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アナザー・ワールド・オンライン  作者: ジン
第一部:煉獄龍戦
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追憶②

 カオスとミレイが初めて出会い。友好を深めている中、ガゼルは城の廊下を歩いていた。

今頃娘は姫様と仲良くやれているだろうか。いや、面倒見のいい姫様だ。さっきの様子ならば問題あるまいとこれから向かう先に似合わない笑みを浮かべながら歩を進める。

 城の中へと作られた豪華な一室。ここは龍騎士ドラゴン・ナイト達の宿舎である。その中でもこの部屋は龍騎士ドラゴン・ナイト達を統べる騎士団長の部屋だった。


「失礼します。御呼びでしょうか」


 やや緊張した面持ちでガゼルはドアをノックし部屋へと入室する。

するとその部屋は赤と金色で彩られた絨毯が敷き詰められ、中央に応接用のテーブル。奥に執務用の椅子とテーブルがあり、両隣に本棚や観賞用の植木鉢が置いてある部屋だった。

 執務用のテーブル際で窓の外を眺めてる、白髪のオールバックにガゼルと同じく灰色と黒の配色の制服、いや、軍服に身を包んだ老年の人物。この人物こそが龍騎士ドラゴン・ナイト達を統べる騎士団長、ロベルト=アイザックだった。


「呼び立ててすまないな。ガゼルよ」


「いえ、団長の御呼びとあればいつだって飛んできますよ」


「そうか。呼び立てたのは他でもない。カオス様の事だ」


 ロベルトの言葉にガゼルの顔つきが変わる。


「姫様に何か?」


「うむ。最近、我が国に入国してきておる商人が年々増しているのは知っておろう?」


「はい。聞き及んでいます」


「実はその中に他国の間者が混じっておるようでな。どうやらカオス様の能力を何処からか嗅ぎつけて来たらしい」


「なんですと!」


「ガゼル。君も知っての通り、カオス様は先々代の女王様と同じくドラゴンと心通わせる力を持っている。しかも我々のような微弱なもので無く、遥かに強力な力を、な・・・」


「はい・・・」


「通常、強力なドラゴンと契りを結び、扱うには一体が限度じゃ。しかしカオス様は契りを結ばずともドラゴンと心を通わせただけで意のままに従える事が出来る。それは数年前のあの件を知っている者ならば誰でも知っていよう・・・」


 数年前、一人の密漁者が山脈へと侵入しドラゴンの卵を盗もうとした事件があった。

窃盗事件は成功しなかった。何故なら密漁者はドラゴンの巣で親竜に見つかり全身を氷漬けにされ跡形もなく粉々にされたからだ。

 侵入した密漁者は4人。命辛々生き残った一人の密漁者はアナトリア皇国内へと逃げおおせた。

しかし卵を襲われた親竜は怒り狂い、残る最後の得物を殺戮しようとアナトリア王国へと襲来したのだ。

 アナトリア皇国とドラゴン達の住む山脈は空を行くものにとって数分足らずで到着出来る場所だ。

恐るべき嗅覚により密漁者を発見した親竜は、氷のブレスを浴びせ、またたく間に氷漬けにすると他の3人と同じ運命を残る一人にも辿らせた。

 それだけでは怒りが収まらなかった親竜は城下町で暴れに暴れまくった。氷の塊を吐きだし、竜舎を襲い、他のドラゴンにまでも襲いかかろうとした。

 その時、たまたま近くを通りかかった美しい薄紫色の髪をした幼女が怒り狂う親竜へと近付いたのだ。

当時、その光景に誰もが幼女は親竜に襲われその短かった生涯を閉じるだろう。そう思った。

しかし、幼女が親竜に手をかざし、何事か言うと親竜は途端に大人しくなり山へと帰って行ったという。

 その時の幼女がカオス。当時、4歳の頃の出来ごとであった。

姫様には竜神の加護が宿っている。そんな噂も流れたものだ。

 余談ではあるがカオスの現在遊び友達となっている氷結竜アイシクル・ドラゴンのアーちゃんはその時の卵である。

 親竜は氷竜アイス・ドラゴンであったが、カオスによる影響かどうかは分からないがその卵から孵った個体はどれも通常の個体より強く、一体は上位種が誕生するといった結果になっていた。


「つまり・・・あの出来事を見ていた誰かが他国の、それも厄介な人物に伝えてしまった・・・と?」


「恐らくはな・・・。どの国の者がカオス様を狙っておるのかは分からん。しかしこのまま手をこまねいてはいられん。そこでじゃガゼル。君にはこれまで以上にカオス様の近辺警護を頼みたい」


「分かりました。お引き受け致します」


「そうか。では頼むぞ。話は以上だ。もう下がって良いぞ」


「はっ!」


 姿勢を正し、敬礼すると部屋を後にするガゼル。

廊下に出て「ふう」と息を吐くとカオスの行方を探るべく城お抱えのメイド達に聞き込みを開始するのであった。



 時は変わり、どこかの国のどこかの民家の一室。部屋はカーテンで仕切られており、部屋全体が暗くそこにいる人物達の顔を窺い知る事は出来ない。

 そこにいる数名の人物達は真夏にも関わらず、漆黒のフードを被っていた。


「例の少女は見付かったか?」


「はい。ですがその少女。特殊な環境にいる子でして・・・」


「なんだ?特殊な環境とは?」


「はい。聞き込みによると実はこの国の皇女らしいのです」


「皇女だと?確かか?」


「はい。城勤めの新兵に金を握らせた所喋った情報ですので間違いないかと」


「そうか・・・。だとすると少々厄介だな」


「どう・・・致しますか?」


「作戦は変わらん。しかし準備は万全にするべきだ。例え数年かかったとしても・・・な」


「「「御意」」」


 首領格の男がそう意見を発するとその場にいた全員から肯定が返ってくる。

そのまま複数人いた気配が消え、首領格の男一人となる。


「皇女か。珍しい能力故高く売れる程度しか考えておらんかったが、成る程そうか。手元に置いてじっくり調教するとしようか・・・。ついでにドラゴンと共存する忌々しい国など滅ぼしてくれる!」


 暗い室内に男の乾いた笑い声が響き渡る。これより数年後、男の企てた野望が日の目を見ることとなる。 


 

 

 

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