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邪神が夢見る異世界  作者: 中野 翼
17/80

名付け

「レモラはコバンザメが正体って、向こうで言われている魔物だよな。こっちではどうだかわからないし、一応試しに出してみるか。ええっと、必要なダンジョンポイントは・・・500!高っ!」


星夜は、向こうとこちらとの違いを考え、試しにレモラを出現させてみることにした。

しかし、レモラを出現させるのに必要なダンジョンポイントのあまりの多さに驚いてしまった。


ここでいうダンジョンポイントとは、ダンジョンの運用に必要なポイントのことである。このポイントを消費することにより、ダンジョンを大きくしたり、魔物を出現させることが可能になるのだ。


ポイントの入手方法は、ダンジョンマスターがダンジョンに魔力を注ぐ。ダンジョンマスターやその配下が魔力を持った生物を殺す。ダンジョン内で魔法を使わせるなどで増やすことが出来る。


ちなみにダンジョンポイント1Pでスライムが一体出現させられる。

つまり、レモラはスライム五百体分のポイントが必要だということだ。


魔物を出現させる時に必要なポイントは、出現させる魔物の強さ、能力、のびしろなどで決まる。

つまり、レモラはそれだけの強さか能力、のびしろを持っているということだ。

星夜は、俄然レモラを出現させるやる気が出てきた。


「ここまでポイントが高いと、レモラには期待出来そうだな。とりあえずは、出現させたらこの世界の海にでも置いておけば良い。が、今は出現させる為のポイントが足りない。外でポイントを稼がないとな。あっ!」


そう言って星夜はさっさと外に戻ろうとした。だが、戻る直前にやり残したことと、確認し忘れていることに気がついた。


「そういえばまだスライムポット?をこっちに連れて来れるのか試してなかったな。せっかくダンジョンを作ったのに、当初の作成理由を忘れるところだった」


星夜は、ダンジョンコアをいじって魔物をこの夢の世界に引き込めるのか確認した。


「うーんと・・・おっ!いけるみたいだな。というか、これって・・・」


星夜がいじっているダンジョンコアから、ダンジョンの出入口についての情報が表示された。

それによると、このダンジョンの出入口は夢を見る存在。人間種や動物、魔物、それ以外でもとりあえず眠って夢を見れる存在の傍なら何処にでも開けるらしい。

つまり、このダンジョンを中継点にすれば、擬似的な転移が可能になるということだ。

まあ、星夜の持つ空間魔法の種類を増やせば、空間転移や空間移動の魔法なんて普通にある。が、そちらは魔力消費が激しいので、こっちの方がお得かもしれない。

ただし、出入口を開く場所に制限はある。

まず第一にあくまでダンジョンを経由した移動であるということ。

このダンジョンは、星夜の夢の中に展開している。なので、星夜を基点にダンジョンの広さが及ぶ範囲にしか出入口を開けない。


また、星夜や配下の魔物などの傍にダンジョンの出入口を開くのは簡単だが、人間種や魔物の傍に出入口を開く場合、その対象の夢と星夜の夢を繋いでおく必要がある。

これに関していえば、相手側が拒否さえしなければ簡単に夢同士を繋ぐことが出来る。

そして、その上で相手の意識が多少でも眠っていることが条件にある。

まあ、この点は星夜の眠りの魔法ですぐに条件を満たせる。


「結構便利そうだな。それじゃあ早速」


星夜は、ダンジョンコアを操作してスライムポット?と自分の身体を夢の世界に引きずり込んだ。


現実世界では、寝ている星夜とスライムポット?の傍の空中に突然穴が空き、二人がその穴に吸い込まれたように見えた。

「ふむ、自分の夢の中なのに自分の身体があるか。それとも今は夢の世界は自分の身体の中にはないのか?・・・考えるだけ無駄だな。自分で答えを出せるような問い掛けじゃない。さて、ここが今日からお前の住家だぞ」


