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届かない声と、精一杯の足跡

作者: yuzuyuzu
掲載日:2026/04/03

青空の下

公園で横に寝転んで空を見上げていた

「なんて素晴らしい景色!!いい天気だ!!」と叫んだところで顔に水をかけられて目が覚めた


「逃げろ〜!!!」

そう叫びながら逃げるのはよく知る男の子

「こら!!待てー!!!」と勢いよく追いかけ回す


この前ママに相談したら

「男の子はね、少しやんちゃぐらいがちょうどいいのよ」と言われてしまいそれは大層落ち込んだものだ

その直後に「あなたはもう少しお淑やかにね」と言われてしまった

今どき男だから女だからといって性格や所作まで制限するのは違うと思うんだ

と私は考えたが口には出さなかった

ママが子供の頃からすれば想像もつかないほどに進歩してしまいついていけてないのだろう

そう考えることで自分の中の鬱屈とした感情を昇華した


結局男の子を捕まえることはできなかったのだが

後日こうして友人の話のネタにすることでどうにか怒りを諌めることにした

「ほんとせっかくいい気分で寝ていたのに!!!!」「男子ってサイテー」「かっこいいと野蛮って違うもんね〜!!」「そうそう」

と女子トークに花を咲かせているとお母さんがやってきた

「そろそろ帰るわよ」「はーい」「みんなまたねー」

本当はもう少し話していたかったが仕方ない

私は大人の事情も組むことができるほどに優秀なのだ


家に帰る途中で外を見ると妹のみかこに出会った

「あれみかこも今帰りなの?」「そうなの図書館で勉強してたんだ」「えらいわね〜」

そう当たり前の日常であった

私はこの日常が毎日続けばいいと思う

男の子がやんちゃなのはちょっと嫌だけど




ある日、のんびり散歩をして家に帰ると道でみかこが倒れていた

「どうしたの!!?大丈夫!!??」と声をかけたが返事がない

よく見ると顔が真っ青だ

今すぐ病院に行かないといけないことは明白だ

家に帰り急いでお母さんを呼んだ

「お母さん!道でみかこが倒れていたの!!助けて!!」

そうだ叫んだのにお母さんは

「あらあらお腹が空いたのね〜今日は特製スペシャルご飯よ!!!お母さん張り切っちゃう!♡」

なんて言いながら準備を始めようとしてしまったのだ

「お母さん!!違うの!!!みかこが!!!」と叫びながら足を引っ張った

いつもだったら怒られるのが怖くて何もできない

でも今はたった1人の妹を失うのが嫌だ


思いっきり足を引っ掻いた

「痛っ!!!何するの!!!」そう言いながらお母さんが私を追いかけてきた

そのまま外に連れ出す

「こっち!!!早く!!!」



「みかこ!!大丈夫!!お母さんがきたよ!!!」そうみかこに声をかける

続けて遅れてお母さんがやってきた

「ちょっと!!!どこ行くの!!!!・・・ってみかこ!!!??どうしたの!!??」

お母さんがみかこに声をかける

その声に近所の人たちも続々と集まってきた

中には服を割いて何か押している人もいた

私も精一杯応援した

「みかこ!!がんばれ!!」


程なくして白くて大きな車がやってきた

中から人が出てきてみかこを何かに乗せて車に乗り込んだ

「お母さんも早く!」

そう言われてお母さんはついていってしまった



あれ?私は?



私は車に乗ることができなかった

みんないなくなって寂しくてお腹が空いたので家に帰ることにした

家に帰るとママが奥からゆっくりやってきて慰めてくれた

ママに聞くとあれは救急車と言われており人間しか載せることができないらしい

私はそこでようやっと自分が猫であることを思い出した


「ママ、お母さんやみかこはどうしたの?」

「きっと大丈夫、2人が帰って来るまで一緒に家を守るのよ」

そう言われた


幸いご飯は最新のロボット?で毎日決まった時間に出てくる

水だって噴水のように下から湧き出てくる




何回太陽がのぼって落ちだだろうか。

とても長い時間が経過したように思える

一度お母さんが家に帰ってきたのだが、私たちには目もくれずもう一度車に乗って出ていってしまった

少し寂しいがママがいるから問題ないのだ

その間に家中を探索するぞ!!!


