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邪神が夢見る異世界  作者: 中野 翼
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果物錬成

「とりあえず調べてみるか」


二つの魔法が使用が可能になった理由がわからなかった星夜だが、とりあえず効果だけは調べておくことにした。


さっきまで持っていたダンジョン関係の本をしまい、ポケットから魔法が載っている方の本を取り出した。


「ええっと、空間、空間・・・あった!」


星夜は空間魔法が載っている辺りのページをめくっていき、目当てのページを見つけた。


「ええっと、何々・・・」



空間魔法《結界》

任意の地点を中心に、一定範囲の亜空間を形成する魔法。亜空間形成時に対象を一つ選択することにより、その対象を遮断することが可能になる。通常は特定の対象を選択し、それを防ぐ為に使用される。

対象を魔力にすれば魔法を防ぎ、対象を物質にすれば物理攻撃を防ぐことが出来る。

また、結界展開中はその亜空間内全体に術者の魔法やスキルを使用出来る。ただし、一つの結界につき使用出来る魔法やスキルは一つだけ。他の魔法やスキルを発動させたい場合は、一度結界を解除しなくてはならない。

ちなみに、対象外のものは全て結界を透過して影響は受けない。

結界の強度は術者の力量や魔力に左右され、対象がそれを越えた場合結界は破壊される。

結界が一部でも破壊されると、結界全てが解除される。



空間魔法ディスタンスチェンジ

任意対象間の距離を変更する魔法。

最小は零距離で、最大距離は使用魔力によって変化する。

魔法使用中の対象間に異物が入った場合、その時の距離に応じた効果が異物にたいして発揮される。

零距離の場合、その異物は圧縮される。異物を圧縮しきれない場合、異物の大きさに応じて任意対象双方が後退する。

長距離の場合、その異物は任意対象間で引き伸ばされる。

異物が引き伸ばされる限界を越えた場合、異物は引き裂かれる。



「結界はまんまだけど、ディスタンスチェンジって距離をいじる魔法なのか。だけど、やっぱりなんでこのタイミングで使えるようになったのかわからないな。いや、ディスタンスチェンジの方はさっきボス部屋を広くしたからか?・・・やっぱりわからないか。使用可能条件とか考えるのはやめておこう。それよりも」


