれが[世界を蝕む闇]なのか?」
とアダムが驚きつつ言う。
「きっとそうよ。
村人を襲ってるし。」
イヴが状況を見てそう判断する。
「助けましょう」
「ああ。」
2人は襲われようとしたのにもかかわらず、村人達を助けるようにした。
しかし既にアダムとイヴの周りにも闇が迫ってきていた。
アダムが闇の力を使うと、
力はオーラの剣へと変わる。
イヴの光の力は光の球になり、
3つ現れた。
この力の現れ方を見てアダムは、
「イヴは人にへばりついた闇を狙ってくれ。
俺は周りの闇を片付ける。」
と指示する。
「わかったわ。」
とすぐイヴもアダムの考えに理解し、承諾する。
「今のうちに逃げれる人は逃げてください!」
アダムは飛び掛かってきた闇を斬りながら村人を避難させようとする。
「はっ。」
イヴは光の球を飛ばし、
まず水の村人に付いた闇を倒す。
「私は戦えないので邪魔にならないようにするでち。」
とフィーはそさくさとイヴとアダムの間に移動する。
「助かったのか?」
「・・・みたいだな。」
「なんなんだよこの黒いの。
まだ来る!?逃げようぜ!」
と水の村人達は逃げる相談をする。
「きっと黒い化け物もあの黒い剣を持った奴の手先だ!」
「奴は『世界の脅威』だ!」
とそう言い残し逃げた水の村人達。
「おい、勘違いしたまま逃げるなよ!」
とアダムは闇を倒しながら首を水の村人達に向けて言うが遅かった。
「アダム、誤解は後で解くとして今は闇を倒しましょう。」
イヴがアダムをなだめる。
「後で絶対誤解解いてやる!」
むくれながら闇をザックザック斬るアダム。
はたから見れば闇に八つ当たりしているみたいだ。
「そうしましょうね。アハハ。」
苦笑しながら光の球を作るイヴ。
『・・・怒ってるでち。』
フィーも少し後ずさる。
イヴの飛ばした光の球で荒野の村人達も助かった。
「あの男と黒いのに殺される!」
「さっさと逃げよう。」
と荒野の村人達も逃げた。
「あんた達も勘違いしてんのかよ!!」
怒鳴り声をあげるアダム。
「両方の村に行って誤解解かなきゃいけないのかよ。」
やさぐれてしまったアダム。
「私達も行くから、
今は頑張ろうよ。」
必死になだめるイヴ。
フーとため息をして、
「わかったよ。
それでその小さい子は?」
と冷静さを取り戻し、
フィーについて聞くアダム。
「天使のフィーよ。アダムを感知出来るからって***に紹介されたの。」
「フィーでち。
よろしくでち。」
挨拶するフィー。
「ああ、よろしく。」
『でち?口癖か?』
と考えながら挨拶を返す。
そして数十分闇と戦い、
「こいつで最後だ!」
アダムがとどめをさす。
「やっと終わったな。」
フゥーとため息をつくアダム。
「そうね。お疲れ様。」
と言葉を返すイヴ。
その時フィーは何かに気付いた。
「両方の村からさっきよりも強い闇を感知したでち!!
もうすぐ近くまで来てるでち!」
フィーはアダムだけではなく、
闇の感知も出来たのだ。
「何!?どういう事た!」
「本当なの?」
2人共に驚く。
「こんな事でウソ言っても意味ないでちよ。」
と信じろとばかりに言うフィー。
「でもどうしてさっきよりも強いってわかるの?」
イヴがフィーに疑問を投げかける。
「見ればわかるでち。
わたちの予想が当たってれば・・・酷い光景なはずでち。」
ゾッとした顔で言うフィー。
「!さっきよりも大きい!」
荒野側の闇を見て驚くアダム。
「人が闇に飲み込まれてるわ!」
「だずげて・・・ぐれ。」
水の村の人が闇から頭と片手を出した状態で助けをこう。
「やっぱりでち・・・。」
最悪だと言わんばかりの顔をして言うフィー。
「誰がだずげて・・・。」
と先ほどの人は助けを求めて飲み込まれてしまった。
「なんだよこの闇は!
