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 侍女さんたちのオススメのお店は、一言で言えば大満足だった。さすが王都!

 領地では思い付かない味や見栄え。我が領地では持ち帰りの店はあるが、お店で食べるなんて思いつかない!

 嗜好品は家族一緒に!

 それこそが我が領地の良いところなのだが・・


「出来立てを直ぐに食べられるのは良いわね!特別感があって!我が領地でもやってみようかしら?」


 目の前でフルーツがたっぷり乗ったタルトを、美味しそうに頬張りながらフローラが言った。


「でも王都だから成り立つのでは?ゾーロイ領ではまずこれだけの物は作れないと思うし・・」

「バカね!別にここと同じ物を作る必要なんて無いわよ!売ってる物をお皿に乗せて提供するの!その際にドリンクを一緒に提供したらどう?」


 少し頭の中で考えてみたら、なかなか良さそうな気がしてきた。

 

「ね?友達とでも良いし、カップルや夫婦。子供連れでも楽しめるような品にして・・やだ!私コンラッド様にこの事話そうかしら?」


 マーガレットは面白い事を思いついた様子で、興奮していた。

 私も我が領地で出来そうな事を考えなきゃ!と、フルーツティーを口にした。

 ケーキとお茶を堪能した私たちは、一旦別々で行動する事にした。


「コンラッド様とアベルのお土産を見て来るわ!」


 フローラは、一刻後に噴水のところで待ち合わせね!と言ってお目当てのお店へと行ってしまった。

 急に時間ができた私は久しぶりに図書館へと向かった。

 アラン様と良く待ち合わせたあの図書館へ



 久しぶりに足を運んだ図書館は、以前に比べると利用客が減ったように感じた。

 図書館司書の方は私を覚えていてくれて、


「来月建て替えにより取り壊しされる事になったんですよ。もっと本を増やして、利用しやすい場所へ変わるんです!」


 その際はまたお越しくださいね!


 と、案内が書かれた紙を渡してくれた。

 私はその紙を受け取るといつもの席へ足を向けた。

 入り口から遠い、柱の影に隠れた席・・

 せっかくだから新しく出版された本を手に取り席へと向かうと先客がおり、仕方なく別の席を探そうと向きを変えたところで


「どこへ行くの?マーガレット」


 と、声がした。


 声の方を振り返ると、いつもの席で本を読んでいるアラン様がいた。

 アラン様は自分の隣の椅子を引くと、ポンポンッと無言で軽く叩く。

 私は走って駆け寄りたい気持ちを抑えて、ゆっくりと隣の椅子へと腰掛けた。


「久しぶりだね、元気にしてた?」

「・・・」


 言葉にする前に目頭が熱くなる。

 アラン様はそんな私の頭を引き寄せて、自分の肩へ押し付けるように抱きしめてくれた。


「連絡しなくてごめん。今は第二殿下の指示で動いていて、連絡もさせてもらえなかったんだ。」


 しばらく泣いた後、私が落ち着いたのを確認したアラン様はポツリポツリと話してくれた。


「今日は特別に半刻だけ時間をもらえて・・きっとマーガレットはここに来てくれるんじゃ無いかと思って・・」


 ハンカチで私の涙を拭きながら優しく語りかけた。


「ある程度の事はマーガレットに話しても良いと言われたんだ。君にも少し関わってくるかも知れないと・・」

「アラン様は何を調べていらっしゃるの?私にお手伝いできる事はありませんか?」


 少しでもアランの近くに居たくて問いかける。

 アラン様は優しく微笑むと、また私を抱きしめる。


「そのままで・・君は今、ある人物から目を付けられているんだ。出来るだけ一人にならないで・・」

「えっ!なぜ・・」


 顔を上げようとしたら止められた。

 恋人同士が図書館で仲良くしている風を作っていると、顔を赤くしながら小声で話してくれた。


「君には今、バルディ家の騎士が護衛している。でも出来たら一人で行動するのは止めて欲しい。理由は今は話せないけれど、必ず教えるから待ってて」


 アラン様は私の額に軽く口づけを落とした後、静かに離れて行った・・


 


 

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