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竜少女〜Dragon Girls〜  作者: ピルルピピ
第1部
22/25

ep.21 入学、卒業


 早苗がどこにいるのかについて聞きたかった。

 あの時、私は早苗を守りきることはできなかった。私の責任である。なんとしてでも早苗にもう一度合わなければならない。

 だけど誰に聞いても『知らない』『分かりません』の一点張りだったし、あのドロシーとかいうアホにいたっては『そんな奴なんてどうでもいい』なんてぬかすから肘打ちを入れてやりたい気分だ。

 そして大した情報も得ることができず、私はあのとんでもない重要機密を暴露した金髪野郎の元へ足を運んでいた。もちろん、お昼は野菜ジュースのみにしておいた。


「ここか…」


 金髪野郎に指定された部屋をようやく見つけ、部屋の前に立つ。だが、そこには丁度ドアくらいの大きさの切り込みがあるだけでドアノブなどはない。

 とりあえず待っていても仕方ないのでドアらしきものをノックしてみる。しばらくするとどこからともなく金髪の声が聞こえた後、目の前のドアっぽかったものが横にスライドして部屋の中に入ることができた。

 途中で使った全く振動しないエレベーターや、ちらほら見える宙に浮いている枠なしモニタなどがあったが、どうやらこの施設、かなりハイテクなようだ。一体ここはどこなんだよ…


「よく来たわね。」


「えぇ…まぁ、なんというか。とりあえずお邪魔しますとは言っておきます。」


「それは結構。ところでただくっちゃべるのもなんだし、ついさっきそこで買ってきた特製ケーキがあるのだけれど…あなたも食べる?」


「あなたはここで私に殴られたいのですか?」


「あらそう。いらないのね?せっかくあなたのために買ってきましたのに…」


「どの口が言ってるんです。さっきの病室でのあなたの発言を忘れたのですか?」


「70?」


「誰が70だ。いや、そうじゃなくて。」


「大丈夫よ、60なんて普通だしねぇ。」


「そういっていられるうちは幸せですよ…」


「まぁそんなことはどうでもいいわ。それよりも話を始めましょう。話し合いをね?」


「はぁ、なんだか不安です。」



〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜



 結果として、話し合いと言う名の一方的な質問責めになったわけだったが…

 聞かれた質問は基本的には竜少女関連の話と、ここまでの経緯。そして好きな異性のタイプだった。

 この女、やはりぶん殴ってやろうか…


 その代わりとしてこちらもいくつかの質問をしてみたのだが、一向に誤魔化すばかりで答える気がなかったようだ。とんだほねおりぞんである。


「まぁねぇ、一つ答えられるとしたら…ここがお空の上ということかしら。」


「えっ?」


「あら、今更気づいたの?窓の外をみてみなさい。ここがどこか、あなたなら分かるでしょう?」


 私は飛びつくようにして部屋の窓に張り付く。外の景色はさほど普通の町並みと大差ない、若干人通りが少ないことを除けばどう見ても変わりない世界である。

 だが、空を見れば一目瞭然。雲が手に取れるような程近くにあった。具体的に言えば、上ではなく横にあるのだ。


「ここは…」


「ようこそ。対巨竜用都市型防衛施設、通称『ファーム』へ。」




 私はこの時、ここが第二の家になることになるなんて思ってもいなかった。

 そして、ここで経験する安楽と苦痛を知る由もなかったのだ。

 



〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜




「ねぇ、知ってる?このファームの指令室前に飾ってある名簿のこと。」


「え、なにそれ。そんなものがあったの?」


「うん、聞いた話によるとその名簿は今まで竜少女として戦った女の子たちの名前らしいよ?」


「ていうことは私達もいずれそこに載るってこと?」


「多分ね、おそらく学校の卒業名簿みたいなものでしょ。一度見てみたいなぁ〜」


「でもさ、よくよく考えたらこのファームってせいぜい数千人しかいないじゃない?」


「うん。」


「だったら卒業?した先輩方はどこへ行ったのかしら?」


「うーんそうね。私もそれ気になるわ。確かに先輩達ってある時突然いなくなるよね?この前も私の先輩に神無っていう人がいたんだけど、別れも言わずにいなくなっちゃって…」


「なにそれ、ホラー?いやぁだぁ〜」


「まさかね〜まぁ十中八九卒業して地上に降りたか、DGの総本部に移動したかでしょうね」


「DGに総本部なんてあったの?」


「あるらしいよ?というかないとどこがこの世界にいくつもあるファームを指揮するのよ。」


「なるほど…それにしても卒業か〜考えもしなかったよ。具体的には卒業っていつ頃なんだろう…」


「うーん、去年の今頃に先輩がいなくなったから。それに従うならそろそろじゃない?」


「えぇ、そんなに近いの?もう少し思い出とか作りたかったなぁ〜」


「あ、招集かかってるよ?」


「あ、ほんとだ。なになに?」



『デルタ4〜6に所属する部隊に告ぐ。以下の者は至急ファーム最上階、指令室までくるように。嵐山部隊鈴木奈々、小瀬有栖…………』


「あ、私達の名前があるよ?」


「ほぇー私達もついに卒業か?」


「まさか、多分探査任務とかの説明でしょ?ほら、モタモタしないで早くいくよ。」


「あぁ、待ってよ〜」


 これは、ルンがファームにくる数年前のとあるふたりの竜少女達の会話である。

 




 ファームにいる竜少女達はいずれ時がくると卒業する。


 これは先輩達から後輩達に長年受け継がれてきた七不思議の一つであり、現に卒業した先輩達は存在する。

 しかし、卒業後の進路は不明だ。


 なぜなら、卒業した先輩は二度と返ってくることはないのだがら。

厳密に言えばファームは学校ではないので入学とか卒業だとかは使わないけど、しっくりくるのでこれにしました。

まぁ一応彼女達は育成されるわけだしその意味では入学も卒業もあっているのかもしれない

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