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会話文と地の文


(うい)くん:小説を書いてみたい少年

(あや)ちゃん:書き方を教えてくれる少女



「次は文章の書き方についてレクチャーするわ」


「よろしくお願いします」


「小説における文章は、ざっくりと二種類に分けられるわ。地の文と会話文よ」


「会話文は分かるよ。僕たちがこうして話してる「」(カギカッコ)の中の文章の事だよね」


「そうね。登場人物が口に出している言葉を表しているわ」


「それじゃあ、地の文っていうのは?」


「場所や動作、状況を説明する文章のことね」


(あや)はそう言いながら、辺りを示すように人差し指を回した。


「上記のこれね。この小説では初めての出番となるわ」


「そういえば会話文しかなかったもんね」


「普通は有り得ないわね。これが普通の小説じゃないから、なんとかなっているけれど」


そもそも小説と言っていいのかすら疑問である。強いて言えば指南書ということになるのだが、そう表すほど内容があるわけでもない。


「それで、地の文がなんで大事かって事なのだけれど」


「うん。会話だけじゃダメなの?」


「会話だけだと情報量が少なすぎるのよ。だって、読んでる人達は『私達の外見すら知らない』のよ」


「あ、そっか。会話しかしない上に、僕らお互いの見た目について話してないもんね」


「声に出して他人の容姿を説明なんてしないもの。それに、私達が何歳くらいで何処で話しているのかも伝わってないわ」


「そうだね」


「まぁ、立場として私が上で初くんが下という事は間違いなく読者に伝わってると思うけれど」


「ウソ!?」


「本当よ。ほら、皆さん頷いてるじゃない」


「見えない! 僕には見えない!」


「まぁ、それは置いといて。一度、地の文で私達を説明してみましょう」


夕焼け色に染まった教室で、(あや)は黒く艶やかな髪を耳に掛けた。眼鏡の奥の瞳が、向かいに座る初を真っ直ぐに見つめている。


「とまぁ、これで私が黒髪で眼鏡を掛けていることが伝わったと思うわ。ついでに耳に掛けるくらいだから、ある程度の長さがある事も分かる。黒髪眼鏡だから真面目、というイメージも持たれやすいわね。さらに教室だから、最低でもどちらかが学生だと伝わったと思うわ。穿った見方をしないなら、お互い中高生だと思われるわね」


「うん、確かにそんな風に思ったよ」


初が少々興奮した様子で相槌を打った。中性的な容姿のせいか、上気した頬に妙な色気がある。


「さて、これで初くんの容姿も少し分かったわね。外見だけはよさそう、というところが」


「だけって言わないで!」


「顔も悪いって言われるよりいいじゃない」


「ええー……って、あれ? 文ちゃん、顔はいいと思ってたんだ?」


「思ってないわ。勘違いしないで頂戴」


「それツンデレのテンプレ……」


「あ"ぁ?」


「なんでもないです」


「こほん。さて、話がかなり脱線してしまったわね。閑話休題(はなしをもどします)。とりあえず地の文が必要だってことは分かって貰えたと思うわ」


「そうだね。地の文がないと容姿も情景も説明しづらいもんね」


「ええ、そうよ。というわけで、文章の書き方その1はここまでにしましょう」


「まだ続くの?」


「そうね、次は地の文の種類について説明しましょうか」


「地の文にも種類があるの?」


「そ。まぁ、そんな難しいことじゃないけどね。それを次回で」


「うん、分かった」


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