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一人暮らし

 群れから離れた俺は小さい洞窟を住処にのんびりと暮らしていた。

 動物を狩り、川で魚を狩り、木の実を採集する。

 食料は充実していた。

 食料が不足した時のために、肉や魚を乾燥させて保存した。


 悪くない生活だった敵となる相手もおらず、他の魔物達の群れも離れている、たまたま通りかかってもこちらが仕掛けなければ敵対する事もない、穏やかな生活であった。


 少しの物足りなさがあるかもしれないが性格なのか、それほど気にならなかった。

 時々、剣を握り素振りをする、素振りをしているとなぜだか落ち着い気持ちになる、と共に違和感がつきまとった。

 剣の握り、形、それを振るう自らの骨格、筋肉が自分の感覚とは合わない感じしてしまう。


 こう振るいたいと思う、そのための動きをしようとすると動きと身体が合わなくなる。

 俺のしたい動きをなすための身体をイメージすると、それは人間の身体になる。

 俺は人間の様に剣をふろうしているみたいだ、なぜかはわからないが。


 不意にまた、あるはずのない記憶が思い浮かぶ。


 目の前に初老の男性が木でできた剣を持って立っている。

 そして俺の手にも剣が握られている、その剣を握る手はゴブリンのゴツゴツした緑色の手ではなく、まだ若い人間の手だ。

 ああ、そうだ、この手にした剣は木刀だ。

 そして、ここは道場で目の前に立つ男性は、俺の師でありそして祖父である。


 祖父が木刀を振るう。 

 綺麗だ、動きに無駄がない。


 どうやったら、じいちゃんみたいに振れるだろ


 俺は祖父に訪ねた。


 振りやすいように振ればいい。


 祖父はただ一言、そう答えた。


 思考が現実に戻ってくる。

 そうだ、俺は人間だったんだ、微かな前世の記憶が思い出された。


 だからどうしたと言う話しではあるが、前世の記憶は微かに思い出されたが、今自分はゴブリンであるし、前世の記憶の中の自分と今の自分との間に確かな溝を感じる。


 ただ祖父の言葉をよく反芻する。


 振りやすいように振ればいい。


 その言葉の意味するところは


 剣を構え振るう、やはりイメージと身体が合わない

 これは振りづらいな、当たり前か人間の振り方をゴブリンの身体でやろうとしているのだから。


 振りやすいように振る


 ゴブリンの身体に合った振り方を

 イメージは一度捨てよう

 身体の感覚を頼りに剣を振るう。


 少しずつ太刀筋に鋭さが増していく。


 しばらく時間忘れて剣を振るっていた。

 まあまあかな、今日はこの辺にしておこうか


 素振りを終えると休憩をとり、周囲の見廻りにでかけた。

 安全な場所ではあるとおもうが、警戒は必要ではあると思うからだ。

 いつも同じで何もなさそうだど洞窟に帰ろうとした時、微かな呻き声が聞こえた。


 見ると人間の子供が倒れている、幸い大きな怪我はしてない様だが、このままだと間違いなく助からないだろう。


 困ったものだ、助けたところで言葉も話せぬゴブリンの身体。

 なんとしたものか、考えてみるが、あまりいい案も浮かばないので、ひとまず洞窟まで連れ帰る事にした。

 前世の記憶が微かに蘇ったからなのか、見捨てる事はできなかった。


 洞窟の中に寝かせて、身体を見てみる、よく分からないが怪我としては打撲くらいで済んでいるみたいだ、ただ相当に疲労しているみたいで目を覚まさずにいる。


 ひとまず、目を覚ますのを待つとするか、その後の事を考える。

 目が覚めたら目の前にゴブリンがいるというシュチュエーションか?

 ちょっとキツイなー

 どうしたものかな


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