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「サラ様、大丈夫ですか?もうあのような無茶はしないで!どれだけ心配したか・・」
「フフッ、ごめんなさい。でも、女性に対してあの行動は許せなかったの。」
サラ様と私はあの後カギの付いた部屋へと移動させられた。中にはベッドと椅子が置いてあり、気を失ったサラ様は手の拘束を解かれ今はベッドの上で打たれた頬を冷やしている。
私は上着を渡されたが、やはり手を拘束されているから着る事が出来ず、部屋へ入るなり解かれた。
「ところで、マーガレット様は先ほどの旦那様?の事をご存知で?わたくしは恥ずかしながら領地から出ていないので・・」
サラ様は恥ずかしそうに言うが、私もそこまで詳しくは知らない。確か学園では一学年上で、バルディ公爵令嬢に仮想している!
との話くらいで・・
その時の私はコンラッド様やフレドリック様との事でいっぱいいっぱいだったから。
「わたくし達、これからどうなるのでしょう」
サラ様の言葉に振り返ると、先程までは笑顔だったサラ様の顔は明らかに沈んでいる。それはそうだろう。もともと攫われた私たちが無事にこのまま屋敷へと返される理由はない。
「お父様はわたくしが居なくなった事に気付いてくださるかしら・・」
婚約者と義妹に騙されただけでも辛いのに、薬を嗅がされ貞操まで奪われたサラ様の気持ちを思うと辛すぎて慰めの言葉も見つからなかった。
「サラ様・・」
私はサラ様を強く抱きしめると
「もし、ここから無事に出られたら私がサラ様の行き先を見つけます!悪い事はしません!辛い思いもさせませんわ」
確信は無いけれど大丈夫!
きっとアラン様が助けに来てくださる!
お兄様だって今頃は動いてくださってるはずだわ!
不安を隠しながら私はサラ様を抱きしめ続けた。
この部屋へ連れてこられてからどのくらい時間が過ぎたのだろう。
食事は運ばれては来たが、お世辞でも柔らかいとは言えないパンと具の入ってない冷めたスープに余計身体が冷えてしまった。
それでも二人ベッドに腰掛け、薄い毛布を二人で掛けて耐えた。
天窓から薄っすらと明るい日が入った事で夜が明けたとわかったが、部屋全体に光が差すことは無いため寒かった。
三度目の食事が運ばれてきてすぐ、数人の足音がしたと思ったら突然扉が開いた。
見ると私たちを攫った男達だ・・
「喜べ!お前達の新しいご主人が見つかったぞ。ちょっと変わった趣向の方達だがお前たち同様、ご貴族様だ!」
そう言い終わると私とサラ様は無理やり部屋から連れ出された。
何処へ?
と思ったら昨日最初に連れて来られた部屋だった。
見るとフォレスト卿が椅子に腰掛けており、私とサラ様は無理やり座らされた。
「フィッテ男爵の娘は?」
急に問われ一瞬言葉を失った。その間が気に入らなかったのかフォレスト卿は踵で床を蹴る。
サラ様は怯えながら わたくしです。 と、答えた。
すると両脇を抱えられ無理やり立たされると、扉の方へと引きづられる。
「やめて!離して!」
と叫ぶが
「お前は売られた女だ。そして俺が買った。命が欲しけりゃ新しい主人の言う事を聞け。命だけは助けてくれるだろうよ」
やめて!離して!誰か助けて!!
無常にもサラ様の叫び声が消えていく・・
私はカタカタと震えながらもフォレスト卿の顔を見る。彼も私の顔を見ながら何かを考えている様だ。
「お前は・・」
「・・・」
私は目一杯フォレスト卿を睨む。
「お前にはバルディ公爵令嬢フローレンス嬢との交渉の場に立ってもらう。」
「!?」
フォレスト卿は気持ち悪い笑顔で私の側まで歩いてくると、目線が合うように屈み込む。
「婚約者と妹。お前の兄貴はどちらを選ぶだろうなぁ」
佳境に入りました!
最後まで走り抜きますので、よろしくお願いします!




