表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪神が夢見る異世界  作者: 中野 翼
9/80

次の依頼

次の日、星夜は起きてすぐに宿屋の受付で今日の分の宿泊費を支払い、冒険者ギルドに依頼達成の報告に向かった。


その冒険者ギルドに向かう合間に、MPポーションの鑑定も行った。


【MPポーション】

飲むとMPが回復するポーション。

使用方法:一本分服用すること。

効能:MPを10回復する。

品質:普通


なんかHPポーションよりもあっさりした感じだった。

というか、こっちのポーションは%式ではなく、数値式で回復量が設定されているのだろうか?


あと、そもそもこの世界にステータスなんてものはあるのだろうか?


そんな根本的なことを疑問に思いつつ、星夜は答えの出ないまま冒険者ギルドに到着した。


星夜は依頼達成の報告をする為に、依頼報告のカウンターに並んだ。


「次の方どうぞ」

「はい」

「依頼報告ですね、ギルドカードをお願いします」

「はい」

「確認しますので少々お待ち下さい。・・・お受けの依頼は薬草採取とスライム討伐の二つですね。それでは依頼達成の確認となります。薬草とスライムの核を提出してください」

「わかりました」


ギルドカードを受け取った受付にそう言われた星夜は、ポケットから薬草と朝分解しておいたスライムの核を取り出し、受付のカウンターの上に置いていった。


薬草30本、スライムの核が15個。本来の依頼の数の三倍の品物が受付に提出されていた。


「薬草が30に、スライムの核が15。お受けになられた依頼のそれぞれ三回分ですね。それでは手続きを行いますので少しお待ち下さい」


受付は、薬草とスライムの核を見ると目視で数を計算し、依頼達成の処理を開始した。


「手続きが完了するまでの間に二つよろしいでしょうか?」

「何ですか?」

「まず一つ目は依頼条件についてです。個数が指定されている依頼では、その条件に合うように提出してください。今回はきっかり三回分だったので、三回分の依頼報酬はお支払いいたします。ですが、個数が今より多かったり少なかったりした場合、端数分の依頼報酬はお支払い出来ません。なので、次回からはその点をお気をつけください」

「わかりました。それで、二つ目は何ですか?」

「二つ目はこちらになります」

「新人教育研修のご案内?」


受付が星夜に渡した紙には、そう書かれていた。


「はい。月の始めに一度、その月の前一ヶ月の期間に新規加入された冒険者の方に受けて頂く研修です」

「約一週間後ですか」


星夜は、ナイアルラトフォテップからこの世界の時間の表記は地球と同じだと聞いていたので、そう判断した。


「はい。そちらに詳しいことは書いてありますが、その日はこちらで手続きの上、ご参加下さい。また、その月に参加出来ない。または参加出来なかった場合は、次の月に強制参加となりますのでご了承下さい」

「わかりました」

「それでは手続きが終了しましたので、ギルドカードを返却いたします。それと、こちらが今回の報酬になります。ご確認下さい」

「ありがとうございます」


星夜は、ギルドカードとじゃらじゃらと音のする革袋を受付から受け取り、革袋の中身を確認した。革袋の中には、銅貨が六枚入っていた。薬草採取とスライム討伐はどちらも達成報酬が銅貨一枚。それぞれの三回分で報酬が銅貨六枚になる。


「お間違いありませんか?」

「大丈夫です」


星夜は、報酬額があっていることを確認すると、昨日のように壁に貼ってある依頼を見に行った。


「また薬草とスライム討伐を取っておこうか?それとも何にか新しい依頼を受けてみるか?どちらが良いか?」


星夜は、壁に貼ってある無数の依頼を見ながらどうしようか悩んだ。


「とりあえず初心者ランクの依頼を見てみるか」


冒険者ギルドの依頼には、ランクというものが設定されている。下は初心者ランクと言われるギルドに新規加入した者達に推奨される依頼。上は国を滅ぼす程の魔物を倒すような災害ランクと言われる依頼まである。

