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次の日、バルディ公爵家で用意してくれた馬車で両親とフローラ、アベルと私は王宮へと向かった。
お兄様とコンラッド様は先に二人で王宮へと向かったのだ。
理由を聞いても教えてくれず、ただ
「第二王子殿下からコンラッドを連れて来るように伝令が来たんだ」
と、朝食も摂らずに出て行ってしまった。
フローラにも聞いたけれど、
「口止めされてるんですって!でも、殿下の役に立てるのが嬉しいみたい・・あんな笑顔を見せられたら私も思わず笑顔で送り出したわ」
と、嬉しそうに教えてくれた。
王宮へ着くとバルディ公爵夫妻とフローレンス様が出迎えてくれた。
たかが男爵家の私たちに、雲の上の存在の公爵様たちの出迎えにひたすら頭を下げると、好々爺風の公爵様はニコニコしながら
「大切に育てられた後継者を、こちらの都合で婿入りして貰うのだから当然です。娘も義姉妹が出来ると喜んでいますので、仲良くして貰えると嬉しい」
公爵様の言葉に頭を下げる公爵夫人とフローレンス様に両親とフローラ、私も同じように頭を下げた。
公爵様の案内で両陛下へ挨拶に向かうが、流石に私たち子供はお目にかかる事は出来なかった。
両親が戻る間、私とフローラとアベルはフローレンス様の案内で王太子妃様専用ガセボへと向かった。
「妃殿下はわたくしの親友でもいらっしゃって、とても気さくなお方なので緊張なさらなくても大丈夫ですよ」
と、フローレンス様は言ったけど・・たかが男爵家の娘がお目にかかれる方では無い事はわかる。
お兄様は第二王子殿下の元で働いていた。当然王太子殿下とも顔見知りなはず・・
「なんか・・お兄様と同じ兄妹とは思えなくなってきたわ・・」
「さすがフローラね!私も同じ事を考えていたわ」
フローレンス様には聞こえないように二人で囁きあった。フローレンス様に案内されたガセボにはすでに妃殿下が待っておられた。
「殿下、お待たせして申し訳ありません。コンラッド様の妹君をお連れしましたわ」
「ローラ、待っていたわ!紹介してくださる?」
私とフローラは精一杯の淑女の礼を取るが緊張で口から心臓が飛び出しそうだった!
フローレンス様からの紹介が終わると着席を許されたが、まさか男爵位令嬢の初めてのお茶会が王太子妃殿下と公爵令嬢とは・・こんな幸運誰も持ち合わせてはいないだろう。
フローレンス様の言われた通り妃殿下はとても気さくなお方で、私もフローラも始めこそ緊張でカップに口を付けることも出来なかったけれど、時間が経つにつれ笑い声が出せる程に緊張はほぐれていた。
「妃殿下、王太子殿下が起こしです」
妃殿下付きの侍女が声を掛けると同時に殿下がガセボへと顔を出した。
妃殿下もフローレンス様も礼を取る。
私とフローラはそれ以上に腰を屈め礼を取った。
「皆、楽にしてくれ。」
殿下の声に反応し、それぞれが椅子へと腰を下ろした。私とフローラはお二人が腰を下ろすのを見て着席した。
殿下も妃殿下もとても仲睦まじく、そして美しい。
正直高位貴族で知り合いは元生徒会の侯爵家嫡男のライル様と伯爵令嬢のイエイン様。
お二人も高位貴族だけあって所作も姿も美しかったけど、今目の前におられるお二方は・・
「マーガレットさん、どうされたの?」
優しくお声を掛けてくださったフローレンス様もまた、美しすぎる方で・・お兄様大丈夫なのでしょうか?お兄様の話だとフローレンス様のがお兄様に惚れている!と言っていたけれど・・
侍女に淹れてもらったお茶を一口飲むとそのお茶の香りが鼻から抜ける瞬間
「えっ?美味しい・・です」
素直に感想を声に出して言ってしまった。
慌ててフローラを見れば、フローラも同じ顔をしていた。そんな私たちを見ていたフローレンス様は
「お口にあったようで良かった。フレッド様がわざわざ買い付けに行ってくださったの!今のわたくしのお気に入りなんです」
頬を赤く染めながら言うフローレンス様・・
お兄様!良かったわね!と、思わず心の中で叫んでしまった事は内緒だ。
「王太子殿下、妃殿下、失礼致します」
そう言って入って来たのは一人の従僕だった。
彼は静かにフローレンス様の耳元で何かを囁くと直ぐに後ろへと下がった。さすがバルディ公爵家の従僕!動きが洗練されている!
「殿下、妃殿下すみません。父に呼ばれたようです。
こちらのお二方も一緒に」
「ああ、話は聞いている。こちらこそ長居をさせて悪かった」
「とんでもございません。久しぶりに両殿下にお会いできて嬉しゅうございました」
フローレンス様は完璧な礼をとると、私たちにも促してくれた。
私たちは両殿下を見送り、お父様たちが待つ第二王子殿下の宮へと移動した。




