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アナザー・ワールド・オンライン  作者: ジン
第一部:煉獄龍戦
26/54

終幕そして旅立ち

「この度はご迷惑をお掛けしました!!」


 深々と頭を下げるアレス。

彼らがいるのは首都イシュガルに設けられた宿屋の一室だ。

 NPCに同化したプレイヤーの眼を気にせず話せる場所は数少ない。そこで以前からお世話になっている宿屋に戻ってきてアレス、カオス、アルドラ、ジャンヌ、アークの計五人による話し合いが行われていた。

 話し合い、といっても、アレスは正座で座らされ、その周囲を他のメンバーが囲っている状況だった。


「息もしてない。心臓も止まっている。なのに蘇生魔法も回復魔法も効かないでは本当に心配したんですからねっ!」


 涙目になりながら怒るジャンヌ。アレスはと言うとTHE土下座の姿勢を崩さず、アークは頻りにうんうんと頷いている。


「ジャンヌも口ではこう言っていますが、私たちはあるじが死ぬなんてこれっぽっちも思ってなかったのですよ。ただ気になることは一つ」


 アルドラは周囲を見回してから目を向けると顔を赤くするジャンヌ。


「あの時最後に現れた女性。あれも主ですよね?言い訳は結構ですよ?ちゃんと分かっていますから。あの姿が主でも何でもいいんです。ただ・・・」


 一音、声色の下がった声でアルドラが皆が気になっていたある一言を口にする。


「主は結局性別どちらなんですか?」


「男です。正真正銘の漢です!」


 先ほどまでと違い毅然とした態度で答えるアレス。ここだけは譲れないとばかり強い意志を込めアルドラを見つめる。


 「そ、そうですか!まっ、まぁ私としてはどちらでも良かったのですけど」


 と顔をアレスから反らし答えるアルドラ。一同もその解答に安堵の表情を浮かべる。

被告人アレスに対する略式裁判?もなんとか終了し数十分振りに立ち上がるアレス。


「あてて」


 久々に立ち上がろうとした為、足が痺れ上手く立ち上がれないアレスに我先にと手を貸そうとする周囲の面々。ふらついた先にいたカオスに支えられることとなった。


「ごめんごめん」


 カオスにお礼を言いつつ、自力で立ち上がると周囲を見渡す。


「今回は本当にすまなかった。お陰様で街に被害を出すことなく対処出来た。本当にありがとう」


「いえいえ、そもそも主のあの姿があれば私達など不要だったでしょう?」


 アルドラが黒耀姫の姿を思い出し苦笑いを浮かべながら言うと、


「いや、あれはあくまで最終手段だったし、アルドラ達だけでも対処可能だと思ったんだ。あんなイレギュラーが起こるなんて思っても見なかったしね」


 と返すアレス。


「では、そのように納得しましょう。帰る前にカオスとお話させてもらっても?」


「ああ。どうせならガゼルやその・・・ミレイさんだっけ?とも話してくれば?」


「よろしいので?」


 アレスが頷くと「それでは」とカオスと共に部屋から出て行くアルドラ。

残ったジャンヌとアークはアレスの両隣に立つと積極的に腕を組んでくるアーク、遠慮気味にアレスの着ているロングコートの袖口を摘んでいるジャンヌ。

 さてさてどうしたものかと思案するアレスなのであった。


 


 宿屋を出て首都イシュガルのメインストリートとなる道を並んで歩くカオスとアルドラ。

冒険者ギルドへと向かう道すがら当時起こった現象について簡単に説明を行うアルドラ。


「じゃあアルドラはどこか別の場所で生きているってことね?」


「ええ。但し、この時代でまだ生きていれば。ですけど」


 数百年前のファンタジアに飛ばされてしまったアルドラがこの時代でも生存しているかどうか。いくら竜神種ドラゴノイドといえど、数百年の間に邪なる者として勇者や英雄と呼ばれる超人的なユニークスキルを有している者たちに討伐されていてもおかしくはない。

 幸いにしてこの時代の地図を見る限り、アルドラを王として建設された国は地図上には載っていない。

それもそのはずで地球でいう所の北極に位置する個所にアルドラの国は位置している。

 よってアルドラのいる場所に行くためには極寒の海を進めるだけの船や設備等を用意しなければならないが、この時代の人間にそれを用意出来るとは思えない。


「私の住む国。アブソリュートゼロはまだ人が到達できる土地ではないようなのですよ。恐らく元の場所に戻ってしまえば私の記憶は再び消えてしまうはずです。ですからカオスが王子様のように迎えに来てくれるのを気長に待っていることにします」


