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本日は二話同時投稿です!

「離せ!俺が誰だと思っているんだ!マーガレット、お願いだ!俺を選んでくれ!」


 フローラにシーツごと抱きしめられている私は、事の始終をこの目で見ていた。

 私を抱き上げてベランダへ逃げようとしたテリー卿は、駆け付けたアラン様に止められた。

 それでも私を離そうとしなかったので後ろから忍び寄ったコンラッド様に羽交締めにされ、下着姿だった私をフローラに託した。


 フローラは


「この部屋にもあの香りがするわ!別の部屋を用意してください!」


 と言って直ぐに別の部屋へと移動した。

 私はそのまま意識を失い、目覚めたらベッドの横にはお母様とフローラが椅子に座った状態で寝ていた。

 私はそっとフローラの頭に手を伸ばす。


「マーガレット目覚めたのね!身体はどう?気持ち悪くは無い?」


 フローラの声にお母様も起きた。

 お母様は私を抱きしめると 皆んなを呼んでくるわね と言って、部屋から出て行った。

 私はフローラから受け取ったコップからお水を二口飲むと、


「フローラはなぜここに?」

「・・お兄様がね、今度はマーガレットが危ないと知らせてくれたの。そして、私が抱いていた子を見てフレドリック様の子だと・・わかってしまって。」


 フローラも初めはただの仮面パーティーだと思って行ったのが、薬を使った乱交パーティーだったらしい。その後はお兄様や家族にバラすと言われ断れなかったと・・

 コンラッド様もテリー卿に莫大な借金があり、フローラを連れて行ったのは単純に私よりもフローラを気に入ると思ったからだと証言した。


「私はマーガレットと違って、ある意味期待をしたのよ。子供ができた時も侯爵家に嫁げるんじゃ無いかって・・現実は甘かったけど今はまぁそれなりに幸せよ。コンラッド様も血は繋がらないけど可愛がってくれているし、彼の両親も話したら受け入れてくれたわ。男の子だったのが良かったのね!」


 そう言いながら私を抱きしめた。


「貴女に何も起きなくて本当に良かった」

「うん、助けに来てくれてありがとう」


 私もフローラを抱きしめた。



 その後はお兄様やお母様。フローレンス様と公爵夫妻も顔を見に部屋へと足を運んでくれた。

 コンラッド様の腕には小さな子供が寝ている。


「フローラの子?可愛らしい顔をしているのね。」


 まだ薬が抜け切れておらず、残念ながら見るだけとなったけど・・本当に愛らしい顔をしていた。


「あの・・アラン様がいらっしゃらないのは・・」


 いる筈のアラン様の姿が無く不安になり、みんなへ聞いた。


「アランは・・フレドリックに呼ばれて今は独房の面会室へ行っているよ」

「なぜ・・」

「マーガレット、少し私と二人で話そう」


 お兄様の言葉に皆んなが部屋から出て行く。それを確認したあと、お兄様はフローラが座っていた椅子へ腰を下ろした。


「フレドリックは爵位を剥奪。侯爵家からも廃嫡になり平民として生きて行く事になった。ただ王都に居ても生活が出来ないだろうと、辺境伯領へ送られて騎士として叩き直されるそうだ」


 私は何も言い返せず黙って話を聞いていた。

 すると、お兄様はぬ一瞬考えるように聞いてきた。


「マーガレットはフレドリックと会った事あるかい?」


 私は首を横に振る。会った記憶が無いからだ。


「では、街で一人の男性を助けた事はあるかい?」


 街で?

 私は思い出すように考える。

 そして一人の男性を思い出した。


「でも私、助けたなんて大それた事はしていません。ひどいケガをして倒れていたのでお声をかけてお医者様を呼んで、お声を掛け続けただけで・・」


 お兄様は優しげな目で私を見ている。


「彼にとってはそれが、命を救われたんだ。と言っていたよ。そして兄の結婚式でマーガレットを見つけて手に入れたかったと・・」


 そう、あの日私はお兄様への誕生日プレゼントを買いに、街へと行っていた。


「もう少し横になりなさい」


 お兄様は私に布団を掛けると、静かに部屋を出て行った。


 私はベッドの中であの日、テリー卿・・フレドリックさんとの事を思い出していた。

 あの時の彼の姿は、誰が見ても平民の姿で・・だから私も遠慮なく手を差し出したのだから。



「あの・・大丈夫ですか?すごいケガ、今お医者様を呼びましたから。」


 と・・

長くなったので二話に分けました。

二話同時投稿なのでこちらから先にお読みください。

あと二、三話で終わる予定です!

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