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 パーティー当日


 私は朝から公爵家から遣わされた侍女さん達に、準備をしていただいた。

 本格的なパーティーに出席するのは初めてな為、されるがままだ。

 デビューの時は王宮に行ったが、まだ婚約者もおらずフローラはお父様が。私はお兄様にエスコートしてもらい、両陛下の前に出た。

 正直緊張が激しく、おまけに次の日に熱を出してしまい忘れてしまった。悲しい記憶だ・・


「お嬢様、準備が整いました。ご確認お願い致します」


 化粧が終わり声が掛かる。

 私はそっと目を開けると・・


「えっと、初めまして。」


 と、鏡に映る人に挨拶をしてしまった。

 侍女さん達はプッと吹き出す。


「鏡に映るは間違いなくお嬢様ですよ?」

  

 恥ずかしい・・

 でも、そう間違えてしまう程の出来栄えに嬉しいような・・


 侍女さん達にお礼を告げると下がって行った。そして入れ替わるようにお母様が部屋へと入ってきて


「まぁぁ、マーガレットじゃないみたいねー!素敵よ!うん、ドレスに負けてない!」


 お母様なりの励ましを受け、鏡を見る。

 でも本当、ドレスが素敵過ぎてどうなるかと思ったけど・・これならアラン様の隣に立っても大丈夫かな?

 

「お嬢様、フライド卿がお見えになりました」

「はい、行きます」


 緊張の中玄関ホールへと向かう。

 私が来るのをお母様と待っていたアラン様が、私に気付きこちらへと向いた。

 瞬間、顔の表情が無くなり口が開いている。

 私は不安になりながらも、ゆっくりとアラン様の前まで移動した。


「あの、アラン様。ドレスありがとうございます。その、宝石も・・似合ってますか?」


 アラン様からの反応が何も無く、少し不安になったがそっと顔を覗くと顔を真っ赤にして、


「あっ、その。うん、すごく似合ってる。とても綺麗だよ、マーガレット」


 初めて見るアラン様だった。


「フフ、ありがとうございますアラン様。」


 お兄様は一足先にフローレンス様をお迎えに行ったと馬車の中で言われた。

 会場がバルディ公爵家なので時間があれば挨拶へ行こう、今は・・


(どうしよう!アラン様がカッコ良過ぎて何処を見たら良いのか分からないわ)


(マーガレットが綺麗すぎる。公爵夫妻とフレッドさんたちに挨拶したらバルコニーに連れ出そうか。でもダンスも踊りたいし・・それよりも、マーガレットに近づく奴らをどう追い払おうか・・)


 お互い目を合わせられないまま、気づけば公爵邸に馬車は到着し、私はアラン様のエスコートで馬車から降りた。

 アラン様は来たことがあるのか、私の手を引きながら真っ直ぐに会場へと足を進めた。


「アラン様こちらへはいらっしゃった事がありますの?会場が何処か分かっている様ですが」

「あっうん。フレッドさんに連れて来てもらった事があって・・その時に教えてもらったんだ」


 そうなんですね。と答えたが、アラン様の様子が可笑しくてクスクスと笑ってしまった。


 無事に会場入りを果たし、主催者が入場するまでの間に飲み物や軽食をつまむ。

 アラン様の知り合いの方たちに声をかけられたり、アイル様やイエイン様とも挨拶を交わす。


 「バルディ公爵並びに公爵夫人のご入場です。」


 挨拶と共に現れた公爵と公爵夫人の威厳と輝きに思わず目を瞑ってしまったが、その後ろからフローレンス様をエスコートしたお兄様も入場して来た。

 お兄様は公爵家に入る事が決まっているからか、着ている衣装にも負けない立ち姿に思わず涙が潤む。


[フレッドさんは仕事の傍ら、公爵家に恥じない様にとマナーや高位貴族ならではの勉強をしていたんだ]


 小声で教えてくれたアラン様。

 お兄様の負担が少しでも軽くなる様に、お仕事も代わりにこなしたのでしょう。


[アラン様、お兄様を助けてくださりありがとうございます。お兄様の今ある姿はアラン様のおかげですね]


 私も小声でお礼を伝えた。


「この度我が娘フローレンスに良き相手が見つかり、無事に婚約を結ぶ事が出来た。フレッド・ゾーロイだ。彼にはバルディ家に婿入りしてもらう事となる。よろしく頼む」


 紹介が終わると二人がホールの真ん中へと進む。

 主役のダンスが始まり招待客の視線が一斉に二人へと注がれる。

 お兄様はそんな視線にも気にせず、フローレンス様だけを見つめていた。

 時々見せるフローレンス様の笑顔がとても幸せそうで、淋しさ以上に喜びが大きくなっていた。


 私とアラン様もダンスの輪に入る。

 正直自信が無かったダンスだけどアラン様のリードが安定していて、とても踊りやすかった。

 気付くと二曲連続で踊っていて、お兄様からの痛い視線に慌ててダンスを中断した。


 「お兄様、フローレンス様ご無沙汰しています。あの、お二人の衣装がとても素敵でとてもお似合いです」

「ありがとうございます。マーガレットさんもとてもお似合いですよ。」

「普段あまり着飾らないから誰かと思ったよ!それにしても・・アランの独占欲が・・」

「私ももう遠慮しない事に決めたんです。ゾーロイ伯爵にはまだ、色良い返事は頂いてませんが・・」

「お父様が何か?」


 お兄様とアラン様の会話に入ろうと思ったら、


「申し訳ありませんお嬢様。フレッド様とアラン様も公爵が呼んでおられます」


 公爵家の人が三人を迎えに来たため、私はこの辺りで待っているから!と、見送った。

 一人で待ってでもなぁと、周りを見渡したとき


「こんばんは、マーガレットさん。」


 声をかけられ振り向くとそこに立っていたのは


「テリー卿・・」


 フレドリック・テリー侯爵子息だった。

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