7
お兄様とフローレンス様の結婚式まであと五日。
今日は注文していた私たちのドレスと、フローレンス様のウェディングドレスとイブニングドレスが出来上がる日だ!
朝も早めの時間からメイドたちが応接室を片付けおり、お店並みのトルソーが運び込まれていた。
「あの・・ものすごい数のトルソーですが・・何着注文されなたでしょう・・」
「マーガレット様、おはようございます!朝から騒がしくしてしまい申し訳ありません」
最近、私の世話をしてくれるようになったメイドに声を掛けると、申し訳なさそうに答えた。
「今日はドレスが届く日だと聞いたのですが・・」
私の問いに気付いた彼女は
「マーガレット様ご家族のドレスは隣の部屋へ準備させていただきます!こちらはフローレンス様と奥様のドレス部屋となります。私が聞いてるだけでもお二人で三十着程かと・・」
「さんじゅう・・」
桁違いの数に驚きすぎて声が出なかった・・
しばらくしてマダム・サルサ一行が屋敷に到着し、屋敷の者と一緒にドレスや宝飾品を運び込んだ。
フローレンス様と公爵夫人のドレスは初めて見る程の豪華さで、公爵家の財力を物語っていた。
「マーガレット!こっちこっち!」
フローラに腕を引かれて入った隣の部屋。トルソーに掛かっていたドレスは公爵家には及ばないが、高位貴族が身に付けるには充分な物が掛けられていた。
「お父様・・奮発なさったのね・・」
いったいどれ程の借金をしたのか心配になる。
私たち男爵家にとっては、それ程の豪華さだった。
「それがね!お兄様からの贈り物ですって!フローレンス様は公爵家で用意されるでしょ?お兄様、ある程度釣り合いを取るために奮発したらしいの!」
見るとコンラッド様とアベルのタキシードまで用意されている。
フローラは自分用のドレスをうっとりした目で見ていると、
「貴女のドレスはコンラッド様がご用意してくれたドレスよ」
「お母様!?」
お母様は運び込まれた衣裳を点検するように手に取ると、
「フローラのドレスを作りたいから協力して欲しいと、フレッド経由で頼まれたの。それからマーガレットのドレスはアラン様からのプレゼントよ」
自分のドレスを自室へ運んでもらった私は、アラン様から送られたドレスから目が離せなかった。
(お忙しいのに、いつ注文してくださったのかしら・・それよりもこのドレスを着た私を見て、どう思われるかしら・・)
アランの事を思うとまた、胸が苦しくなる。
フローレンス様はお兄様の事を考えると、私と同じように胸が苦しくなる!と言っておられたが・・それでもお兄様とお話されている姿はただただ可愛らしいお姿で、私もアラン様の前だとあんな感じなのかしら?と思うと恥ずかしくなってしまった。
コンコンッ!
扉をノックする音が聞こえた為返事をすると、ゆっくり入って来たのは先ほどのメイドだった。
「あら?どうかしたの?」
「申し訳ありませんマーガレット様。実は・・」
(肝心のベールを忘れたと御付きの方に言われて、お店へ取りに行くのですが・・私一人では信用されるか心配で・・。出来たら一緒に来ていただけませんか?)
気心知ったメイドからの頼み事を断る理由もなく、公爵家で用意された馬車に乗り込んだ。
本来なら怪しむ所なのにまったく気にならなかったのは、顔見知りのメイド!だったからだろう。
用意された馬車も、従者も初めて見るもの・・
「これはこれはお嬢様。こんな所へお越しいただき恐悦至極でございますね」
馬車の扉が開いたと同時に聞こえて来た声は・・
やっと半分くらいかな?
このままラストまで走り抜けます!
よろしくお願いします!




