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正しい平和の紡ぎ方 ~Ambiguous world seem to Beautiful~

作者: 江角 稚
掲載日:2011/12/25

今日は。

まぁ、取り敢えず最後まで読んで見て下さい。

ザイルは、世界の滅亡を願った。


カイルは、彼の望みを否定出来なかった。


…人は何かの犠牲なしでは、何も得ることは出来ないのだから。



「あぁ、もし俺にもっと力があれば…世界なんて、すぐに滅びるのに」

ザイルは腕を広げた。




まるで羽ばたくような格好。




彼の世界が何処までも、広がって行く。




「そんなこと、しなくても良いかもね」

先程から黙っていたカイルは、やっと、一言発した。


「何でだよ?」


「未来なんて、決まりきってるからさ。俺達が知らないだけで」

彼は微笑む。


世界は糸だ。

複雑に絡まり行く運命を手繰り寄せ、上手く(ほど)いて、紡いで行く。


運命の、乱れた糸は幾重にも──絡まり綻び、人を惑わす。


ほつれを直し、ぴんと張って正し。

そうやって、運命の糸は紡がれて行く。


「それは…そうかもしれないが」


「例えば、全能の神のみが、この世界の未来を知っている…とか?」


「──成る程、そうかもしれないな」

ザイルは頷く。


「そして、案外…その"神"って言うのは、俺達のことだったり」


「俺達が? まさか世界が俺達を中心に回ってる、なんて言わないよな?」


「うーん…そんな、難しいことは言わないよ。ただ、」


「ただ?」先を促す。


「…ただ、自分達で作った平和を、俺も壊してみたくなっただけだ。まるで神の気まぐれのように、な」


「驚いた! 勇者様はさしずめ、自分が神になった気でいるのだろう?」

共感してくれるのか、と言いたげに、ザイルは大仰に言った。


「…そうかも、しれないな」

彼は苦笑した。




「じゃあ…世界、滅ぼしてみるか?」




その問いに、カイルはしばらく考えてから答えた。




「多分…その必要は、無いよ」



「必要、無い?」彼は問う。「一体、何を根拠に?」


「平和って言うのは、熟した木の実だ。色んなことを乗り越えて、若い実は成熟する。だが、"熟した"ってことは、もうすぐ腐り始めるってことで」


「…こんな腐りかけた世界なら、ほっといても、いずれ無くなる…」


「そう言うこと」カイルは言った。「だから、俺達が直接手を下さなくても良いのさ」




「一理あるけど…何だかなぁ」

ザイルは物足りなげに言った。


「"世界を、直接滅ぼして見たかった?"」


「そうだな」


「激しく同意。でも、」




その後は、何も聞こえない。

平和にも、そこには穏やかな風が流れていた。




美しい世界。

それは、不鮮明である証拠。


憧れて、近付き過ぎると絶望する。

"平和"の実態に。


「お前の予言は、当たったな」


「予言って…大袈裟な」


二人の会話が聞こえる。

かつて"平和"の実態に、絶望した二人の声が。


「文明も、何もない。綺麗じゃないか」


「人や魔物の死骸が、わんさかあるがな」


そこは、廃墟。

世界は廃墟と化していた。


「それも含めて、美しいんじゃないか。ありのままでさ」


「醜い、争いが?」

カイルは眉間にしわを寄せた。


「どうだかねぇ…」ザイルは笑う。「俺って、悪趣味?」


「激しく同意。俺も悪趣味だからな」


そう言って、二人は争いの果てを見送った。

世界の果て、空虚なる美しさを見るために。




「俺達って、こんな世界を望んでたのかな?」


「さぁねぇ…ただ、こんな世界なら、恋愛イベントは起きないな」

カイルは苦笑いを浮かべる。


「…激しく同意」

ザイルも苦笑。


例の魔物の女を、思い出しているのだろうか。


「だから、俺の台詞取るなって」




二人は海岸に立った。

地平線から、水平線を眺める。




世界の果て。




いずれ二人が死ねば、何もなくなる。




二人を風が包んだ。


時を越えた、風が。




かつて、彼が発した声を乗せて。




「激しく同意。でも、…こんな世界を滅ぼしたって、達成感も何も残らないけどね」

さて、このシリーズも此処でお終いです。


長いような、短いような...。




作者本人は、楽しく書かさせて戴きました。


読んで下さった皆様、本当に、本当にありがとうございました!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 勇者という役割を通して、平和への起承転結が表現されていた点。 平和が訪れたその先を描くという発想が良いですね。 [気になる点] 所々、どちらの人物が話しているのか分かりにくい箇所がありまし…
[良い点] 続編が出たところ。 [気になる点] 完結をしてしまったところ。まあ、無いものねだりですが。 [一言] 日本も、いつか滅びるのだろうか。まあ、私が死んでからにして欲しいですが。
2011/12/26 00:27 退会済み
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