6 男たちの会話
「それで、奴らの足取りは掴めたのか?」
「トカゲの尻尾切りでなかなか・・。ですがおそらく近いうちに接触してくるのではと・・」
「おそらく相手は私たちの結婚式を壊そうとして来るはずです。ローラだけで無くマーガレットにも手が伸びる可能性がある。何としてでも奴らを捕まえないと・・」
女たちが妃殿下とお茶会をしている間、男たちは第二殿下の執務室に集まり話し合っていた。
事の発端は以前フレドリックが使用した薬がまた、貴族の間だけでなく裕福な市民の間でも使用されていた事がわかった。
ただ、その薬の出どころがどう探っても見つからなかった。
アジトに踏み込めばすでに逃げた後だった!と言うことがすでに五回。さすがにおかしいと、第二殿下の直属の騎士キャンベル・フォレストがある日殿下の耳に入れたのだ。
「最近の被害者は低位貴族の令嬢だ。特にどこかの屋敷へ侍女やメイドとして働いている女性たち。これにも何か理由が?」
「・・憶測ではありますが・・」
先程まで黙っていたアランが口を開く。
「話してみろ、アラン」
「おそらく、どこかの令嬢を探しているのか・・もしくは狙っているのか・・」
「それは・・前回のマーガレットのように?」
フレッドが問いかけるとアランは黙って頷いた。
「狙われた令嬢は必ず高位貴族のお屋敷で働いておりました。理由まではまだわかりませんが・・」
その場にいた全員がアランの次の言葉を待つ。
「狙われた令嬢たちが言うには必ず、その屋敷のお嬢様の身体の何処かに痣があるかを確認されていたと・・」
「「「「あざ・・」」」」
令嬢の身体にある痣を見ることが出来るのは、侍女やメイドでも限られた人だ。
専属級にならなければ嫁入り前の令嬢の素肌を見ることは出来ない。
「だから闇雲に薬を使われたのか・・」
「なぜ痣のある令嬢を探しているんだ?」
「それがわかれば苦労しません。」
その場にいる全員が頷く・・
「とにかく、もう暫くはアラン!頼んだ。それからフレッドとコンラッドは薬の出どころを探すんだ!フレッドの結婚式までに!」
名を呼ばれた三人は席から立ち上がると、第二殿下へと騎士の礼をとった。
「それでアラン、マーガレットとは会ったのかい?」
「ゲホッ!」
飲み物を口に入れた瞬間にフレッドさんから聞かれ、ムセてしまった。
兄はメイドから拭くものを手渡され、アランへと投げた。
「そうか、いつ、どこで・・とは(アランからは)聞かないが気をつけてくれよ。大事な妹だからね。特に彼女は前回の当事者だ。」
ムセてるだけで何も答えていないのに、なぜかフレッドさんは全てを知っているかのような言い方をした。
きっとあの時の護衛に聞き出したのだろう・・俺は恐る恐るフレッドさんを見たが、フレッドさんの表情は・・
「フレッドさんでも、そんな表情するんですね・・」
「あっ、当たり前だろ!マーガレットもフローラも、俺にとっては大切な妹だからな!コンラッドもフローラ泣かせたら容赦ないからな!」
フレッドさんは兄に掴みかかっているが、相手を信じている表情だ。
なんだかんだで仲の良いフレッドさんと兄を見ながら俺は、早くこの件を片付けてマーガレットと(二人で)出掛けよう!と、心に誓ったのだった。