と意気込んでいたのだがママに止められてしまった

曰く「大変な時にやっとの思いで家に帰ってきたら家中荒れているだなんて目も当てられない」とのことだ

時々ママが言っていることが難しくてわかんないことがある

大人しくこの前もらったケリケリできるエビを持ってきてケリケリしておく


ケリケリケリケリ


楽しいけどいつもみたいに箱から音楽と映像は流れないし何より部屋がずっと暗いのは少し寂しい

私1人だったらと考えると怖くて震えてしまいそうになる

やっぱりママがいてよかったなと思った

ママはずっと寝ているけどそれでもあったかい



私は冒険に出ることにした

ママには注意されていたけど、実際のところ部屋をできるだけ散らかさずに危険な目に遭わなければ良いのだ

ということは安全な探索や散歩なら大丈夫ということだ


まずはいつも入ることを禁止されているキッチンに行った

お母さんがご飯を作ってくれるところだが基本的にはお母さんや誰かの足元をうろうろするだけで他のところは何も知らない

例えば小さな扉のついたところとか

例えばいつも水の音がするところとか


キッチンに飛びのぼった

いつもだったら怒られるが今日は誰もいないぞ!!

なんてワクワクするのだろう


ただ、どう頑張っても水が出てこないお母さんはこの銀色の部分を上に上げていた気がするのだが私ではうまくあげることができない

どう頑張っても水が出る気配がなく諦めることにした


次は謎の扉だ

いつもここからご飯のカリカリの音がするのは知っている

ここからでかい袋に入ったカリカリを取り出してロボットに入れているのをよく見ていた


ということはロボットがもし壊れてしまってご飯をくれなくなったとしても

この扉をあけて中のご飯を食べれば良いのか!!