「そうね。その時が来たら私は目覚めのキスでもしてあげようかしら」 


 ニッコリとほほ笑むアルドラにカオスも微笑みながら、しかし強い意志を込めて頷き返す。

 そうこうしている内にカオス達は冒険者ギルドへと到着する。

アレス達が再来した煉獄龍インフェルノ・ドラゴンと対峙している際にも復興は着々と進められていた。

 戦いが終わった際に従者サーバント達による支援もあり、瓦礫等はあらかたアークが焼き尽くし撤去の手間が省け、負傷者はジャンヌによる回復魔法スキルによって全快している。

 倒壊した建物跡にはアルドラが作成した氷の建物が建っている。この氷の建物にはアルドラの力が宿っている為、かまくら風に中で火を使ってもそうそう溶けることは無い。さらにいえば召喚が解除されアルドラが帰還したとしても残る永続型だ。


 そんな従者サーバント達のお陰で復興が思いのほか速く進み、ガゼル達冒険者も手が空き始め、ガゼルやミレイも冒険者ギルドへと帰って来ていた。

 勝手知ったる冒険者ギルドの入り口を入り奥のカウンターに進むと受付嬢にガゼル達の居場所を聞くカオス。

 すると奥からミレイが肩の膨らんだ白い袖に、胴の部分が緑の服を着てやってきた。頭には同じく緑色の頭巾を被っている。ギルドの受付嬢の制服姿である。


「いらっしゃいカオスちゃん!と・・・あなたは・・・?」


 よく懐いている子犬のような目をカオスに向けていたミレイは、カオスの横に立つ常にニコニコと口元が笑っている細めの美女に眼を向ける。


(確かアレスさんの仲間の方で、あの氷の家を作ったっていう魔法使い・・・さん?)


 と目の前の人物に対して知っている事を思い出しながら考察する。

しかしそんな人物がカオスと一緒。しかも旧知の中のような雰囲気を醸し出しているのが不思議でならなかった。


「お久しぶりです。と、言っても分からないでしょうし、ガゼルはいるです?」


 アルドラの言葉に「呼び捨てっ!?」と心の中で思いながらも、自身も昔あった事があるような懐かしさを感じつつガゼルのいる四階へと案内するミレイなのであった。




 一方、アレスはというとダブルジャンヌを何とか宥めると元の惑星サーバーに戻ってもらっていた。

 そして鏑木と次に行くべき惑星サーバーを検討していた。


『ファンタジアには今のところウイルスの反応は見当たらない。それで次の惑星サーバーなんだけど・・・』


 ウイルスによる変異を受けている惑星サーバーをいくつかラインナップする鏑木。

それを聞いているアレスの表情はみるみるうちに曇っていく。


「なあ、そこって俺じゃなきゃダメ?」


『何言ってるの?君以外にいるはずないじゃないか・・・』


「じゃあせめて俺がいる時だけNPCへの同化解除とか制限とか出来ないわけ?」


『無理な相談だね。現状でさえ、君の召喚出来るNPCと君への同化規制をかけているだけで苦情が殺到している状況なんだ。惑星サーバー丸ごとの規制なんて許可されるはずがないよ』


「さいですか・・・」


 がっくりと落ち込むアレス。それ程に名前が挙がった惑星サーバーは曲者揃い。いや、色モノ揃いの惑星サーバーだったからだ。

 何せ、健全な目的で作成された現実世界をほぼ忠実に再現されている惑星サーバーであるオリジン

等の惑星サーバーはウイルスによる汚染が確認されず、剣と魔法のファンタジー世界や性別逆転の世界、果ては惑星サーバー丸ごと一つを使った戦争ゲーム等の惑星サーバーばかりがウイルスの影響を受けてたのである。


