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14.『不吉なニュース速報』

「それでは、主様の御帰りに際して。我ら一同お見送り致します」


一人の式神の合図に、階段までの中庭を道の様に感覚を開けて伸びて並ぶのだった。

お賽銭箱の前には桜外が立ち、日本酒瓶を飲み干す。


「ぷはぁ!……………………お主ら、気を付けて帰るんじゃぞ?」

「勿論。というか、私達は危険を及ばす事しないといけないんだろうけど」

「それもそうじゃな」

「おい小僧」


呼び止められる桐野は、振り向く。


「なんです桜外」

「きちんと、こ奴らを導くのじゃぞ」

「勿論。皆で、この戦い勝つさ」


その返答に桜外は頷く。

鳥居の門まで歩くと、二人で境内を見返した。

そこでは、式神達は一同深く礼をするのだ。


「さ、降りましょ」

「そうだな」


黒園と桐野で長い階段を下って行く。

途中で、黒園は桐野に話すのだった。


「なんか、色々あったけどさ。一気に仲間まで増えたわね」

「式神達が優しくしてくれたおかげだよ。それに、桜外って優しいよな」


黒園を見ると、目を細めて怪訝そうな顔を見せる。

冷や汗が流れて、桐野は目線を逸らす。


「あの何処が優しいんだか?けどまぁ、今回のでハッキリした。彼女は中立立場で、これ以上の事は無いって事かしらね。マジで、本気出されたらホントの本当に殺されてたわよ」

「やっぱり、そんなに強いのか」

「えぇ。実力は確かよ。性格が、あぁじゃ無かったらだけど」


最後まで黒園は桜外といがみ合う場が絶えなかった。

慌ただしい日だったと桐野は、小さく溜め息を漏らすも、どこか桜外に対して式神達に対してあんどする気持ちがあった。

長い階段を降りて、ようやく地上に立った気分。

二人は、桐野の家に帰ると腰を下ろす。


「しかしまぁ、今回の戦いで陰陽師が出張ったんじゃぁ、どう手を着けたらいいのか分からない所だったけど、手は出さないって事だし。今は、目の前の魔術師の事を考えて行くべきよね」

「けど、これからどう動く?相手は壮馬と、怪しい男にスノーフィールドの三人だろ?」


鼻息に加えて、テーブルに肘をついてぶっきらぼうな顔を見せる黒園。


「明日から月曜日って事は、学校だものね~……………」


『朝のニュースです』


「ん?」

「あぁ、悪いな。ちょっと雑音欲しかったから」

「雑音って、、、、、、ん」


桐野がテレビをつける音に、目を向ける。

そこで、画面に出ていたテロップに目が留まる黒園。


『昨日行方不明となった女子高生ですが。未だに見つかっていない状態です。そこで、新たに男性が行方不明届がだされました』


「はぁ、人が居なくなるってどういう理由なんだろうな」


ニュースの音に、桐野は腰に手を置いて呟く。

何気なく聞いていた黒園も首を傾げる。


「そんなの色々に決まってるじゃない。家庭の縺れってやつでしょ」

「黒園も、そういう時期があったのか?」

「…………………………………………無いわよ」


その言葉を聞いて、桐野は笑顔を見せる。


「流石は黒園だな。優等生って感じだもんな」

「コラ。人を見た目で判断しないの」

「でも、勉強できるのは事実だろ?」

「そうだけどね~………………」

「ぅ~ん。でもなぁ」


不満げに呟く桐野。


「なによ」

「いやぁ、二人の行方不明者ってのはさ事件性が不明だとしても、こうも簡単にニュースに大々的に報道されるか?」

「まぁ、確かにそうよね。家出でこうも報道されてちゃ、たまったもんじゃないわよ」


『これで同時に15人の行方不明者が出ました。一昨日からの不審な行方不明。これを、どう考えますか?』


その言葉で黒園と桐野は、目を大きく見開く。


「なぁ、黒園。コレって、、、、」

「わかんない。けど、これに魔術師が関係しているかの確認なんてできないけど、、、、、、、可能性はあり得そう」


すぐさま、家を出ると都心に向かう二人。


「なぁ、あんな人を巻き込むことって」

「言ったでしょ。手段としては、こういった事をする魔術師も居るのよ。でも、確証は無いけど、あぁも大きく動くって事は、どこかしらに魔術痕が残ってるはずよ」

「でも、何処に行くべきかなんて、分かりっこ無いぞ?」


桐野の言葉に、黒園は振り返る。


「それは、もう。決まってるじゃない」

「決まってるって、何が?」


自信満々な表情を浮かべて笑みを浮かべる黒園は言った。


「魔術師の感よ!」


鼻を鳴らして宣言するのだった。

しかし、その威厳さをも思わせる彼女の言葉は一気に真反対な方へと向いていた。

大きな溜め息と共に、学校の中央の食堂にあるテラスの上で手を伸ばす。


「これっぽっちも手掛かりが無いんだなんてぇ~…………」

「反対に、ニュースだと行方不明者ばかりだな。今じゃ、ソレがほとんどを占めてる状況だな」


桐野は腕を組み、椅子に腰を深くかけると食堂内に設置してあるテレビを凝視する。

テロップには大々的に連日の行方不明者による捜索依頼の殺到に、事件性の有無の進展が話されていた。

そこで、朝礼に担任から言われた言葉を思い出す。


「そういえば、この学校でも行方不明になった人がいるんだって?」

「あぁ、確か名前はね……………………天空幸さんよね」


その名前を聞いた瞬間、桐野は一気に血の気が引いたように青ざめる。


「なに?どうしたのよ。もしかして、知り合い?」

「あ、あぁ、、、、後輩だよ」

「そう。それは残念な事ね。でも、見つからない以上は、気休めでも生きているかもなんて言えないわ」

「そうれはそうだけど、、、、、、」


今までは大々的なニュースの中で一人一人の情報が守秘義務によるものか公開されていなかった。だから、まさか自分の学校の生徒が被害にあうなんて事も考えていなかったのだ。


「兎にも角にも、早めに手を打たないと。魔術師である確証が無いにせよ、これ以上酷くなれば取り返しがつかなくなっちゃう。本当の死って奴が溢れ返ってしまうわよ」

「そうだな……………………」


ポケットから一枚の折りたたまれた紙を手に取る。

それは、桜外から貰った召喚用の紙だった。


「桐野君。それって」

「あぁ。人手が足りないんだったら、式神に協力を得るしかないだろ」

「けど、こんな場所で粗末に扱わないでよ!枯木家の息子だって在学しているってのに、見られたら手の内を簡単に暴いているようなもの。タイミングも大事だし、知り合いが巻き込まれて焦るのは分かる。だからこそ、時と場所を弁えなさい」


黒園の言葉に、桐野は一度手を止める。

そこから、数度深呼吸して目を瞑り、冷静さを取り戻すように顔を上げる桐野。


「わかった。学校が終わって、すぐに取り掛かろう」

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