メイド
sloth:
メイドさんに会いたいの~。
ハリネズミ:
分からない。
一体何がしたいんだい?
sloth:
会いたいの!
ハリネズミ:
全然、分からない。
君は一体何がしたいんだ?
僕をイラつかせたいのかい?
それならば、かなり効果的だけれど、僕にも考えがあるよ。
ログアウトするよ?
sloth:
だから~、ゴールデンウィークの予定を聞いてるの~!
ハリネズミ:
全然、聞いてなかったけどね。
まぁ、嫌な予感がしつつ、答えるのならば、五月四日は暇だよ。
sloth:
じゃあ、メイドさんに会いに行こ~!
メイド喫茶に行ってみようよ!
ハリネズミ:
嫌だよ。
絶対に嫌だ。
というか、冬休みメイド喫茶に行くとか言ってたよね?
sloth:
行ったよ!
でも行けなかったの!
ハリネズミ:
意味不明。
sloth:
知り合いに会ったんだよ。店の前で。
そしたら、なんか、恥ずかしくなって、帰ってきた。
ハリネズミ:
なるほどね。
sloth:
だから、ゴールデンウィークに一緒に行こうぜ!
ハリネズミ:
嫌だ。
sloth:
ケチ~。
ハリネズミ:
ケチじゃない。
sloth:
なんでだよ。男なら猫撫で声で「ご主人様おかえりなさい」とか言われたいだろ?
ハリネズミ:
僕はそう思わない
sloth:
まぁ、聞け。
萌えマンガとか見てさ、リアルの女は言うだろ?
『こんな女は存在しない!!』って怒るだろ?
それは良く分かるんだ。
俺だって、少女マンガを読んだら、『こんなイケメンはきっと人間じゃない!』って思うからさ。
でもだぞ。
メイド喫茶には確かにいる、らしいんだよ。
常時猫撫で声で話す人だったり、
分かりやすいツンデレだったり、
絶対わざとだろ? お前。みたいな天然さんが、
メイド喫茶にはいるらしいんだよ。
まるで桃源郷じゃないか?
ユートピアじゃないか?
な?
行きたくなるだろ?
それにみんなで行けば怖くない。
この前みたいに、知り合いに会ってしまったとしてもだ。
ハリネズミ:
いくら説得しても無駄だよ。
君の価値観は僕には届かない。
そもそもだ。
いいかい?
良く考えたまえ。
僕と君が一緒にメイド喫茶に行き、知り合いに会った時、僕だけが笑われるに決まってるんだ。
いや知り合いじゃなくても、僕たち二人がメイド喫茶に入るところを見た人ならば、僕だけを笑うだろう。
……人は外見で判断してしまう生き物だからね。
だから、もし君の説得が奇跡的に成功し、僕がメイド喫茶に興味を持ったとしても、絶対に行かないよ。
sloth:
馬鹿野郎!
誰がお前が笑おうが俺は笑わない。
誰がお前を傷付けようが俺はお前の味方だ。
お前の悪口をいっていいのは、俺だけだ!
そんなことも分からないのかよ!!
この、大馬鹿野郎が!!
ハリネズミ:
君ってやつは……。時々、本当に時々、反応し難い事を平気でサラリと言うやつだね。
……ありがとう。
sloth:
おぉ!
だからさ、ゴールデンウィークにメイド喫茶に行こうぜ!
ハリネズミ:
嫌だ。
そんなに僕の事を思ってくるののなら、一人で行ってくれ。
sloth:
ケチ~
ハリネズミ:
ケチじゃない!