第7話 初の失敗
俺はニーア先生が詠唱したものが変換されたであろうものを詠唱した
これは変換でなく、詠唱によってその声が別のところから聞こえてくるという論もあるのだが、
聞こえてくる声が術者のものということから変換されているのだという結論に至った
まぁ、そんなことはどうでもいい
詠唱し終えると身体から何かが抜けて行くのを感じた
これが魔法を発動したということなのだろうか?
いまいち、実感が湧かない
そして俺は魔法陣をでた
しかしまぁ、これでよく得意魔法が解るものだな。
さすが異世界
何が起きても不思議ではない
いや、不思議なこともあるだろう
今の状況のように
「リク 魔法に失敗しちゃったね…
でも…まだ、チャンスはあるから……ね?」
どういうことなのだろう?
俺は失敗したのか?
何がいけなかったというのだ?
俺が異世界人だから?
詠唱は出来た
先生の言っていたとおり、魔力の抜けた感じもあった
しかし、先生は魔法に失敗したと言った
そうだ!
リスクは!?
「先生リスクは?」
一瞬気まづそうに答える
普段の表情からはなかなかの想像できない顔だ
それほどにヤバイものなのだろうか?
「リクの好きな魔法のことで…」
魔法は好きだ
いや、今そんなことはどうでもいい
魔法に関することがデメリットなのか?
知識や記憶なのか?
なぜこんなに、間を開けるのだろう
そこまでヤバイことなのか…
今のところ異常が感じられないのは知識がデメリットだからか?
知識なら抜けていても気付けない
気付く方法もない
この沈黙の前が俺を不安にさせる
「先生、何で黙ってるんですか?」
「それは…」
いっそのこと早く聞いてこの不安を聞いてスッキリしよう
「心の準備はできてますよ 先生ッ」
そしてニーア先生は、はっきりとこう言った
聞き間違いを生まないように。
誤解を生まないように。
それを強調するために。
けじめのために。
俺はこんない真剣なニーア先生の顔を見たことが無かった
「リク、これからあなたは…得意魔法以外は
…習得することができません」
そんな………あんまりだ…
この地で頑張って魔法を使いこなそうと思っていた
魔力量も人一倍多くするために努力した
現に俺の魔力量は一般人の何倍もあるだろう
だが、それでも使える魔法の数というのは大きい
もし俺が、たった一つの魔法しか使用できなければ相性の悪い相手には勝てないだろう
もし俺の得意魔法を火と考えてみよう
もの凄い魔法を使っても
それより少しした回る水魔法には勝てないだろう
宝の持ち腐れ
しかしそれよりも最悪な場合が考えられる
もし、空、光、闇のどれかであればほとんど活用出来ないことになる
運が良くても二種類程度だろうか
俺の努力は虚しく散る
異世界前の世界でもそうだった
俺は、物覚えが良く、大抵一度やったことは忘れなかった
それゆえに、遊ぶ時間も多かった
遊ぶということは、運動をすることでもあるだろう
もともと運動も得意だった
だから俺は、成績優秀、スポーツ万能
これくらいなら、稀には見られる子供である。
しかし俺は、桁が違っていた
小学生の頃も中学生の頃もみんなに気味悪がられた
だから、高校では努力したんだ。
化け物なんかと一緒にされないよう
隠し続けていた
どちらかだけなら、稀にいるだろうし
人望もできる
しかし噂は拡大
噂を暴こうと俺の結果を見た奴は気味悪がる
こうして、“それ”は広がっていき、俺の友達は減っていった
親友と呼べる人間はいなかっただろう
親も死んだ 彼女も消えた
寂しかった 異世界を望んでいたさ
だが、俺が臨んだ夢の異世界でも俺は絶望することになった
「リク、元気を出して。
リクなら何とか出来るよ。一緒にがんばろうよ…」
「先生、ちょっと自室に戻ってゆっくりさせていただけますか?」
「でも、何も得意魔法が1つだけじゃなくて2つや3つ それ以上あるかもしれないし……」
「先生、今は一人にさせて下さい。」
しかし先生は喋る
「大丈夫だよ、リクならそれと魔法を組み合わせながら体術の方も頑張れば、なんとか」
「うるさいな!黙っててくれよ!」
俺はつい大声を出してしまった。
先生は、俺を慰めただけなのに
ニーア先生は17歳 俺の精神年齢は21歳肉体が4歳であろうと精神年齢は俺はニーア先生より4歳歳上なのだ
もう、だめだ 俺は、本当にどうしようもない人間だ
そしてニーア先生は黙りこんだ
俺は先生を置いて自分の部屋に戻った
この時、気付けば良かったのかもしれない
一度放った言葉は狂気のようにまとわりつくことを
次話
『緊急事態』
次話から物語が進展!
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