「本当に何が目的でこのウイルスを製作者はばら撒いたんだろうな・・・」


 そんな事を考えながら各惑星サーバーにいるNPCの友好度の高い人物をピップアップしていく。

 カードにはその人物との友好度が数値化されて出ている。友好度は実際に本人と直接会って冒険をしている間に会話し仲良くなることで上がる。

 現実世界と仮想世界の違いはあれど友好度の上げ方は変わらない。


「なんか友好度の下にハートマーク増えてるけど、これなんだ?」


『ああ、それね。久世君がNPCとしても認識されているせいで表示が出たんだろうね』


 あっけらかんと言い放つ鏑木の言動にアレスは嫌な予感を募らせる。


「まさか、これって・・・」


『お察しの通り、各NPCの久世君に対する愛情度のレベルを表しているんだよ。本来はNPC同士で誰と誰がどれ位信頼し合っているか、愛し合っているのかを測定する為に作られたモノだったんだけど、久世君には____ブフッ!』


「笑い事じゃない~!」


 頭を抱えるアレス。これを見てしまえば各NPCがどれだけアレスの事が好きか分かってしまう。

まるで恋愛シュミレーションゲームのような話しである。自分が好きな人物が自分の事をどの程度思ってくれているのか。それが分かればどんなに良いことか。

 しかしアレスの場合、所持しているカードは数万枚にあたる。つまり数万人のNPC達の気持が手に取るようにわかるのである。

 友情だけならばさして問題は無いだろう。


だが、愛情は?


 愛憎劇と称される物語があるように愛情というのは自身や周辺に様々な変化を訪れさせる。

その上アレスは今まで大勢のNPCと冒険をこなし友情を深めて来た。もし自分が友情だと感じていた気持ちが相手にとって愛情だとしたら・・・。

 二人以上の女性と関係を持つ主人公が最終的に殺されるラストのアニメも昔あったななどと考えるアレス。

 だが、一方で数十人以上の女性あるいは男性と仲良くやっている主人公もいるにはいる。


(いや、俺主人公じゃないし!そもそも仮想世界たって本物の人と変わらんし!モンスター含めりゃ数万人規模だし!?)


「マスター、私が一番だって言ってたじゃないですか」


 暗闇の中、スポットライトがある一点を照らし出す。俯いた表情のジャンヌが右手の愛剣を握りしめ呟く。


「マスター、過去の私なんかより現在いまの私がいいんだよね?」


 別の個所が照らし出され、両腕に漆黒の黒炎を宿しながら虚ろな目でアークがそう言うと、


「うふふ。私と言う者がありながらカオスにまで手を出したのですか?」


 さらに別の暗闇が照らされ、周囲の温度を下げながら体に冷気を身に纏うアルドラ。その隣では・・・。


「ふ~ん。こんなに女の子がいるのに私に手を出したんだぁ・・・」


 アルドラのすぐ横が照らされ、魔人化しているような禍々しい瘴気を放つカオス。


 そして次々と暗闇が照らし出され、振袖を着た幼女やチャイナドレスの美女、筋肉隆々の股間もっこりビキニ姿の漢女おとめ等が後方に列をなしている。

 一様にアレスに対してぶつぶつと呟いている。ソレらは列をなしアレスへと迫り、遂にはアレスを覆い尽くして・・・。


『_____い!おーい!久世君戻ってこーい』


「ハッ!」


 鏑木の声に現実___いや、仮想世界に引き戻されるアレス。

そして鏑木から先程の妄想に対して注釈が入る。


『ックク。大丈夫大丈夫。そんなことにはならないって。第一、久世君が本当に関わったNPC数十人だろ?』


 確かにアレスの所有するカード枚数は数万枚にも上るが、実際に最終進化し召喚して冒険を共にしているのは数十名である。

 さらにいえばNPC達とそういう浮ついた話に至った例は無い。

まあ厳密には仮想体アバターを使用して”そういう行為”をする事は出来るのだがそういった例も確認されていない。


(まあ初事例になる可能性は十分考えられるけどね)


 などど心の中で考えながら鏑木はアレスを安心させる為の言葉を紡ぐ。


「そうか、そうだよな!そんな事あるわけないよなっ!アキラの言うとおりだよなっ!でも運営側を信用出来ない自分もいる・・・」


 過去にサイバーテクノロジー社には辛い思い出があるアレスは中々納得できるものではない。

しかしいつまでも悩んでいては先に進まないと各惑星サーバーの比較的、友情度の高い(決して愛情度ではないと記載しておく)NPCへと連絡を取るアレスなのであった。



 

