結婚前
七夕なので思い付きました!
「マーガレット、明日の夜時間あるかい?」
結婚式を三日後に控えたある日、アラン様は急に予定を聞いてきた。
アラン様はすでにバーロイ領の、新しく建てた伯爵家に住んでいて、私は結婚式が済んだらそちらへ移る予定になっている。
「もちろん予定はありませんが・・」
「では明日の夕方に迎えに行くから、馬に乗れる格好をしていて欲しい」
そう言い残すと急いで伯爵家へと帰って行った。
(馬に乗れる格好って、何かあるのかしら?)
気にはなったが聞きたい相手はすでにおらず、とりあえず馬に乗れる服があるかメイドに聞きに行く事にした。
次の日の夕方、アラン様が迎えに来てくれたのでそのまま出掛ける。
てっきり二人で乗ると思ったが、
「馬車で行くには道が狭くて、かと言って二人で乗るほどの距離でも無いんだ」
と言ってアラン様は手綱を持って歩いている。
どんどん山を登って行き、到着した場所は一面に星が見える場所だった。
「前からこの領地に住んでる者から聞いたんだ。毎年この時期になると星に関係する言い伝えがあるって」
「星にですか?」
「うん!」
アラン様は私を馬から下ろすと、敷物を敷き私を座らせた。
アラン様は隣で寝転び話を続ける。
「この地方では一年に一度、織姫と彦星が会う日があってそれが今日なんだ」
「織姫と彦星、ですか?名前からして素敵ですね」
私も夜空を見上げその星を探した。
隣でアラン様が笑う。
「実際にはその星は無いらしいけどほら、あの星の集合が見える?あれが二人を引き離している天の川で、もう少ししたら消えるんだ!それが一年にいちど、今日なんだ」
「まぁ、なんか悲しいですね!私だったらアラン様と一年に一度しか会えなかったら寂しいです」
そう言った後アラン様に抱きしめられ唇にキスをされた。
「お願いだからそんな可愛い事言わないで。ただでさえも我慢しているのだから・・」
私は顔を赤くしながらも 我慢? と、考えてしまった。
それから暫くの間、敷物の上で二人寝転びながら星を眺めていた。
私を屋敷まで送ってくれたとき、
「そうそう、マーガレットのために専属の侍女を雇ったから!きっと君と気が合うと思うから楽しみにしていて!」
そう言い終わるとまた軽く唇にキスをして帰って行った。
「キスだけでもこんなにドキドキしてしまうのに・・私ちゃんと出来るかしら・・」
式当日、アラン様から紹介された女性は
「今日より奥様専属の侍女となりますサラでございます。姓はありませんのでサラとお呼びくださいませ」
あの時一緒に誘拐されたサラ様だった。
サラはフォレスト侯爵家で侍女教育を受け、いつかは私付きの侍女になる為に頑張ったと聞いた。
「見ず知らずの後妻になるくらいなら、奥様の専属になれたらと狙っておりました!」
と、笑って話してくれた。
式が始まる。ウェディングドレスは義姉のドレス専属店の物で、(何故かフローレンス様と公爵夫人が乗り気で作ってくださった。)豪華な衣装に身を包み、二人並んで神父様の前に立つ。
アラン様と二人手を取り合って、時には喧嘩して、でも笑顔の絶えない家族になりたい。
「アラン様、愛しております」
「俺も愛しているよ、マーガレット」
これが本当の最終回です!
読んで頂きありがとうございました。
皆様からの反響がありましたら、番外編を載せていきたいと思っています♪




