地の文「一人称①」
初くん:小説を書いてみたい少年
文ちゃん:書き方を教えてくれる少女
「初くんは小説をいくつか読んで、地の文に種類があることに気が付かなかったかしら?」
「種類……? うーん、どうだったかなぁ」
「もしかしたら、ないかもしれないわね。特になろうだと」
「どういうこと?」
「そうね、もう答えを言ってしまうけれど、地の文の種類とは一人称と三人称よ」
「一人称と三人称? それって国語で言う、『私』と『彼』『彼女』ってこと?」
「間違ってはいないけれど、ここでは視点の違いになるわ」
「視点? 誰の? 作者?」
「作者とは違うわね。語り手よ」
「語り手?」
「そう、地の文を誰が語っているか。例えば一人称。これはその場面のメインの登場人物、基本的には主人公ね」
「主人公の視点で地の文を書くってこと?」
「そうよ。一人称の場合は作者が主人公になったつもりで書くのよ。今回は初くんをモデルにしてるから、なったつもりもなにもないのだけれどね」
「ふんふん」
僕は彼女の話に相槌を打ちつつ、以前に言われたようにメモを取った。
「とまぁ、こういうのね。語り手が思ったことや感じたことをそのまま書けばいいわ。なろうだと、一人称が圧倒的に多いわ」
文ちゃんが指を1本立てた。どうでもいいけど、彼女は説明をする時にこの仕草をする事が多い。
「なんで?」
「推測が多分に含まれるけれど、初心者にとって書きやすいからだと思うわ。作者が自分の視点で書くのだから、スラスラ書けるのよ。まぁ、もちろん人によるのだけれど」
「あれ? 作者の視点なの? 主人公じゃなくて」
さっきと言ってる事が違うような?
「気にして読んでると気付くのだけれど、なろうでは結構多いのよ。自分を主人公に投影してる小説」
「へぇ、そうなんだ」
全然気にしたことなかったな。
「だから余計に一人称ばかりになるの」
「なるほど」
僕は相槌をうった。
「今の地の文はアウトよ」
「えっ、どうして?」
「直前の会話文で初くんが相槌を打ってるのは分かるでしょう? その上さらに地の文でも説明しちゃったら、文章がクドくなるわ」
「そうなんだ」
「ええ。会話文で説明がもう必要ないなら、無理に地の文で説明しない事ね。テンポも悪くなってしまうし」
「うん、分かった。同じことを続けて説明しない、と」
うん、確りメモも取ったぞ。
「それじゃあ続いて、一人称の特徴について説明するわ。ちなみに、ここから私目線の地の文にするわね。語り手が変わるという事も見てほしいし」
~文視点~
「上の何?」
「視点が急に変わると読者が混乱するから、分かりやすく区切ったのよ。わざわざ◯◯視点なんてせずに」
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「とかで区切ってもいいわね。少なくとも改行をいくつかして、余白を多めに作るぐらいはした方がいいわ」
「うん、了解」
私の説明を聞いて初くんが一生懸命メモを取っている。こういう素直なところは彼の美点よね、なんて思う。
「一人称の特徴に話を戻したいところだけど、長くなってきてから今回はこれくらいにしましょう」
私の提案に初くんが頷いた。何度も同じ事を繰り返しているだけに、彼も慣れてきたようだった。
「それじゃあ、続きは次回で」