 各方面へ変わった状況が無いか聞き終えたアレスはカオス達のいる冒険者ギルドへと足を運んでいた。

向かう途中ですれ違う人々から何度も感謝の言葉を述べられ、照れくささを感じるアレス。

 と、そこでふと足を止める。


「ギルドに行く前にあそこに寄らないとな・・・」


 そう呟くと踵を返すアレス。数分歩いて到着したのは剣と盾が交差した垂れ幕が掛った建物だった。

 首都イシュガルに複数存在する武具店。その内の一つでアレスが武器と防具を購入した店である。

煉獄龍インフェルノ・ドラゴンの放つブレスが飛んできたのか建物の一部が欠損しているが営業は行っている様子だった。

 中へ入るとカウンターの奥へと引っ込んでいる店長を呼び出すアレス。


「ん?おお、お前さんはあん時の!大活躍だったんだって?」


 奥から現れたエプロン姿の店主に軽くお辞儀をしながら挨拶を交わすアレス。 

そしてアイテムストレージから破損した雷剣ペルクナスを取り出すと店主の前にあるカウンターへと静かに置く。


「すみません。折角譲っていただいたのに壊してしまいました」


「激戦だったんだろう?それに武具ってのは使ってナンボ、壊してナンボだ。俺のように愛でるヤツの方がおかしいんだ。それにしても・・・」


 折れた刀身や鞘を観察する店主。頻りに「なるほどな」とか「コイツはおもしれぇ」と呟いている。


「破損しているのを見るとその構造がよく分かるってモンだ。持ってきてくれてスマンかったな」


「いえ、約束でしたし・・・」


「そうだな。まぁしかしこの短期間で判明するなんて思ってもみなかったがねぇ。今後とも御贔屓に頼むぜ?」


「ははっ、善処します」


 その後、他愛もない話をして店を後にするアレス。向かう先は冒険者ギルドだ。

 アレスが冒険者ギルドに到着した時、丁度カオスとアルドラがギルドの入り口から出てくる所だった。


「あ、アレス」


 向こうもアレスの存在に気が付いたのか近付いてくる。


「話はもう済んだのか?」


「ええ、お陰さまで」


 アレスの問いに柔らかな笑みを浮かべながら答えるアルドラ。そしてカオスの方へ向くと「待っています」と呟くと瞬きの間にふっと消える。


「あっ」


 名残惜しそうにするカオスにアレスはココじゃなんだからと移動を促し、向かった先は首都イシュガルの外円部にある城壁の上だ。

 見張りの兵が何名かまばらに配置されているがアレス達の会話を聞き取れるほど近くにはいない。


「さて、これでゆっくり話が出来るな」


 城壁に寄りかかりながらアレスは今後の事を説明する。

 曰く、火急の用が出来、カオスと一緒に冒険出来なくなってしまったこと。

 戻ってくるにしてもどの位かかるのか分からないこと。

 そもそも戻ってこれる保証がないこと。


「まあ今生の別れって訳じゃないし、俺の方からカオスを呼ぶことはできる」


 以前、宿屋でアレスが話した内容に召喚スキルの話もあった事を思い出すカオス。

それによるとアレスが所有しているカードと呼ばれる人や魔物の魂を閉じ込めた札があり、それを用いることで異なる世界を繋ぎ、その者を召喚出来るらしい。これによりアレスは身代わりやアルドラ等を呼び寄せたのだ。