星夜は本を閉じて、今度は愛ちゃんがいる方のボス部屋をいじり始めた。


まずは石床をフローリングに変えた。

次に石壁を白い木材に変更。


星夜は向こうの世界で見た愛ちゃんの部屋を参考に、奥側のボス部屋を愛ちゃんの私室に模様替えしていった。

そして最後に椅子に机、本棚。ベッドにクッション、ぬいぐるみなどの家具や小物を実体化させて部屋に配置していった。


「こんなものかな?」


しばらくすると、とてもダンジョンとは言えない空間が出来上がっていた。


「愛ちゃん、こんなところで良いか?」

「・・・」


星夜が愛ちゃんに確認をすると、彼女は現状に驚いて声を無くしていた。


「愛ちゃん?」「・・・う、うん、良いんじゃないかな」

「そうか」


彼女がそうしぼり出すと、星夜は一つ頷いた。


「さて、ダンジョンの結合も模様替えも終わった。次は何をするかな?」


とりあえずやることが無くなった星夜は、次に何をするかを考え始めた。


「ねぇ星夜くん」

「どうかした、愛ちゃん?」

「ちょっと休憩したら。あまり根を詰めすぎても身体に悪いよ」


愛ちゃんは心配そうにそう言った。


「たしかに愛ちゃんの言うとおり、根を詰めすぎるのは身体に悪いな。わかった、少し休憩にするよ」

「うん、その方が良いよ」


星夜はさっき実体化させた椅子に腰掛け、愛ちゃんはベッドの方に座って休憩した。



「うん?帰って来たか」


休憩を開始して30分が経過すると、果物とスライムポットを取りに行かせたコボルトドッグ達が帰って来た。


「お帰り」


星夜が待つこと少し。ダンジョンの迷路を抜けてコボルトドッグ達がボス部屋までやって来た。


そのコボルトドッグ達の腕には、複数の果物とスライムポット二体の姿があった。


「無事に見つかったか。良し良し」


星夜は、ちゃんと頼んだものを見つけたコボルトドッグ達全員の頭をヨシヨシした。


星夜にヨシヨシされたコボルトドッグ達は、舌を出しながら尻尾を大きく振った。


よほど星夜に褒められたのが嬉しかったようだ。


「ちゃんとお使いが出来るみたいだし、材料はあるから数を増やしてみるか」


星夜は、果物やスライムポットの入手の効率を上げる為にコボルトドッグ達をさらに錬成することに決めた。


それから星夜は、コボルトとハングリードッグ達の材料を取り出し、錬成出来るだけコボルトドッグを錬成していった。


「ふむ、けっこう錬成したな」


あれから錬成し続けた結果、今星夜の目の前には三十体におよぶコボルトドッグ達がいた。


「良しお前達!今度からは交代で果物とスライムポットを捕まえて来い!」


星夜がコボルトドッグ達にそう命じると、半数のコボルトドッグ達が外に駆け出して行った。

残る半数のコボルトドッグ達はさらに半数に分かれ、半数は迷宮に向かって行った。

残ったコボルトドッグ達は、行儀良く星夜の前でお座りして待機した。


「ふむ。ローテーションは自分達で決めて良い。スライムポットはともかく果物は傷むから、そんなに焦って集めなくても良いからな」


星夜はコボルトドッグ達にそう言うと、視線をコボルトドッグ達から離した。


コボルトドッグ達は一つ頷いた。


「さて、せっかくコボルトドッグ達が取って来てくれたんだ。早速錬成してみるか」


星夜は、今度はさっき分解で作ったポーション類を向こう側から引っ張り出した。


「まずはこれからいってみるか。《錬成》」


星夜はコボルトドッグ達が取って来た果物の中から一つを取り上げた。

そして、取り上げた赤い果実とMPポーションで錬成を開始した。


それが完成すれば次の果実を取って錬成。それが終わればまた次を、星夜はどんどん錬成した。

最終的には、魔力が空に近づくまで星夜は繰り返し錬成していった。


数時間も経つと、置いてあった各種ポーションは全て錬成済みのものになっていた。


「ふうっ、終わった終わった」


全てのポーションを果実と錬成し終えた星夜は、一息ついた。

そして、再び休憩をとることにした。


「星夜くんて嵌まるとノンストップだよね」


星夜が休憩し始めると、愛ちゃんが星夜に声をかけた。


「そうか?」

「うん。だって本にしろゲームにしろ、一度嵌まると切りがつくまでずっとそればっかりやってるよ」

「まあ、そうだな」


星夜はいつもの自分の行動を振り返り、愛ちゃんの言葉を否定しなかった。


「そうでしょう。あまり無理はしないでね。私はこんな身体になっちゃってるから、病気とかにはならないだろうけど、星夜くんは身体を壊しちゃうかもしれないんだから」

「まあ、たしかにそうだな。ちゃんと休憩や休日は作った方が良いよな」


星夜は愛ちゃんの言葉にそう思った。


「こっちの世界に来たいじょう学校もないんだし、休日は多めにしても生活出来れば問題無いんだよな」

「まあ、そうなるよね。私も休日とか考えた方が良いのかな?」

「愛ちゃんに休日というか、定休日は無理じゃないか?」

「なんで?」


愛ちゃんは、星夜の言葉を不思議そうに聞き返した。


「だって愛ちゃん、ダンジョンを運営しているだろう?客が来るというか、外の人間が襲撃してくる限り、愛ちゃんは年中無休が通常だろ?」


星夜は無慈悲に現実を彼女に突き付けた。しかし、それはダンジョンマスターについて回る不可避の現実であることは揺るぎない事実であった。


「・・・」


愛ちゃんは、そのことがショックだったようで、しばらく沈黙した。


それを横目で見た星夜は、はっきり言い過ぎたかと内心冷や汗を流した。

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