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下駄箱に
「お前、喧嘩でもしたのか?」
下駄箱に着き、陽介が訊く。
「なんで?」
靴を履き変えながら銀河は言った。
「そりゃあお前、その木刀にその怪我。暴力団にでも入ったのか?」
「まさか、そんな訳ない」
確かに、陽介の考えは間違ってはいないが、若干のずれがある。
まあ、実際問題むしろ暴力団の方が可愛いものかと銀河は思う。
そう皮肉に思いながら、昇降口で先に靴を履き替えた銀河は、靴を履き替え中の陽介を待ち方をすくめた。
「これから医者行くんだっけ?」
陽介が靴を履いて、二人で昇降口を出ると、更に陽介が質問を投げかけた。
「ああ。そうだけど……それがどうかしたか?」
陽介が突然持ち出した話は、銀河の医者についてであった。
だが、一体陽介が銀河の医者に対して何の疑問があるのだろうか?