人を飲み込んで成長してるのか?」
人が飲まれた光景を見て聞くアダム。
「きっとアダムに向けた怒りと恐怖で、
人の心の闇に反応して飲まれたんでちよ。」
この現状を解説するフィー。
「心の闇を吸収して成長したって事?」
フィーの解説でそう解釈するイヴ。
「くそー!!」
『俺のせいで地上の人が!』
襲ってきた闇を斬りつけながら悔しそうに言うアダム。
「アダム落ち着いて!」
『きっとアダムの事だから自分を責めてるんだわ。』
光の球で槍状になった闇や拳型になった闇を撃退しながら、
アダムの一言を聞いて気持ちを理解したイヴ。
「わかってる、」
『けど・・・。原因は俺なんだぞ!』
怒鳴り散らして返事をする。
「強い。」
「このニンゲン強い。」
「ドウスル?」
「喋った!?」
驚きを隠せないアダム。
「人を吸収して知恵をつけたんでちよ!」
闇の特性に詳しいフィー。
「そんなのありなの!?」
流石にイヴも冷静でいられない。
「個々で突っ込んでもヤラレル。」
「それはキビシイ。」
「なら、ニンゲン達より我らが強くなればイイ。
我らが1つに集えばカテル。」
一番言葉が上手い闇がぐにゃりと立った。
そしてソイツは他の闇より一歩前へ出て、
「集え。」
と言う。
すると、
「集え。」
「つどえ。」
「ツドエ。」
周りの闇も同じ言葉がを連呼しだした。
そうしたら、どこからか無数の闇達飛んできた。
闇達は言葉の一番上手い闇に取り込まれ、
「おいおい、こんなの倒せるのかよ・・・。」
アダムは何も出来ず、
呆然とソレを見ていた。
ボコボコと音をたてながら闇は大きくなり形を造り始めた。
そして見上げる程に、巨人となった。
巨人の近くに月があるようにも見える。
最後に顔らしき先端に1つだけの目がギョロリと現れる。瞳は縦に出来ていた。
「コレなら勝てる。」
言葉はより鮮明になっていた。
「これは・・・。
何とも言えないわ。」
イヴはアダムの問いに答えられない。
闇の巨人はいきなり太い、
爪のない指らしきモノで攻撃を仕掛けてきた。
アダムは荒野側、イヴとフィーは水の村側へと回避する。
「にゃろう!」
アダムは剣を構え、両足に闇の力を溜めて巨人めがけて跳んだ。
「うおおおお!」
巨人のガードする片手の真ん中を斬り裂き、
巨人の顔を真っ二つに切り裂いた。
そして落下と同時に今度は斜めに、
片方の腕めがけて斬り裂いた。
「これでどうた!」
アダムがやりきったと言わんばかりの顔をする。
だが斬ったにも関わらず、巨人の指がアダムを水の村側へとふき飛ばす。
良く見るとほんの少しずつだが斬り裂かれた部分は治っていた。
「ぐあっ。」
だがアダムは両足と左手でなんとか体制を整えようとした。
が、ふき飛ばした指とは違う斬り裂かれた指達が槍状になってアダム目掛けて向かってくる。
『なっ!?ヤバ・・・。』
そう思った時だった。
「危ない!!アダム!」
イヴがアダムを突き飛ばし、
イヴは巨人の槍の指にお腹を刺され、槍は背中まで貫通していた。
『イヴ!?』
「イヴ、おい!」
起き上がったアダムがイヴに声をかける。
「イヴ!」
フィーも声をかける。
「ゴホゴホ。・・・アダム大丈夫?」
血を吐きながらアダムの心配をする。
「一匹倒した。」
闇の巨人はイヴを真上に放り投げる。
イヴは水の村の道の方へと落下する。
「イヴ今行くから死ぬな!」
アダムとフィーがイヴの所へ向かおうとするが、
「後力を持つ者ハお前だけだダ。」
巨人の指の槍が雨のようにるって来る。
それわをかわしたり、時には落ちた槍を踏み台にして跳び、次に落ちてくる槍を斬りつけながら落としながら進んだ。
槍の雨を通過したら、ゴゴゴゴと音がした。
闇の巨人が片足を上げたのだ。
『今度は踏み潰す気か!?』
だが構わずアダムは突進する
「おおおおおお!」
踏み潰される瞬間。
スライディングして通ろうとする。
巨人の足踏みで土臭煙りがあがる。
その土臭煙からアダムとフィーが出てきた。
二人はイヴの所へ到着すらる。
「イヴ!しっかりしろ!」
「イヴ。」
二人がこえをかける。
血だまりが出来ていた。
「アダム・・・。」
イヴが右手をアダムに伸ばそうとしていた時、
「アダム危ないでち!!」
フィーが危険を知らせる。
「!?」
ドスッと音がした。
「かはっ。」
巨人の手は完全に治り、指を一本の太い槍に変えてアダムを突き刺した。
「いやーー。」
イヴは悲鳴を上げる。
アダムは巨人の肩の高さ待て持ち上げられる。
闇の巨人は首を360゜ネジってアダムを見て言う。
「最後の一匹シトメタ。」
首と同時にアダムを荒野側へ持っていく。
「うわっ。」
凄いスピードで声が出るアダム。
この高さだとイヴが倒れているて、
イヴの側にフィーがいるのが良くわかる。
『イヴ・・・。』
「イヴだけでも・・・助ける!!
