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序幕 其の一
立てば芍薬
座れば牡丹
歩く姿は百合の花
女はかくあるべきと人はいう
だけどあたしは
立てば打ち上げ
座れば爆竹
歩く姿は鼠花火
花は花でも花火なのさ
あたしは花火
ぱんぱんはねて
しゅるしゅる走る
誰がなんと言おうとあたしはあたし
女らしさなんてくそくらえ、だ
けれどあいつと出会ってから
花火の調子は今一つ
あいつがいると
あたしの中の花火は
水をぶっ掛けられたみたいに
勢いがなくなるんだ
それはあいつが火消しだから?
それともあたしが変わってしまったのか?
花火は揺れている
大人と子供の狭間で
ゆらゆらと揺れる
波間のように