 無論、この解釈はアレスの話を聞いたカオスが理解しやすいようにアレスが考えた方便である。


「そう、なの・・・」


 黙って話を聞いたいたカオスがアレスの隣で同じく城壁によりかかりながら、


「分かったわ。でも早めに呼び出してよね。私待ってるのって苦手なんだから!あんまり遅いとこっちから連れ戻しに行くわよっ!」


 ニコッと笑っているカオスの眼には薄っすらと涙が浮かんでいる。


「ああ、約束する。それとこれはお守りだ」


 差し出された手には赤い宝石が埋め込まれたイヤリングだった。


「これは・・・?」


「あの鎧と剣の欠片から作ってみたんだ。今後役に立つと思う」


「そっかありがとう、でも渡すだけなの?」


 と小悪魔っぽい笑みを浮かべるカオスにアレスは苦笑しイアリングを耳に付けてあげる。


「うん、似合ってる」


 右手でイヤリングを撫でるとその腕を頭に持っていき、カオスの頭を撫でるアレス。

周囲に人が見ていないのを確認すると「じゃあ」とフッと消える。


「行っちまったのか・・・」


 陰で見ていたのかガゼルとミレイがいつの間にか近付いてきていた。


「ええ」


「しかし不思議なヤツだったな。まあお陰でカオス様の呪いは解けたんだが」


「その様付け止めてくれる?もう姫でもなんでもないんだから。それに・・・」


「ん?」


「あの時から私たちの父親なんでしょう?」


 言われて照れくさそうに顔を逸らしぼりぼりと頭を掻く40過ぎのおっさん。ガゼル。


「___わーたよっ!これでいいかカオス」


「うん!おと~さん!」


 ガゼルの腕に抱きつくカオスとミレイ。三人はこれからも様々な困難に立ち向かい、人生を歩んでいくことになるだろう。

 しかし、それはは決して苦難に満ちた道では無く、過去に起きた忌まわしい事件を払しょく出来る程の幸せを掴めることだろう。



 後日、煉獄龍インフェルノ・ドラゴン討伐に最も貢献した人物としてアレスとカオスを含む六人の人物が表彰された。

 しかし式典に出席した英雄は誰一人いなかった。旅立ったアレスは元より、カオス、ミレイ、ガゼルの三人の姿も首都イシュガルには見当たらない。

 彼女達は地図を片手に人類が到達した事のない。未開の土地へと向かう旅に出た。

 アルドラというかつての友人から託された地図のある一点を目指して。

 いつの日か再会できることを夢見て。



 極寒の凍土地帯。生きとし生きる者が、耐性を持つ者以外全て死滅するであろう死の世界。

そこにある魔物達の楽園。絶対零度、アブソリュートゼロと名付けられた国。そこに建つ巨大な建造物。

 氷と水晶を用いて作られた城である。

 絶対的な王に対し、快適な生活を送っていただくために臣下が工夫を凝らして建てられた城の王の間。

 そこにある絢爛豪華な王座に気だるそうに君臨する王。雪崩龍とも称されるアルドラ。

 何時ものように全ての事を臣下に任せ、王座で惰眠を貪っていたのだ。

 眠たげに眼を開くアルドラ。つい今しがたまで夢を見ていたような気がする。

しかしどんな内容だったのだろうか?まるで思いさせない。だが、その夢の世界では素敵な思いをしていたような気がする。どこか懐かしさを感じた人物と会っていたような、そんな気がするのだ。

 ふと腕に痒みを感じたアルドラは腕の籠手を外し腕を掻こうとする。


「ん?」


 すると籠手を外し、素肌を見せたアルドラの白い肌に何か文字が書かれていたのだ。

いつの間にこんなものが?そう思いながら文字を読み取る。


「はっ!?」


「アルドラ様どうされましたか?」


 傍に控えていた側近の浅黒い肌の甲冑を着こんだ女性が代表として話しかける。


「____を」


「は?」


「挙兵の準備を」


「っ!御意に!」


 顔色を変えて慌ただしくする臣下達。アルドラ様がついにご決断なされたと嬉々として準備を始める。

一方アルドラは腕に書かれた謎のメッセージにここ数百年感じなかった熱を胸に感じていた。


 待っているだけじゃつまらないでしょ?私の友達なら迎えに来る位したらどうなのかしら?


 そう腕には書かれていた。かつて離れ離れとなった数百年間会っていない友人の文字だとアルドラは瞬時に理解する。

右手の籠手もすぐさま外す。そうすると右手には簡単な地図が描かれており矢印が書かれていた。

 召喚後、元の惑星サーバーに戻れば記憶は封印される。しかし肉体はそのままだ。服装では変更される可能性もあるため、腕に直接文字を書き込めばあるいは?

 そう思ったアレスから提案され実行に移された策だ。


「今、向かうです」


 アルドラは集まった民達をまとめ上げ、大移動を開始する。その圧倒的な軍勢に周辺の魔物の国が思わず臨戦態勢を整える位の大移動だった。

 目指す先に地図に書かれた合流地点。二人の再会の時は近い。



 

以上で第一章が完結となります。

文才が無い為表現力に乏しい小説となっていますが、ここまでお読みいただきありがとうございます。

もし、少しでも面白いと思っていただけたのなら下の方にある☆をポチッとしていただけると幸いです。

二章は現在執筆しておりますが、内容がガラッと変わっている為こんな小説だったっけ?と思われる方もいるかもしれませんが、是非今後ともお読みいただけるとありがたいです。

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