基本的には、冒険者ギルドの試験を受けて実力を示さなければ上位ランクの依頼は受けられない仕組みとなっている。


なので、星夜は現在初心者ランクの依頼までしか受けられない。が、星夜自身危険は避けたいので、星夜はこの制限のことはあまり気にしていなかったりする。


【ハーブラビットの捕獲】

捕獲数:一体

報酬:銀貨一枚


【ラビット討伐】

討伐数:三体

報酬:銅貨一枚


【スライムポット討伐】

討伐数:一体

報酬:銅貨十枚


【ムーングラス採取】

納品数:五本

報酬:銅貨六枚


「それなりにあるな」

星夜は、複数ある初心者ランクの依頼の中から、それらに興味を持った。


「ラビットは、名前からして多分ウサギの魔物か害獣だよな。ハーブラビットっていうのはどんなやつだ?しかも、討伐依頼じゃなくて捕獲依頼?俺の魔法とは相性が良さそうだけど、やたら高い報酬が気になるな」


星夜は、ハーブラビットの銀貨一枚という他と一線を画した報酬額が気になった。蹴られたら死ぬスライムが五体討伐で銅貨一枚。となると、報酬額による単純な比較でハーブラビットの捕獲はスライム討伐の百倍厄介ということだろう。


ただ、どんな厄介さかによってはこの依頼を受けても良いかもしれないと星夜は思った。

戦闘力が高くて厄介なら捕獲は不可能だが、見つけにくいとか、すばしっこいとかいう厄介さなら、自分の魔法で十分対処出来ると判断したからだ。


厄介さが見つけにくいなら、マップで捜せば良い。すばしっこいという理由なら、アクセルで身体時間を加速させれば多分対処出来るという考えだ。


「ラビット達については、依頼は受けずに少し捜してみる程度にしておくか。あとは、スライムポットの討伐とムーングラスの採取依頼か。スライムポットてどんな魔物だ?後で本で調べてみるか。ムーングラス採取の依頼は薬草やスライム討伐と一緒に受けてみようか。グラスってことは草のはずだから、自生している場所は薬草とそんなに離れていないだろうし」


星夜は、そう決めると薬草採取、スライム討伐、ムーングラス採取の依頼を壁から剥がして受付に持って行った。


依頼の登録をした星夜は、街の外に向かって歩き出した。


その途中、本を開いてラビット、ハーブラビット、スライムポット、ムーングラスについて調べた。


【ラビット】

ウサギ型の草食系の魔物。脚力に優れ、そのキックはだいの大人の骨を砕く程の威力がある。子供だと致命傷になる為、子供が安易に近づいてはいけない魔物である。肉は食用に使えるが、魔物なので毒素を抜かないと体調不良に陥る。


【ハーブラビット】

背中に薬草を生やしたウサギ型の草食系の魔物。脚力に優れ、そのキックはだいの大人の骨を砕く程の威力がある。子供だと致命傷になる為、子供が安易に近づいてはいけない魔物である。また、背中に自生させている薬草の種類によっては、その点も注意が必要な魔物である。肉は食用に使えるが、魔物なので毒素を抜かないと体調不良に陥る。背中の薬草は、とくに処理しなくても使用可能。かなり臆病な性格で、滅多に人の前には姿を見せない。


【スライムポット】スライムを生産する壷型の物質系の魔物。定期的にスライムを発生させ、周囲の環境を間接的に破壊する原因。本体に攻撃能力は無いので、見つけたら速破壊がオススメ。


【ムーングラス】

月の光を浴びることで成長する特殊な薬草。高濃度の魔力が含まれていて、上位のポーションの材料に使われている。


「ふむ。ラビットはやはりウサギで、ハーブラビットも見つけられない方の厄介さと。スライムポットは倒さずに飼っておくと便利かもな。定期的に錬金術の材料(スライム)を出してくれるんだから。あと、ムーングラスは確保しておきたいな。今はまだ必要ないけど、ストックしておいた方が良いだろうし」


星夜は新たに目的を追加すると、街の外にくりだして行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