なんて名案だろう素晴らしい


幸いなことにここの扉はジャンプをすることで簡単に開けることができた

今後もし何かがあった時にはママに自慢げに教えてあげることにする


他にキッチンにあるものといえば大きな白い音のする謎の箱だ

これはあまりにも大きく私がジャンプしても半分にも届かないだろう

お母さんはよく人間のご飯が入っていると言っていた気がする

人間のご飯はとても色とりどりで私もたまに魚を分けてもらったりする

私の年に1回の誕生日の材料も大体ここから出て来るのだ

何か特別な箱なのだろう

流石にみかこがあんなことになってずっと家に帰ってこないお母さんにこれ以上迷惑をかけられない

なんたって私は長女なのだ

お姉ちゃんなのだ

キッチンは諦めて他を探索することにした


とはいえ家の中では言ってはいけなと言われているのはここぐらいのものだ

寝るところは私たちと同じ部屋だしもちろんみかこの部屋にも入ったことがある

お風呂があるところも定期的に体を洗われているためとてもよく知っている

・・・憎らしいぐらいに

なんであんなに体をべちゃべちゃにするのか理解ができない

不快だ


部屋の中の探索を終えた私はママに報告しようとしたのだがとてもぐっすりと寝ていたので諦めた

代わりに「散歩に行ってきます」と一声変えて外の世界に繰り出すことにした

幸い私たちが通るようの小さな扉はどこも閉まっていない

外に出るのもどこに行くのも私たちの自由だ



外に出るとちょうど夕方の一歩手前だった

夕焼けが綺麗だ

真っ暗になるまでに家に帰らないとみんなが心配するからあまり散歩はできそうにない

家の探索は夜にでもすればよかったと後悔したが遅い


「久しぶりの散歩楽しいな〜!!!」と大はしゃぎしていると友達がやってきた

「おひさ〜!!」と声をかけられた

彼女はとても・・・なんだろう派手なのだ一言で言うと

別に悪い意味ではない人ぞれぞれってやつだ

人間の間でも流行っているらしい


首元にはキラキラひかる何かをつけている

以前聞いた時確か「スカーフっていうのよ綺麗でしょ」と言われた気がする

あれがスカーフなのか

人間も、それもおばあちゃんがよくつけているのを見たことがある

とても綺麗で一度ママにおねだりしてみたのだが

「あなたはガサツだから木にでも引っ掛けて首が閉まったらどうするの」と注意されてしまった

そんなに怒ることはないと思うのだが、私はそこまで気がつかなったというのも事実だ

大人しく見るだけの止めることにした


「おひさ〜最近何かニュースあった?例えばどこの家は野良猫を受けれてくれるかとか最近の迷い猫とか」

「そんなものよりあんたの家の人間が心配よ〜あれでしょ白いなんだっけ、そう救急車ってやつに乗って病院に行ったんでしょ〜!人間が救急車に乗るってのはかなり珍しいらしいわよ」

そうなのか「救急車」というのかあれは

初めて知った

学びがあるのはいいことだ素直に嬉しいと感じた

それと同時に心配になってきた

いつもう2回ぐらい朝日を見た気がする

いつになったら帰って来るのだろう

あとどれぐらい時間がかかるのだろう

そう考えると少し泣きそうになった


それに気づいた友達が「きっと大丈夫!人間って頑丈らしいじゃない。すぐに戻って来るわよ」と言ってくれた

なんて素敵な友人に恵まれているのだろうと嬉しくなった

ずっと友達でいたい思った


友達と少し雑談をした後に家に帰ることにした

やっぱり妹が心配なのといつお母さんが帰って来るかわからないからだ

帰ってきた時に私がいないと心配だろう


「ただいま〜」

ママしかいないがらんとした家に叫ぶ

私以外が帰っていても大丈夫なように

安心できるように


そんな日々を過ごすこと数回

ご飯が出るロボットが壊れることもなく水がなくなることもなく日々を過ごしていた

流石に毎日家の中を散歩するのは飽きてしまった

やることがないというか探索することがないのだ

なんたって私とママ以外いないのだから


必然と散歩の頻度が多くなった

主に近所のパトロールと女子トークだ

いつも別れ際にみんながきっと大丈夫励ましてくれる

それでも心配をしてしまうのはダメな姉なのだろうか



そんなある日、いつもより大きな車の音がして勢いよく扉が開く

そうみかこが帰ってきたのだ

「おかえり!!!お母さん!!みかこ!!」

そう叫びながら駆け寄ると2人はまるで花が咲くかのごとく笑顔を見せて駆け寄ってきてくれた

「ただいま!!シロ!!」

「あなたのおかげでみかこは無事だった本当にありがとう」

そんな2人の笑顔と声を聞けただけで私は大満足だった

ママもニコニコとしていた


私はずっと妹に話しかけていた

友達が優しかったこと

キッチンを探索したけど特に成果はなかったこと

ちゃんと怪我もせずに日々を過ごしたこと

いなかった時間を埋めるようにたくさん話をした

とても嬉しかった

妹もニコニコしておりとても嬉しそうだった


私は猫だ

妹は人間だ

妹が言っていることはなんとなくわかるがなんとなくしかわからない

逆もそうなんだろう

私がこれだけ話しても多分半分しか届いていないのだろう


それでいいのだ

私たちは完全に分かり合えないそれでもきっと伝わるものがある

例えば私のお腹すいた!!とか心配した!!とかね

大事なことさえ伝われば良いと思うのだ



ずっとお預けだったお母さんの腕によりをかけたご飯もお腹いっぱいに食べることができて大満足

今度みかこを助けたご褒美にパーティー?を開催してくれるらしい!!

ケーキは1年に1回って決まっていたのだが今回は特別って言われた

とっても嬉しい!!早くパーティーの日になってほしいな!

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