星夜は夢の自分と現実の自分を一つにして、少し考えて結論を出した後、一緒に引っ張り込んだスライムポット?にそう言った。


言われたスライムポットはというと、味噌壷の中からスライムの部分を出して辺りをキョロキョロ見ていた。

突然の展開についていけていないようだ。


「突然のことで混乱しているんだな。まあ、ここには外敵なんていないし、ゆっくり落ち着いてくれれば良い。さて、いつでも仮称・スライムポットじゃ可哀相だよな」


星夜はそう言うと、錬成したものが記載されていく図鑑を取り出した。そして、錬成したスライムとスライムポットについて調べた。



【仮称・錬成スライム】

※まだ正式な名前が登録されていません。


【材料】

通常のスライムの素材+各種ポーション類


【説明】

星夜が錬成したスライム。ポーションを材料に錬成されている為、その体液の全てがポーションで出来ている。材料になったポーションによって効果や回復量が変わるが、このスライムに触れることによって、その材料となったポーションの効果が発揮される。

【分解後の素材】

スライムの素材一式、各種ポーション類



【仮称・錬成スライムポット】

※まだ正式な名前が登録されていません。


【材料】

スライム+スライムポット


【説明】

星夜が錬成したスライムとスライムポットの合成種。ベースはスライムポット。

スライムとスライムポットの能力を合わせ持ち、味噌壷型の身体の中には星夜が展開した亜空間がそのまま固定されている。その為、この魔物は生成・分裂したスライム達を常に一定数保持しておくことが可能となっている。

また、一定数を越えた分のスライムは中で合体し、スライムの質の向上が一定期間で発生する。

この合体により、スライムの細胞数が圧縮増殖し、密度・重量とも増大する。

それらの細胞を人体器官に変換することで、この魔物は圧倒的な戦闘能力を発揮する。

例えば脳。細胞を脳細胞に変換すれば思考能力や判断能力が向上する。規模を拡大すれば、生体コンピューターにすることも可能。情報の収集・記録からそれを使ったシュミレートまで、幅広いことに対応出来る。

例えば筋肉。細胞を筋肉に変換すれば、打撃力や瞬発力が向上する。本来ならありえない攻撃力や速度の実現も夢ではない。

例えば心臓。細胞を心臓に変換すれば、それをエネルギーのジェネレイターにすることが出来る。

魔力生成器官である心臓を増やせば、それだけ一度に魔力を生成出来る上、全身に魔力を循環させることが可能になる。

例えば胃。細胞を胃に変換すれば、捕食時の消化・吸収の速度が向上する。

一度に大量の獲物を喰らう時に有効。


・・・その後も各器官に変換した場合の運用などが記載されている。



「なるほど。にしても、スライムに比べてスライムポットの内容がやたら多いな。だが、これで昨日見た映像に納得がいった。細胞を筋肉とかに変換していたから、あんな凄いスピードが出せてたんだな」


星夜は、錬成スライムポットの説明を見て、昨日のことに納得がいった。


「それに、これは使えるな。ダンジョンとこいつを組み合わせれば、俺の攻撃力を補える。いや、自分で攻撃力を今から得るよりも強くなれるな」


星夜は、新しい手札を得て新しい戦い方を考えだしたようだ。

イメージ補正の働いている星夜の頭の中では、現在いくつもの試してみたいことが想像されていた。


「おっと、戦い方を考えるのはこの後でも良いか。先にお前に名前を付けてやらないとな。あと、図鑑での名前が仮称なのもアレだし。どんな名前が良いかな?」


星夜は、まだ混乱状態のスライムポット?を見ながら、名前をどうするか考え始めた。


「そうだなぁ、単純なので良いか。仮称・錬成スライムは、ポーションスライム。仮称・錬成スライムポットは、スライムズポットだ。最後にお前の名前は、ラストだ。これからもよろしくな」


星夜は、スライムズポットのルストを持ち上げ、そう命名した。

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