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「話って何だい?」


 兄の自室にあるソファーへと腰を掛けると直ぐに話をふられる。


「あの、先ほどコンラッド様の事が話題に出なくて」


 一応私の婚約者となる人の話が出なかった事に疑問を感じ、でもあの場で聞くのも・・と思い兄へ直接聞く事にした。

 兄もお茶を一口含むとカップをテーブルに置き、


「さっきも言ったけど、正直今のコンラッドとマーガレットとの婚約は無しにした方が良いと思うんだ」


 ねぇ、父さん。


 と扉の方を向いて言葉を振る。

 まさか父が居るとは思ってなかった私は、慌てて立ち上がる。


 父はワインとグラス二本を持って立っていた所を見ると、兄と二人で飲もうと思って来たのだろう。

 でもそこに私が居たためワインとグラスをテーブルに置くと、私の横へと腰を下ろし私にも座るようにポンポンッとソファーを軽く叩いた。


「まだ正式に婚約するとは決まってないからね。あと一年は様子を見ようと思っている。が、この一年彼が我が領地へ来ていない事からして、婚約の話は無いと思って貰っても良いかな」


 父は私を心配そうに見てきた。

 コンラッド様に何があったのかは聞けなかったが、二人の様子からして条件をクリア出来ないのだと思った。


 部屋へ戻るとフローラがいた。

 私が直ぐに戻らない事で何かを感じたのだろう。


「フローラどうしたの?私の部屋に来るなんて珍しいわね」

「来月には王都へ行くでしょ?試験をしに。

今日、家庭教師からこのままでは危ないと言われてしまったの」


 珍しく元気がない。


「それで私に何をして貰いたいのかしら?」

「!! 勉強を教えて欲しいの!マーガレットは教えるの上手だから、私頑張れると思うの!」


 なるほど、山を当てろ!って事ね。

 私はため息を吐くとフローラに告げる。


「泣き言は聞きたく無いからね!基礎は教えるけれど結局は自分で勉強しないと頭に入らないんだからね」

「ありがとう、マーガレット。愛してるわ」


 フローラは私の頬にキスをすると、自分の部屋へと帰って行った。

 昔から彼女はそうだった。

 家庭教師に出されたテストも、事前に私のノートを見て答えていた。


「フローラは私と違って一夜漬けタイプだからなぁ」


 アラン様はどうしているのかしら?お兄さまの話ではとても優秀だと言っていた。


(また一緒に勉強出来るかしら?)


 そう考えると学園も楽しみになってきた。

 そこから一ヶ月間、私はフローラのテスト勉強を手伝いながら、自分の勉強をこなす。


 正直大変ではあったけれど、領地の経営に比べたら苦でも無かった。

 アラン様からも手紙が届き


[勉強は進んでいるかい?

王都へ着いたら連絡して欲しい。

わからない事があれば遠慮なく聞いてくれても良いし、久しぶりにマーガレットにも会いたいから]


 こんな手紙を貰った事がなかったので、緊張とは違うドキドキを味わってしまった。


 こうして領地から約十日をかけて王都へ到着した私たちは、テストまでの五日間を過ごす事になった。


 私はさっそくアラン様へ勉強を見て欲しいです!と手紙を出した。

 アラン様からも直ぐに返事が来て、街にある図書館で待ち合わせる事になった。


 コンラッド様は割と細身の体型で髪の色は赤茶色。

目もパッチリ二重の整った顔立ちをしていて、その場だけの付き合いならとても紳士的な人だ。

 でも、伯爵家の嫡男だからか両親から甘やかされて育ったと兄、フレッドは言っていた。


 一方アラン様は身体も大きく長身の為、パッと見は怖い印象を受ける。

 でも性格はおとなしく、誰に対しても優しい。

 子供の頃からコンラッド様と比べられて育った影響で、次第に顔を隠すように髪を伸ばし始めた。


 始めはコンラッド様のスペアとして我が領地にも一緒に来ていたが、私が嫁入りすればお前は必要無いと言われたと泣きながら父の元へ来た。


「自分はいずれ他家へ婿入りするかも知れない。だからこそ教えて欲しい!お願いします!」


 と、頭を下げてきたと父は嬉しそうに話してくれた。

 そこからは私と二人で領地経営の勉強をした。



 そんなアラン様は父と兄の自慢の弟子になっている。

 


 

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