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はじめに

    私は『記紀』特に『日本書紀』(以下『日本紀』)のいわゆる「建国神話」に関心を持ってしまった人間である。

 そんな私は、大学三年生の時に上山春平と大山誠一の著作を読み、日本紀に記されている神話は、藤原不比等という人物が作ったものであることを知った。それ以来私は不比等に関心を持った。そして、その不比等に関する参考文献と先行論文を読んで、これまでゼミ発表のためのレジュメを作ってきた。そのようにして不比等を調べてきて、最近は仏教に関係するものとして「維摩会」と藤原氏について調べて、やはりゼミで発表した。

 それでは最初の方でも述べたが『記紀』特に日本紀の建国神話に強い関心のある私が何故、今回の論文のキーワードに「維摩会」を選択したかを述べるのだが、私は三年生になるまでは、自分の専攻が仏教史学であることと関心のある建国神話から天皇を連想して、天皇と仏教すなわち天皇の仏教信仰について調べてみたいと思っていた。それでも建国神話が入っている『記紀』神話に、未練に近い関心があった。しかし三年生の初めの頃に大山誠一氏が著した『天孫降臨の夢(NHK出版)』を読んだことがきっかけで、それ以来不比等という人物に関心を持った。

 そして、三年次は日本紀と不比等に関する参考文献を読んでゼミ発表を行い、四年次の最初のゼミでは「維摩会」についての発表をした。その維摩会の発表を経て、私は「維摩会の古代史」を通じて藤原氏の古代史を論じていきたいと思う。

それは、藤原氏の古代史を論じるということは古代日本史を論じることにもなるからである。私は高校時代まで、古代日本史とは天皇を中心とした政治と文化の歴史であると学んできた。しかし、大学三年生の時に触れた、上山氏と大山氏の著作や論文により、それまでの考えが揺らぎ始めた。

その両者の共通している主張は、いわゆる古代天皇制というものは、その天皇中心の国家体制であるように見えて実は、藤原氏が天皇を隠れ蓑にして政治を行うためのものであり、天皇には実権は無かった、というものである。

両者の共通する主張には様々な意見があると思うが、私は両者のこの主張を知ってから天皇ではなく藤原氏(特に不比等)を軸にして古代史を論じてみようと思った。そして、私自身の専攻が仏教史であるので、藤原氏と仏教信仰を中心にして古代日本史を論じていこうと考えた。そして、藤原氏と仏教に関する事柄として「維摩会」という仏教行事を取り上げるまでに至った。

以上の経緯から私は、この卒業論文では「維摩会」と藤原氏、その中でも鎌足・不比等そして仲麻呂の三名を軸にして、日本の古代仏教史を論じていきたいと思っている。なお、何故、三名の人物が出てきたのかと言うと、論文を書くためにテーマを決めることになっているが、そのテーマに対応した特定の人物を取り上げるべきだということを本学の先生方に学んできた中で教わったことである。

 目次でも書き記したので重複になるが、本論文は、この「はじめに」から「第一章」、「第二章」そして「第三章」というやり方で章を区切っていく。

 第一章「先行研究論文の整理」では、維摩会に関する先行研究を整理する。やり方を述べると、私が選んだ維摩会に関する論文の概要即ち論文の作者がその論文で何を述べていたのかを書き記す。取り上げる論文は四作にするが、それらの論文に何か特徴があれば、それらも書き記していく。

なお、第一章で取り上げる四論文以外にもそれらの論文が参考とした他の論文があるが、私が勝手に決めているページ上の都合と、取り上げた論文の中には、その、他の論文を参考にしているものもあったので、私は今回取り上げなかった論文は、参考文献として使用していく。

 第二章「七・八世紀の維摩会」では、藤原氏と維摩会との関係を軸にして古代日本仏教史等を論じていく。なお今回の範囲は、古代日本の七・八世紀においての維摩絵の変遷を辿っていく。その際、鎌足と不比等そして仲麻呂の三人を各節で区切って、彼らと維摩会との関わりについて論じていく。

 第三章「卒論の総括」では、前二章で行った先行研究の整理と七・八世紀の維摩会の変遷の説明などを踏まえて総括を行い、自分の考えを述べる。


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