角の生えた少女
夏休み中に考えた新作です。誤字や文章がおかしいところは逐一修正していくつもりです。その度に報告はしますのでよろしくお願いします。
私の母には角が生えていた。
それは鬼みたいに怒っているという比喩表現などではなく、本当に頭から二本の角が生えているのだ。
何故そんなものが生えているのか、私には知る由もなかったが、父はそんな母のことを『竜に憑かれた』と言っていたことだけは覚えている。
竜。ドラゴンとも呼ばれる現実には存在し得ない空想上の生物。昨今では日本のソーシャルゲームやアニメ、漫画などで頻繁に目にするようになり、かなり馴染み深い存在になっている。
だけど…幽霊ならともかく竜が人に取り憑くなんて聞いたことがない。結局のところ、私は今の今に至るまで真相を知ることはできていない。
そんな矢先に母は突然失踪してしまった。もともと家にいないことが多々あったけど、それでも必ず月に1回は帰ってきてくれるはずだった。
母がいなくなって3ヶ月くらい経った後、それに続くように今度は父も姿を見せなくなった。
行方不明の母とは違い、父の居場所はいとも簡単に知ることができた。まぁ、知らされたというべきだろうか…警官服の男を連れた女刑事が家を訪れてきたのは記憶に新しい。
警察署で案内された線香の匂いの充満する薄暗い部屋の中で、父は全身に白い布をかけられた状態で台の上に横たわっていた。
飛び降り自殺だったらしい…
私はその晩、静かで暗くなった家の中でベッドに横になりながら肩を震わせていた。
寂しくて、怖くて、不安で、頭を抱えて泣いた
そして手で触って気がつく
私の頭にも母と同じような角が生え始めていた。
第1部はじまります。