俺の中の闇よ!俺の命を喰らってもいい!
その代わりこいつを倒すだけの力を、この一撃にぃ!!」
血が垂れているのもお構いなしに、
アダムはててを前につき出す。
すると闇の球がキュィーとおとをたてて徐々に大きくなる。
「なんだこの力ハ。」
巨人が初めて驚く。
大人の頭1つ分までに大きくなった闇の球を巨人の真上にに飛ばす。
すると飛んでいるうちに急激に闇の球はさらに大きくなり、
闇の巨人の頭1つ分までになる。
「なんなんだイッたい!」
闇の巨人はさらに驚く。
「なんなんだコノ気持ちは!」
巨人が何か言っているうちに闇の球体から先が鋭いものが出てくる。
「このカラダの芯きら込み上げてくるモノは。」
球体からの鋭いものはどんどん出てきて、
「!・・・そうか。これが・・・。」
残りの球体は鍔と柄となった。
そう、これは巨大な剣なのだ。
「くらえぇ!!」
[断罪の剣]
ズドンッと闇の巨人目掛けて落ちた。
「恐怖とイウ感情か・・・。」
闇の巨人が危険を悟って、
「弾けろ!!」
闇の巨人の体のあちこちから無数の剣の先端のようなものが突き出る。
「ぐあぁぁぁぁ!」
闇の巨人は煙のように消えてゆく。
それと同時にアダムは地面に落下する。
「うわぁ。」
ドスンと落ちて血を白アダム。
「イヴ・・・。」
力を使い果たし、手を動かしてイヴに近づこうとするアダム。
それを見てイヴもアダムに近づこうとする。
「アダム・・・。」
イヴがいた場所はもう血の池だ。
「イヴ、無理しちゃダメでちよ!」
フィーが忠告するが聞こえてないよいだ。
「イヴ。今度生まれ変わったら必ず守るから・・・。」
村々の境で手をつなぐ。
アダムは荒野側で、イヴは水の村側で。
「うん。ありがとう。
また絶対会おうね。」
「ああ、約束・・・だ。」
そして2人共息をひきとった。
『アダム、イヴ。わたちが絶対に・・・!!』
そしてアダムは黒くなり、
イヴは白くなって消えた。
アダムとイヴは輪廻転生の準備にはいった。
2人が準備に入った時。
生き残った村人達が他の村や街にこう言い伝えたそうだ。
「男の姿をした[世界の脅威]が現れた」と。
アダムは世界の脅威と全世界の人々に呼ばれるようになり、
生きとし生けるものが知らないうちに星は、無数に分かれたのだった。
日本のとある川辺。
一人の少年が立っていた。
『雨だ・・・。』
日本のとある道路。
一人の少女と天使がいた。
「雨?」
「のようでちね。」
パッパーと音が聞こえる。
「まぶしい!?・・・え?」
「イヴ!」
イヴは撥ねられ宙に舞った。
「大丈夫か!」
「大丈夫?」
と車から降りて若い夫婦が駆け付けてきた。
「イヴ。しっかりでち!」
「体が…動かない。」
そしてイヴは意識を失う。
とある暗い空間。
「最後の歯車が動き始めた。」
黒いシルエットのその者が言う意味とは