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 屋敷へと着くとフローラが出かける準備をしていた。

 相変わらず顔色は悪く、痩せたような気がする。


「フローラ、今から出掛けるの?まだ体調も戻っていないのでしょ?」


 私が帰っていると思わなかったのか、すごくビックリしたようだった。

 

「ええ、今から街の医師に診てもらおうと思って・・」

「あら、医師ならお父様の知り合いの・・」

「心配しないで!その、お友達からの紹介だから・・。あの、この事は誰にも言わないで欲しいな。」

「なら私もついて行くわ!病気によってはお父様たちにも伝えないと」

「大袈裟にされたくないの!!!」


 急に大声を出したフローラに、周りにいたメイドも驚いたようだ。

 

「だったら・・ちゃんと教えてね。私だって心配なんだから・・」

「・・わかった・・」


 そう言い残しフローラは出掛けて行った。

 やっぱり何か隠してる・・。そう思ったがこれ以上フローラを刺激しても良く無いと、一人食堂へと向かった。


 テーブルに付き食事を食べようとした時、


「お嬢様、フロイド伯爵家のアラン様がお越しになっておりますが」

「アラン様が?」


 私は食事を中断し玄関ホールへと向かうと、アラン様が息を切らしながら立っていた。

 今日別れる時は何も言ってなかったけど・・


「マーガレット!兄から何か連絡は無かったかい?」

「コンラッド様から?」


 アラン様の様子が気になったが食事の途中だったし、アラン様に食事をしたか聞くと 


「いや・・まだだよ。」


 と、答えたので取り敢えず食堂へと移動した。

ちょうどフローラが食事をキャンセルしたため、一人分余っていたのだ。


「いつも寮の食事だから本当に嬉しい。迷惑で無ければたくさん食べたい!」


 と素直に言われ、我が家のコックも喜んで準備してくれた。

 食事中ずっと 美味しい美味しい と言っていたので、コックが調子に乗ってドンドン出してきた。

 

(そう言えば私もこんな楽しい食事は久しぶりだわ)


 出てくる料理を美味しそうに食べ続けるアラン様を見て、私もいっぱい食べてしまった。

 食事が終わり応接室へと移動すると、


「ちょっと二人きりで話がしたいけど大丈夫かい?」


 と耳打ちされたので、お茶を置いたらメイド達には下がってもらった。

 もちろん扉は開けてあり、少し離れた場所に待機してもらってはいる。


「それでアラン様、どうされたのですか?学園では何も言われてませんでしたよね?」


 そう問いかけると、胸元から一枚の紙を出してテーブルの上に置いた。

 私はその紙を受け取ると・・


「これは・・どなたの物なのですか?」

「兄のコンラッド宛に、テナー侯爵子息のフレドリッ様からだよ。その文面から読み取ると君の事だと思って・・」

「コンラッド様からは何の連絡もありません。ただ・・フローラが最近コンラッド様と会ってまして、もしかしたら・・」


 だんだんと不安が大きくなる。

 初めの頃確かあの子


「マーガレット聞いて!私最近、高位貴族の方達と繋がりが出来たの!私の夢も本当に叶っちゃうかも〜」


 と、喜んで話してくれていた。

 まさかその高位貴族って言うのがテナー侯爵子息の事だったら・・


「アラン様・・もしかしたら私の代わりにフローラがコンラッド様と向かっているかも知れません」




 まさかフローラ・・


 私は祈るようにフローラの帰宅を待ったが、その夜フローラが戻る事はなかった・・

 

 

アランは乗り合い馬車でマーガレットの屋敷まで来ましたが、停留所から離れていた為に全力で走って来ました。


若いから出来る事ですね〜

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