発破犬
いつもの通り救いの無い話。
紛争地帯には、上層部の思惑はともかく、
現地では平和と正義の為に戦う戦士たちがいる。
血で血を洗う荒んだ環境の中、兵士達はキャンプに紛れ込んだ犬達に癒された。
ある日、兵士の一匹が犬を連れてきた。
弱って入るものの人懐っこく、小さくて保護欲を誘う犬だった。
しかし、その犬は敵国の人間が仕掛けた爆弾を身体に内蔵しており、
兵士達と共に粉微塵となった。
その犬の名前は、そうだな、仮にハッピーとしておこう。
ハッピーは母親を知らなかった。
気が付いたら人間達に育てられていた。
ハッピーはある日起きたら大怪我をしていて、
いつの間にかそれが治っていた後があった。
それから身体が少し重たくはなったが、
何とか生きていた。
その時には何匹か一緒にいた犬の内2匹はいなくなっていた。
爆弾を腹に仕込む手術に失敗したのだ。
ハッピーは人間達に優しくされた。
それはハッピーを人懐っこく、
人間の懐に入りやすくするためだった。
ハッピーがしっかり人間を信頼して、
ハッピー達を育てていた人間の敵国の人間が近づいて来た頃、
ハッピー達の飼主は、
ハッピーを捨てた。
そしてハッピーは、其処の国と戦争している兵士のキャンプに迷い込んだ。
其処にいた兵士達はハッピーの可愛さに瞬く間にハッピーを仲間の一員に招き入れた。
背負ったバッグに入れて写真を撮ったり、
集合写真を撮ったり、それはもう、彼らの親友になっていた。
ハッピーは人間を信頼していた。
だが、ハッピーはハッピー自身にそのつもりが無くても敵兵だった。
自爆兵だった。
兵士達はハッピーを兵器ではなく、仲間として扱ってくれた。
けれども、ハッピーは――――――――――――爆弾だった。
ハッピーと言う名前が色んな意味でブラックすぎる。